今日では「カウンセリング」という言葉がすっかり馴染みのあるものになりましたが、その実際はよく分からないという方も多いのではないでしょうか。カウンセリングを受けてみたいけど、何をするのか、料金はどれくらいかかるのか等、いろんな不安から躊躇することもあるかと思います。
そんな方に少しでも安心して検討してもらえるよう、カウンセリングについて詳しくご紹介していきます。
目次
- おわりに
まず、心理カウンセリングとは何か、その基本から見ていきましょう。
・カウンセリングとは
カウンセリングは、「相談」や「助言」という意味を持つ英語「counseling」が由来です。今ではそのまま「カウンセリング」と使われることも多いですね。
美容院や化粧品販売店などで店員が客の要望を聞き取って提案するような形の相談も、カウンセリングと呼ばれることがあります。つまり、カウンセリングとは、専門家、あるいは知識や技術を持った者が、依頼者の相談に乗ったり助言したりすること全般を指す総称です。
・心理カウンセリングは心の問題に関する相談
そういったカウンセリングの中でも特に、心理やメンタル面に関する専門家が行う相談活動が、心理カウンセリングです。カウンセリングを受ける側は、相談者、来談者、クライエント等と呼ばれます。
・資格を持っているカウンセラーを選ぼう
実は、「カウンセラー」と名乗るために必要な資格等は特にありません。とはいえ、より適切な心理カウンセリングを受けるためには、やはり相応の資格を持ったカウンセラーを選ぶことをお勧めします。
心理カウンセリングに関する資格には、以下のようなものがあります。
☑ 臨床心理士(日本臨床心理士資格認定協会)
☑ 公認心理師(国家資格)
☑ 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会)
☑ 臨床発達心理士(臨床発達心理士認定運営機構)
☑ カウンセリング心理士(日本カウンセリング学会)
このほかにも様々な資格がありますが、養成講座を受講すると取得できるものから、大学院修了が必須条件である臨床心理士まで、それぞれの資格の専門性には幅があります。
取得にもっとも時間や要件を要する、専門性が高い資格は臨床心理士と言えますが、2019年に認定が開始された公認心理師は、カウンセラー界では唯一の国家資格となっています。相談内容にもよりますが、より高い専門性や倫理観を備えたカウンセリングを受けたい場合は、臨床心理士と公認心理師の両方を持っているカウンセラーを選ぶのも、ひとつの目安になります。
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ここからは、より具体的に心理カウンセリングの内容について見ていきましょう。
・心理カウンセリングには様々な種類が
カウンセリングの基本は、気持ちやお困りごとをお話することです。カウンセラーには守秘義務があるので、相談者から聞いたことを許可なく他者に漏らすことは、基本的にはありません(自傷他害の恐れがある場合など、例外はあります)。したがって、これまで誰にも言えなかったことでも安心して話すことができます。
原則としてカウンセラーは、相談者のお話を否定や遮断することなく傾聴します。そして、お話や要望をじっくり聞いたうえで、改善に向けてどんなアプローチがあるのかを提示し、その都度一緒に最善のやり方を選んでいきます。
過去の出来事や気持ちも含めて、その時話したいことを話しながら記憶や感情を整理するというような一般的なイメージのカウンセリングはもちろん、それ以外にも認知行動療法や暴露療法、トラウマ治療など様々な方法があります。
また、相談者とカウンセラーが1対1で行う一般的な形だけでなく、家族も同席で行う家族カウンセリングや、夫婦同席の夫婦カウンセリング、同じ悩みを抱える人たちが集まって行うグループカウンセリングなどもあります。
お悩みの内容によって適している方法が異なる場合や、カウンセラーによって対応できる方法が限定されていることもありますので、ご心配ならば事前に確認したりカウンセラーとよく相談したりすることをお勧めします。
・困っている人のしんどさを軽減することが心理カウンセリングの目的
心理カウンセリングの目的は、主に困った心理的症状や、症状とまでは言えなくとも悩んでいることを軽減したり、自分なりの対処法を見出したりしていくことです。したがって、カウンセリングが必要な人とは、心理的な困り感を抱えていてそれをどうにか改善したいけれど、自分ひとりではどうにも難しく、専門的な支援を受けたいと思っている人、とも言えます。
「こんな大したことない悩みでも相談していいのかな」と迷ってしまうこともあるかもしれませんが、ご本人が困っていて誰かに相談したいと思っているなら、それだけでも充分カウンセリングを受ける理由になり得ます。どんなことでも相談して大丈夫です。
心理カウンセリングの効果には、人やお悩み、状況によって様々な表れ方があります。
否定されない環境で話せたことですっきりしたり、安心感や自分がおかしいのではないのだという自信が持てたりするだけでも、人によっては充分な効果だと感じられることもあります。また、カウンセリング内で困っていた症状への対策を話し合い、普段の生活の中で実践することで、症状が軽減していくことも分かりやすい効果と言えます。
何をゴールにするか、そして、そこへのアプローチをどんなふうにするかは人や状況によっても変わってくるのですが、根本的に対処したい場合は年単位の時間がかかることもあります。また、1回のカウンセリングで相談者が「楽になった」「とりあえず大丈夫」と感じられるようなら、単発で終わることもあります。
では、カウンセリングを受けるには、どこに行けばよいのでしょう?
