カウンセリングというと、カウンセリングルームや面接室で、カウンセラーと1対1で行うものがほとんどですが、近年のインターネットの普及に伴い、音声やビデオ、メールによるカウンセリングなど、新しい形態のカウンセリングを受けることができるようになってきました。
皆さんは、このような新しい形のカウンセリングについて、どんなイメージをお持ちですか?
オンラインでカウンセリングを受けることに抵抗があったり、対面カウンセリングと比較すると効果が低いのでは、と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、オンラインカウンセリングは対面カウンセリングとどこが違うのか、また、効果的にオンラインカウンセリングを受けるにはどういったことに注意すれば良いのか等について、ご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
- 対面カウンセリングとの違いと、オンラインカウンセリングの効果
- おわりに
一口にオンラインカウンセリングと言っても、様々な形式が存在します。オンラインカウンセリングの形態による特徴は次のとおりです。
◆ビデオカウンセリング
最も対面カウンセリングに近い形式です。カウンセラーの顔を見ながら話すことができるため、安心感があります。また、カウンセラーにとっても、相談者の表情が見えるため、言葉以外の情報(非言語的メッセージ)がカウンセラーに伝わりやすく、相互のコミュニケーションがスムーズに進みます。
そのほか、ビデオカウンセリングの特徴として、インターネットの接続や機器の操作が必要という点があります。うららか相談室のカウンセリングではzoomというサービスを使っており、お手持ちのスマホやPCで簡単に設定をしていただくことが可能です。
◆電話カウンセリング
目の前にカウンセラーが見えないので、人前で話すのが苦手な人、緊張しやすい人にとって使いやすいカウンセリング方法です。インターネットや機器の操作に影響されにくいといったメリットもあります。
デメリットとしては、沈黙になったときの情報が対面カウンセリングやビデオカウンセリングと比べて少ないという点があります。
◆メッセージカウンセリング(メールカウンセリング)
他のカウンセリング方法と異なり、休憩時間や移動時間などの空き時間を使って気軽に相談をすることができる形式です。他にも、以下のようなメリットがあります。
・書いたり読む作業を自分のペースで取り組める。
・相談内容を書きながら自分の中で整理できる。
・自分が送信した内容や、カウンセラーからの返信を、いつでも読み返すことができる。
・申し込み期間中、毎日メッセージのやり取りができる。
・直接話すと緊張してうまく言葉が出ない人でも、時間をかけて文章にできる。
気軽に相談できる反面、デメリットもあります。
・その場で反応をもらえない、返信までに時間がある。(うららか相談室では、24時間以内に返信)
・書くのがしんどい、面倒なときもある。
・文字だけのやり取りなので、非言語的な情報を伝えられない。
では、従来の対面カウンセリングとはどのように違うのでしょうか。
オンラインカウンセリングならではの効果についてもまとめてみました。
◆対面カウンセリングとの違い
[地理的・時間的な制約が少ない]
オンラインカウンセリングは、カウンセリングルームに出向く必要がないため、地理的な場所を選ばず相談することができます。また、移動がない分、時間を調整しやすいので、忙しい人、外出が難しい人でも受けやすくなっています。自宅など、相談者が慣れている環境で受けることができるため、リラックスして話すことができる点もメリットです。
[費用が抑えられる]
カウンセリングルームといった場所代が必要ないため、対面カウンセリングよりもカウンセリングの費用が抑えられます。そのため、一般的にはオンラインカウンセリングの方が低価格で受けられる場合が多いです。
また、交通費など、移動のコストがかからないので、そういった面でも費用が抑えられます。
[敷居が低い]
思い立ったらすぐに受けることができ、相談に行くところを誰かに見られる心配もないため、匿名制が高く、心理的なハードルが低いです。
[危機的な状況にはそぐわない]
医療が必要な心身状態にある場合や、その可能性が高いと判断される場合は、緊急時の対応ができないため、オンラインカウンセリングはお勧めしていません。これは対面カウンセリングにも当てはまりますが、場合によっては、カウンセリングの中で医療機関の受診を勧める場合もございます。
