うつ病の治療にカウンセリングは効果があると考えられています。特に、うつ病の治療には認知行動療法という心理療法が有効であることが分かっています。
カウンセリングでは、悩んでいることや考えていることなどを自由に話すことができます。何を話せばいいか分からない場合も、カウンセラーが質問などを通じて進行しますので問題ありません。事前に話す内容を考えたい人は、例えば、以下のような項目を参考にしてみてください。
・困っていること 、つらいと感じていること
・具体的な身体的・精神的症状
・家庭環境や職場などの環境や成育歴について
・問題解決のためにこれまで行なってきたこと
・カウンセリングを通じてどのようになりたいか
うつ病などの診断名がついていなくても、もちろんカウンセリングは受けられます。
本人がカウンセリングを受ける意思がない場合、無理に受けさせても、カウンセラーとの対話がうまくいかなくなる可能性が高いです。本人が拒否する場合、まずはご自身でカウンセリングを受けてみることが効果的です。「カウンセリングとはどういったものか」を知り、自分の変化を近くで感じてもらうことで、本人にカウンセリングに興味を持ってもらいやすくなります。
精神科・心療内科の診察とカウンセリングの違いをまとめると、次のようになります。
精神科・心療内科の診察
・医師が行う
・診断書を出せる
・おもに薬物療法を行う
・1回の面談時間が短い
・じっくりと話を聞いてもらうのは難しい
・基本的には病気や不調の治療を目的とする
カウンセリング
・臨床心理士などのカウンセラーが行う
・診断書を出せない
・薬物療法は行わない
・1回の面談時間が50分程度
・じっくりと話を聞いてもらうことができる
・病気や不調でなくても様々な目的で利用できる
通常、カウンセリング費用は健康保険が適用されないため、自費での支払いとなることが多いです。例外として、精神科医の指示のもと、治療として行われるカウンセリングの場合は、保険適用となる場合があります。医療費控除も同様に、臨床心理士や公認心理師のみで実施するカウンセリングは、控除の対象外となります。
うつ病の治療にカウンセリングを併用することは多いです。通院中の方は主治医に相談し、カウンセリングの許可を得る必要があります。
認知行動療法とは、自身の考え方の癖や行動パターンを把握し、ものの捉え方を整理したり、少しずつ行動を変えたりすることで、抱えている苦しみやストレスを軽減したり、問題の解決を目指したりする心理療法です。
例えば、以下のようなことが挙げられます。
・カウンセラーに理解してもらうことで、直面している問題を受け入れる
・一緒に問題を整理することで、要因や改善方法、自分の気持ちに気づく
・考え方のクセや人間関係のパターンなどに気づき、変容を促す
・1人で抱え込んできた悩みを話すことで、気分がすっきりとしてストレスを軽減する
はい。うつ病を抱えている本人への接し方や本人との関係についてカウンセリングを受けることができます。
うつ病を抱えている人と支える側の精神状態は、お互いに影響を受けやすくなりますので、カウンセリングを受けることはセルフケアとしても効果的です。
うららか相談室では、うつ病を抱えている本人だけでなく、その家族の相談にのりながら、家族の力で問題の解決を目指す「家族療法」を受けることもできます。
カウンセリングと心理療法は、区別せずに用いられることが多いですが、カウンセリングは、カウンセラーが相談者の話を聴くことによって、相談者自身が主体的に問題を解決できるようにサポートすることを指します。
一方で、心理療法は、症状や問題の改善を目的として行われる、方針や流れがある程度決まった方法を指します。心理療法では、カウンセラーが積極的に介入したり、相談者に助言したりすることが多くなります。
うつ病の治療にカウンセリングが適用されるのは、本人の症状が落ち着き、カウンセリングを受ける意思がある場合です。
休養・服薬だけでうつ病の症状が一時的に改善しても、ストレスを抱えやすい根本的な原因が改善していないことが少なくありません。
カウンセリングで、自身の性格や考え方のクセ、対人関係のパターンなどを見直すことで、ストレスにうまく対処できるようになり、うつ病の再発や悪化を防ぐことが目的となります。
相談者の状況や症状などが様々であるため、一概にカウンセリングの回数や期間を示すことは難しいですが、軽度のストレスは、1回〜数回のカウンセリングで終わることがあります。深刻なトラウマや抑うつ症状が見られる場合には、長期間のカウンセリングが必要となるケースもあります。
想定している回数・期間がある場合は、あらかじめカウンセラーに伝えておくとよいでしょう。
主治医に別の場所やオンラインでのカウンセリングを受けたい旨を伝えて、許可を得る必要があります。