・病院から自宅まで、いろんな場所で受けられる
カウンセリングが受けられるのには、下記のような場所が挙げられます。
☑ 心療内科、精神科など病院やクリニック
心療内科などの精神的な問題を対象とする医療機関では、医師の判断や患者の希望を踏まえて、カウンセリングを受けることが可能です。身体的な症状が出ている場合や薬とカウンセリングの併用が推奨される状態でも、投薬とカウンセリングが一か所でできるのは医療機関ならでの特色です。
☑ 個人開業のカウンセリングルームなど
臨床心理士や公認心理師などのカウンセラーが個人開業しているカウンセリング施設でも、カウンセリングを受けられます。医師がいないところがほとんどなので、医療が必要な場合には適しません。
☑ 会社や学校
産業カウンセラーやスクールカウンセラーのように、所属している組織にカウンセラーが在籍している場合は、そのカウンセリングを利用できます。
☑ 児童相談センターや保健センターなどの公共機関
子どもやその保護者は、児童相談センターにてカウンセリングを受けることも可能です。また、保健センターや教育センターなど、公共機関でもカウンセリングを行っているケースが多いので、こういった機関が対象とするお困り事がある方は、ぜひお住まいの自治体の相談事業や精神保健事業を確認してみてください。
☑ オンラインや電話
近年では、オンラインカウンセリングという手段も登場しています。医療機関やカウンセリング施設がオンラインカウンセリングにも対応しているという場合や、オンライン専門の民間業者、自治体が提供するオンライン相談事業などがあります。オンラインカウンセリングには、ビデオや電話、メールなどの種類があります。
通える範囲にカウンセリングを受けられるところがない、何らかの事情で通うことが難しい場合には、オンラインを活用するのも一手段です。
心理カウンセリングにはどれくらい料金がかかるのか、とても気になる方も多いかと思います。料金はカウンセリングを受ける場所や内容によって異なります。
・精神科や心療内科での一部のカウンセリングは保険適用
精神科や心療内科など、医師の診察によって治療上カウンセリングが必要と判断された場合は、保険適用となります。どの診療報酬を加算するかによって異なりますが、保険が適用されると3割負担の場合で2,000~3,000円程度の自己負担となるケースが多いようです。
ただし、条件を満たす一部のカウンセリングのみが診療報酬の対象になるので、医療機関でのカウンセリングすべてに保険適用されるわけではありません。
・保険がきかないカウンセリングが一般的
心療内科などで行われる一部のカウンセリング以外は、保険適用されないカウンセリングの方が一般的です。医師のいないカウンセリング施設やオンラインカウンセリングなど多くの場所で行われるカウンセリングは保険がきかず、全額自己負担となります。
保険がきかない場合のカウンセリング料金は、場所や技法によって様々ですが、5,000円~20,000円程度となるケースが多いです。
・無料で受けられるカウンセリングもある
お伝えしてきたように、高額になることも少なくないカウンセリング料金ですが、これだけの金額を効果が実感できるまで継続的に支払っていくのは難しい方もいることと思います。そういった場合は無料で受けられるカウンセリングを検討されると良いです。
児童相談センターや保健所などの公共機関や、会社や学校など所属している機関で受けるカウンセリングは基本的に無料です。
お伝えしてきたように、カウンセリングの内容や料金などは統一された規格のようなものがあるわけではなく、場所やお困り事によっても大きく変わってきます。
カウンセリングに期待することや改善したい点はどのようなものなのか、カウンセリングにどれくらい時間やお金を使えるか等々、ご自分の要望や気持ちを整理すると、どこでどんなカウンセリングを受けるとよいかが見えてくるかと思います。
その辺りが明確にはなっていなくても、とにかく話を聞いてほしいなど、カウンセリングを受けたいという気持ちがあるならば、相談してはいけないことなどありません。
少しでもご自分に適したカウンセリングを受けられるよう、この記事を参考にしていただけたらと思います。