◆オンラインカウンセリングの効果
対面カウンセリングと比較すると効果が薄いのでは、と思われがちなオンラインカウンセリングですが、海外の研究では、オンラインカウンセリングは対面のカウンセリングに劣らない効果があることが示されています。(※1)
また、オンラインカウンセリングならではの効果として、以下のような点が挙げられます。
・小さな悩みやモヤモヤでも気軽に相談できるので、早めの対処が可能。状態の深刻化を防ぐことができる。
・誰にも言えないような日々の些細な愚痴でも安心して話すことができるため、ストレスを溜めずに心の健康を維持しやすくなる。
・相談者が一番話しやすく落ち着ける場所で受けることができるので、弱い部分も正直に話せる。
・カウンセラーが目の前にいないからこそ緊張しないで話すことができたり、離れたところで助けや支えを求めることができる。
・引っ越しや転勤があっても、同じカウンセラーと面接を継続することが可能。長期にわたってじっくり自分を見つめたい、変わりたいという方や、心のメンテナンスとして定期的に受けたい方でも安心して受けられる。
・初めはメッセージカウンセリングを試してみて、その後、ビデオカウンセリングや電話カウンセリング、対面カウンセリングを受けたりするなど、相談内容によって、そのときの自分に合ったスタイルやカウンセラーを選べる。
・対面カウンセリングを受けた後、フォローアップとして継続的にオンラインカウンセリングを利用することで効果が上がる。
オンラインカウンセリングを受けるにあたり、よく発生する問題点とその解決策についてまとめてみました。オンラインカウンセリングを受ける際はぜひ、参考にしてみてください。
◆沈黙が多くなってしまう
カウンセリングでは、しばしば沈黙になることがあります。自分の気持ちや考えをどう表現したらいいか、どんな言葉がしっくりくるかなどを考えているとき、沈黙になります。また、カウンセラーの反応によって、戸惑ったり、不快に思ったり、でもどう伝えたらいいかわからないなど、いろいろな気持ちが動いて沈黙になるときもあるでしょう。特に電話カウンセリングではお互いの表情が見えないので、沈黙になったらどうしようと不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。カウンセラーは沈黙も大切にしますし、少しでもお話ができるようにこちらから声かけなどのサポートもします。慣れてきたら、「どう言ったらいいかわからなくて」などのやり取りができるようになるかもしれません。
◆言いたいことがうまく伝わらない
オンラインカウンセリングでは、言葉以外の、表情やしぐさなどの情報が少ないことから、微妙なニュアンスが伝わりにくいということもあるかもしれません。しかし、たとえ対面カウンセリングであっても、誰にも話していないような悩みや不安をうまく伝えるというのは、なかなか難しいことです。いざ話したり書いてみると、思うように言葉にならない、伝えきれなかった、ということがあってもちっとも不思議ではありません。なぜなら、自分でわかっていないことはうまく表現できなくて当然なのです。また、早く変わりたいという気持ちから、うまく伝わらないことへの不安やもどかしい気持ちが出てくることもあるかもしれません。
カウンセラーは、いろいろな思いを受けとめながらお話を伺います。少しずつでも構いませんので、ご自身のペースで相談を進めていただければと思います。
◆間違って伝わってしまい、訂正したい
カウンセラーからの反応で、話した内容が間違って伝わってしまったのではないかと感じたときは、そのままお話しいただけるとありがたいのですが、初めての相手や、お互いの信頼関係ができるまでは、言うこと自体が難しいかもしれません。それでも、訂正したいと思った場合は、次の回でも構わないので、遠慮なくお話しください。そういったことを通して、カウンセラーとの信頼関係を築くことにも役立ちます。
◆機器の準備と不具合
ビデオカウンセリングの場合は、インターネットを利用してカウンセリングを行いますので、以下のような問題が発生する場合があります。
・カウンセリング中に接続が切れてしまう
・カウンセリング中に充電がなくなってしまう
・ビデオに自分や相手の顔が映らない
・音声が聞こえない
こういった問題が発生しないよう、事前に以下の点を確認しておくことをお勧めします。
・カウンセリングを受ける予定の場所は、インターネット環境が良好ですか?
