最近なんだかやる気が出ない、疲れやすかったり体がだるく感じてしまう、誰しもこのような経験をしたことがあるでしょう。疲れが溜まっている時や、忙しい時などは、やる気を出そうと思ってもなかなか出ないものです。
しかし、それが長期に渡って続く場合、もしかしたら無気力症候群かもしれません。
目次
- おわりに
無気力症候群とは、別名アパシーシンドロームとも言われ、その人の一番の本業に対してだけ無気力になっている状態のことを指します。仕事をしている社会人であれば仕事が、学生であれば学業が、専業主婦であれば家事が、といった具合に、その人にとっての本業にやる気が出ないという状態を指します。
無気力症候群では、すべてのことに無気力になるわけではなく、本業以外の遊びや趣味などにはそれまで通りやる気があるため、本人が気がつきにくいという特徴があります。また、うつ病では、すべてのことに対して無気力となり、それまで好きだったことや楽しかったことにも興味がなくなってしまうのに対し、無気力症候群では本業のみにその無気力があらわれるため、病気というよりは「症候群」として扱われています。
無気力症候群は、10~20代の若い女性に増えていますが、競争心の強い10~20代の男性もかかりやすいと言われています。
本業だけやる気が出ず、趣味や遊びへの態度は変わらないため、周りから見たら「サボっている」「楽しい事ばかりして怠けている」と誤解を受けやすい症状です。無気力症候群は努力家の人がなりやすい傾向にあるため、そこで叱責されてしまうと、なおさらやる気が出なくなったり、症状が悪化することにつながりやすいです。
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無気力症候群になる原因はいくつかあると言われていますが、人生における大きな目標を失った時などになりやすいと言われています。
例えば、一生懸命勉強して志望の大学に入った後、就活を頑張って社会人になった後、子育てが終わって子供たちが全員自立した後、など、何か一つの目標を達成した後、次の目標が分からず無気力になってしまう傾向があるようです。
特に、それまでの目標が自分で立てた目標ではなく、周りからの期待だったり、世間体などによって立てた目標の場合、次の目標を自分で立てることができず、無気力症候群になってしまう可能性があります。親の期待に応えようとしていい大学に入った、周りからの期待に応えようといい会社に入ったなど、自分より周りのことを考えて立てた目標だった場合、やり遂げた後にどうしていいか分からなくなり、無気力になりやすい傾向にあります。
無気力症候群になる原因は色々ありますが、なりやすい人というのはいくつか特徴があります。
真面目で一生懸命な人
真面目な人ほど、周りの期待に応えようと頑張るため、無気力症候群になりやすい傾向があります。真面目で一生懸命なのはとてもいい事ですが、それが自分のためや、自分で決めた目標でないと、何のために頑張っているんだろう、という虚無感に襲われやすくなります。
また、小さい頃から親の期待に応えることが当たり前になっていると、大人になった時に自分で主体性を持って動くことが苦手になる傾向があります。例えば、学校も会社も親の勧めるまま人生を歩んできたけれど、会社に入った途端、次の目標が分からなくなるといった場合は、無気力症候群になってしまう可能性が高いです。
完璧主義の人
完璧主義的な傾向がある人の場合、ものごとが100%上手くいっていないと、失敗したと捉えてしまうことが多くなります。100%にするために一生懸命に努力をするという点で、いい面もありますが、手抜きをしないためとてもエネルギーを使います。そのエネルギーが切れた時、無気力症候群になりやすい傾向があります。
勝ち負けを気にする人
もともと勝ち負けを気にしたり、競争心が強い人は、それをエネルギーに頑張れるというメリットもありますが、他人と比較して自分が劣っていると感じると、それをなかなか受け入れられずに気力を失うことがあります。
無気力症候群は、特定のことだけに無気力になるため、なかなか本人が治療が必要という自覚を持ちにくいという特徴があります。うつ病などであれば、無気力だけでなく、辛いという気持ちが強いので、本人も治療を望む傾向にあります。しかし無気力症候群は、趣味や遊びは変わらず楽しめているので、治療をしなくてもそのうち治るだろうと思ってしまいやすいです。
しかし無気力症候群は、放っておくとうつ病などの精神疾患につながる危険性も持っています。無気力で学校を休むようになったり、欠勤が増えて家に閉じこもるようになると、そのままうつ病などを発症する可能性もあります。
ただ、無気力症候群は病気ではないため、これといった特効薬はありません。治療法を挙げるとしたら、生活習慣を改善することと、精神療法になります。
生活習慣の改善
無気力症候群の人は、生活習慣が乱れていることが多いです。生活習慣が乱れると、睡眠の質が下がったり、栄養がきちんと摂れなかったりすることで、疲れが溜まりやすくなり、無気力な状態になりやすくなります。朝起きて日光を浴びる、食事をきちんと摂る、夜はしっかり寝る、そういった当たり前のことであっても、きちんと毎日続けることで、疲れが取れやすくなり、症状が緩和されやすくなります。
精神療法
無気力症候群は前述したとおり、これまで頑張ってきた目標が急に失われることが原因になりやすい症状です。そのため、新しい環境で新たな目標が立てられると、またその目標に向かって頑張っていくことができます。その新しい目標を立てることに関して、精神療法はとても役立ちます。精神科に通うのは気が引ける、病院に行くのは気が重い、という方は、オンラインカウンセリングを活用するのもいいでしょう。
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平日は意欲的に仕事をしている人が休日だけ無気力になるという現象が増えていると言われており、休日無気力症候群や週末うつと呼ばれています。
休日無気力症候群は、次のようなことが原因と考えられます。
対策としては、次のようなことが挙げられます。
無気力症候群にならないためには、完璧主義を目指さない、失敗を気にしすぎない、時には肩の力を抜いて休むようにする、といったことが有効です。
完璧主義や真面目な性格というのはすぐに変えられるものではありませんが、日ごろから少しずつ意識することで改善していくことができます。
あまり周りと比較して競争したりせず、自分のペースで頑張る、周囲の期待に応えることよりも自分のやりたいことを考えるようにする、そういったことを意識するだけでも、予防効果があるでしょう。
無気力症候群は、うつ病などと比べて落ち込みや辛さはないですが、長期間無気力な状態が続くことで、「どうしてみんなができているのに自分はできないんだろう」「どうして急にやる気がなくなったんだろう」とその状況自体に辛さを感じるようになります。
無気力症候群は、放っておくとうつ病などの精神疾患に発展する可能性もあるため、少しでも早く気づき、対策を行うことが大切です。
最近やる気が出ないな、いつもと違うな、と思ったら、まずは周りの人に相談したり、可能であればカウンセリングなどを活用して、早めに対策するようにしましょう。