やらなければいけないことがあるのに、どうしてもやる気が出ない、誰しもそんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
「テストが近いのに勉強する気になれない」「仕事を終わらせなければならないのに手が付けられない」「部屋が汚いのになかなか片付けや掃除に取り掛かれない」など、やらなければいけないと頭ではわかっているのに、なぜかやる気がどんどん失せてしまうこともありますよね。
では、どうしてなかなかやる気が出ないのでしょうか。やる気が出ないときは、どのように対処すればいいのでしょうか。
目次
- まとめ
◆やることが多くて漠然としている
まずは、やることが多くて漠然としているという原因が挙げられます。あれもこれもやらなければいけないときや、目標が大きすぎてやることが漠然としているような場合、何から手をつけていいか分からず、やる気が出にくくなってしまいます。
例えば、家事をしたいとわかっていても、片付け、洗濯、晩ごはんの買い物、子供のお迎え、全部やらなければならないと思うと、何から手をつけようか迷ってしまいますよね。また、英語を話せるようになりたい!と思っても、実際にはどんな勉強法があるのか、何から手を付けたらいいのかが分からず、漠然としているような場合、やる気というものは出にくくなってしまうものです。
◆マンネリ化していてやる気が出ない
毎日やっている仕事や家事などは、どうしてもマンネリ化してしまいがちです。そうして新しい刺激や楽しみがなくなると、やる気が出にくくなります。
「今日もまた同じことをやるのか」「これからもずっと同じ作業を繰り返すのか」と思うと、うんざりしてしまいますよね。
同じ環境や手順、慣れた方法でものごとをこなすことは一見効率的に見えて、実はやる気を阻害してしまっているということがあります。
◆そもそも魅力や価値を感じない
人は、どんなに忙しくても楽しいことや興味のあることは「やりたい」と思いますし、時間を作って少しでもやろうとするものです。好きなゲームは、ちょっとした通勤時間や、5分の休憩時間でもやりたいと思いますよね。しかし、そもそも魅力や価値を感じていないと、どうしても後回しにしやすくなります。
何のためにやるのか分からないことや、何の意味があるのか納得していない作業には、なかなかやる気が出ないものです。
◆周囲からのプレッシャー
これから宿題をやろうと思っていたのに、「宿題をやりなさい」と言われてやる気が失せた、という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。「自発的にやらないと」と思っているときはやる気も出やすいですが、周りから「やれ」と急かされたり、プレッシャーをかけられたりすると、やる気は失せてしまいます。
上司から仕事を依頼されたときも、「これやってくれたら助かる」と言われるのと、「これくらいさっさとやってくれ」と言われるのとでは全く気持ちが違いますよね。毎日やっている家事も、一言「ありがとう」と言われたらやる気が出ますが、「やって当然」という無言のプレッシャーを感じると、やる気が失せるのではないでしょうか。
◆人生の目標や目的が定まっていない
何か人生において目標や目的がしっかり定まっている人は、それに向かって進めるので、やるべきこともやりたいこともはっきりしています。しかし、そこが定まっていないと、「これは本当に必要なことなのだろうか」「本当にやらなければならないことなのだろうか」という気持ちになりやすく、やる気も出にくくなってしまいます。
◆責任転嫁をしている
「自分の仕事が上手くいかないのは会社のせい」「自分の学歴が悪いのは親のせい」など、誰かに責任転嫁をしている状態だと、やる気というのはなかなか出ません。責任転嫁して、「○○のせい」と思うことにエネルギーが使われてしまって、本来のやるべきことに身が入らない状態になります。
もちろん、本当に自分ではなく誰かに責任があるときもあるでしょう。しかし、いつも責任転嫁をしてしまう、過剰に人のせいにしてしまう癖がついていると、なかなかやる気が出にくくなってしまいます。
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◆疲れが溜まっている
単純に疲れが溜まっている状態だと、体を動かしたり脳を働かせる元気がないので、やる気が出にくくなります。仕事が忙しくてあまり休んでいない、家事や育児が大変でゆっくり寝ていない、そんなときは、疲れが溜まっているせいでやる気が出ないのかもしれません。