・スマホ・PCの充電・バッテリーは十分にありますか?
・カウンセリング前にビデオ・音声のテストを行いましたか?(※)
(※)ビデオ・音声の確認については、以下から簡単にテストすることが可能です。
うららか相談室では、臨床心理士・社会福祉士などの専門家を選び、メッセージ・ビデオ・電話・対面形式のカウンセリングを受けることができます。
匿名で相談ができるため、家族や友人に知られることなく、安心して相談していただくことが可能です。
ここまで、オンラインカウンセリングの特徴と効果・問題点と解決方法を見てきました。
最後に、カウンセリングの目的別に、オンラインカウンセリングをより効果的なものにするための心構えを紹介します。
◆話を聞いてほしい、ストレスを吐き出したいという場合
誰かに愚痴やイライラを話したい、とにかく悩みを聞いてほしいという気持ちの時には、うまく話そうとか、順序立ててわかりやすく話さなければと思わず、そのままお話しください。溜めていたものを吐き出すことが重要なこともあります。
1回~数回、話してみると、次はこんなことを話そうかな、これを聞いてみたいという気持ちが出てくるかもしれません。その時は、思いついたときにメモをしておいて、それを見ながら話すという方法もいいですね。
◆困っていることや悩んでいることについて、専門家の意見を聞いてみたい、アドバイスが欲しい場合
このような場合は、事前に相談したい内容を書いておくと効率的です。たとえば、次のような項目を参考にしてみてください。
・今、困っていること、悩んでいることはなんですか?
・今の心の状態を言葉で表すとしたらどんな感じですか?
・眠れないなど、身体の症状で気になる点はありますか?
・いつ頃から悩んでいますか?
・何かきっかけや、原因になる出来事がありましたか?それはなんですか?
・相談に至った経緯はなんですか?
・悩みを解決するために今までにやってみたこと(誰かに、あるいはどこかに相談したか、試してみたことなど)はありますか?
・悩みが解決したらどうなりたいですか?また、相手がいる場合、相手にどうなってほしいですか?
決してすべての項目が必要ではありません。わかる範囲で少し書き出してみると、ご自分の中で整理するきっかけにもなります。
◆思うように書いたり話したりできない場合
つらいとき、しんどいとき、なんだかわからないけれどモヤモヤする、イライラするという場合は、思うように言葉にならないことが多いものです。まとめようとすると、かえってカウンセラーに伝わりにくくなってしまうこともあります。お話をうかがいながら一緒に考えていきますので、特に準備したりせず、少しずつお話しください。
臨床心理士とは・・・
悩みを抱える人との対話をベースに、精神分析や心理療法を使って問題の解決をサポートする「こころの専門家」です。
臨床心理士の資格は厳しい学習条件が求められ、心理業界では長年にわたり根強い信頼性を持っています。
うららか相談室には、多くの臨床心理士が在籍しています。
メッセージ・ビデオ・電話・対面、あなたが一番話しやすい方法で、悩みを相談してみませんか。
オンラインカウンセリングについて、イメージがつかめたでしょうか?
不調を感じているけれど、病院に行くほどではないと考えてひとりで悩んでいたり、いろいろな啓発本を読んだり試してみたけれど、思うようにいかない、と感じている方にとって、オンラインカウンセリングは新しい相談ツールになると思います。
深刻な状態になる前にメンタルヘルスの予防をしたり、日々の心のメンテナンスとしても、オンラインカウンセリングは適しています。
少しでも興味を持たれた方は、自分が話しやすそう、と感じるスタイルのオンラインカウンセリングを一度試してみてはいかがでしょうか。より多くの人が自分らしく生きることができるよう、お手伝いできればと思います。
(参考文献)
※1 SNSカウンセリング・ハンドブック 誠信書房