◆栄養不足になっている
栄養バランスが整っていないときも、やる気が出にくくなります。きちんとした食生活を送れておらず、お菓子やファストフードばかり食べていると、栄養が不足してイライラしやすくなったり、脳が活発に働けなくなって、やる気がなかなか出ない状態になります。
◆ブドウ糖が不足している
脳のエネルギー源はブドウ糖です。このブドウ糖が不足すると、思考がうまく働かなかったり、やる気が出にくくなってしまいます。ダイエットや食事制限などをして糖分を極端に控えているような場合、ブドウ糖が不足しやすくなります。
また、過度な運動をしたあとや飲酒をしたときも、血糖値が下がりやすくなるため、ブドウ糖が不足しやすくなります。
上記のことには気を付けているのにやる気が出ない、そんなときはひょっとすると病気が潜んでいるかもしれません。以下のような症状に当てはまる場合は、心療内科などの専門機関で、適切な治療を受けるようにしましょう。受診するべきかわからない場合は、カウンセラーに相談するという方法もあります。
◆うつ病
うつ病になると、仕事や家事などやらなければならないことに対してやる気がなくなる上に、それまで好きだったことや趣味などにもやる気がなくなってしまいます。うつ病は、精神的なストレスや身体的なストレスが過度にかかることで、脳の機能が低下する状態です。
全てのことがネガティブに感じられ、自分はダメな人間だと思ったり、よく寝れない、何をしても楽しくない、いつもだるい、といった症状がある場合はうつ病も疑ってみましょう。
◆自律神経失調症
自律神経とは、意識していなくても私たちの身体をコントロールしている神経です。
過度なストレスによって自律神経のバランスが乱れて心身に様々な不調が起こることを自律神経失調症といいます。
やる気が出ないだけでなく、イライラする、不安感が強い、慢性的に疲れている、頭痛や動悸がするなどといった症状がある場合は、自律神経失調症も疑ってみましょう。
◆認知症
認知症というと「物忘れ」というイメージが強いかもしれません。しかし、実際には物忘れ以外にもさまざまな症状があり、理解力や判断力、集中力の低下、そして気分が落ち込んだり、やる気が出ない、ということが挙げられます。
「最近、楽しんでいた趣味も途中で飽きてしまう」「鍵や財布を忘れたり物忘れが激しい」「やる気が出なくなり人付き合いも避けている」といった症状がある場合は、認知症を疑ってみましょう。
また、病気ではないのですが、無気力症候群や燃え尽き症候群のような、目標の喪失や疲労が原因となって引き起こされる症候群も疑えます。「受験生が一生懸命勉強して、受験が終わったあと何もする気が起きない」「就活を頑張っていざ希望の会社に入ったけど、入社後にやる気が出ない」といったことが挙げられます。よく休んだり、生活習慣を改善してストレスを減らしたり、新たな目標を立てたり、仕事への関わり方を変えたりすると症状が緩和されやすくなります。
◆無気力症候群について詳しくはこちらのコラムもご参照ください。
では、やる気が出ないときはどのように対処していくのがいいのでしょうか。今すぐ自分でできることを7つご紹介します。
1.少しでいいから始めてみる
やり始めるまではすごく億劫に感じたのに、いざやってみたらなんともなかった、という経験はありませんか。
このように、実際に始めてしまえば案外簡単だった、ということは多いでしょう。
とにかく最初に少しとりかかってみるということは、心理学でも「ベビーステップ」と呼ばれていて、1つ1つ小さな行動を積み重ねることが、結果的にやる気を持続させる、という効果が実証されています。
2.やる気が出ない原因を探す
なかなかやる気が出ないときは、どうしてやる気が出ないのか原因を探してみましょう。マンネリ化していて嫌なのか、やることが多くて整理できていないのか、単純に疲れているのか、原因がはっきりすることで、対処もしやすくなります。
「マンネリ化しているときは、新しいやり方を取り入れてみる」「やることが多いときは紙に書いて整理するなどして優先順位をつける」、「単純に疲れているときは休む」など、原因がはっきりすることで対処法も分かり、やる気を出すための方法が見つかりやすくなります。
3.思いきって何もしないで休む
やることが多すぎたり疲れている場合、何をするのも嫌、という状態になりやすいです。そんなときは、思いきって何もしないで休むというのも1つの手です。仕事がしんどい場合は有給休暇をとったり、家事や育児がしんどい場合は、1時間や2時間でも家事代行やベビーシッターさんを雇って、一人でゆっくりする時間を作ってもいいでしょう。何もしないでゆっくりする時間を作ることで、気持ちが落ち着いて、また頑張ろうと思いやすくなります。
4.運動をして体を動かす
疲労にならない程度に運動をするのもおすすめです。身体を動かすことで血流がよくなり、アドレナリンという物質が分泌されます。アドレナリンが分泌されると、肝臓に貯めていた糖分が血液に放出されるため、脳に糖分が行き渡り、活性化されます。脳が活性化することで、脳の働きがよくなり、やる気も出やすくなるという効果があります。
5.人と話す
人と話をすることで、モヤモヤしていたものがスッキリしたり、前向きな気持ちになることはよくありますよね。大好きな友達と他愛もない電話をしたり、尊敬する上司と話をする、溜め込んでいたストレスを聞いてもらう、そういったことで気持ちがスッキリしてやる気が出ることもあります。
何か溜め込んでいるものがある、モヤモヤすることがある、そんなときは友達や職場の人とお話をしてみるのもいいでしょう。知人に言いにくい場合は、カウンセリングを活用するのもおすすめです。
6.自分へのご褒美を用意しておく
なかなかやる気が出ない場合は、終わったときの自分へのご褒美を用意しておくのもいいでしょう。「この作業が終わったらお菓子を1つ食べていい」「このプロジェクトが終わったら美味しいものを食べに行く」など、自分へのご褒美を用意しておくことで、モチベーションも上がりやすくなります。
7.新しいことをしてみる
いつもの作業がマンネリ化していてやる気が出ないときは、新しいことをしてみたり、新しい方法を取り入れてみるのもおすすめです。いつもの家事に飽き飽きしていたら、新しい掃除方法を取り入れてみたり、いつもの仕事に慣れすぎてしまったら、時間を計って日々早くできるように工夫してみたり、何か新しさを取り入れることで、気分が変わって、やる気も出やすくなります。
やらなければならないこと自体に工夫を取り入れるのが難しい場合は、仕事終わりや休日などに、何かまったく新しいことを始めてみるのもいいでしょう。習い事をしたり、行ったことのないお店に行くなどして新しいことをすれば、日々の生活にハリが出て、今までやる気が出なかったことも、見方が変わってやる気が出るようになるかもしれません。
やる気が出ないときに次のようなことをしてしまうことも多いですが、逆効果となることも多いので気をつけましょう。
NG行動その1:やる気が出ない自分を責める
「ギリギリにならないとやらない自分はなんてダメなんだ」と自分を責めることで、自信がなくなり、さらにやる気を失うことがあります。できなかった事実もあるがままに受け入れることが大切です。
NG行動その2:やる気が出なかった分を一気に取り返そうとする
ふとやる気が戻ったときに、今までの分を取り返そうとして無茶をすると、思ったようにできずに自信を失ったり、調子を崩したりしやすくなります。着実にできることから取り組んでいくようにしましょう。
NG行動その3:寝ない、あるいは寝すぎる
「やる気が出なかった分、寝ないでおこう」あるいは「やる気が出ないので、とりあえず寝よう」と睡眠欲求に逆らって生活リズムを変えると、自律神経の乱れにつながり、意欲が低下する可能性があります。なるべく規則正しい生活を心がけましょう。
NG行動その4:やけ食い
「たくさん食べればやる気が出るのではないか」と考えて、やけ食いをすることも良くありません。ストレスを過食で発散しようとすると、摂食障害につながる可能性もあります。規則正しくバランスのいい食事をとることが大切です。
臨床心理士とは・・・
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うららか相談室には、多くの臨床心理士が在籍しています。
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やる気が出ないときには、原因があります。今回は、すぐに始められる対処法もいくつかご紹介しました。
しかし、やる気が出ない自分に焦って、あれやこれやと試行錯誤していると、かえってストレスや気持ちの落ち込みにつながりやすくなります。思い切って休むときはしっかり休み、じっくりとやる気の出ない原因を探すようにしましょう。カウンセラーと一緒に、現状を整理しながら、着実に解決策を考えていくのも1つの手です。