「自分はカウンセリングが必要な人なのだろうか」「カウンセリングを受けるべきか分からない」と、カウンセリングを受けるのを迷っている人は多いのではないでしょうか。
カウンセリングは基本的に自分の意思で自由に受けてよいものですが、職場によっては、ストレスチェックで高ストレスと判定された人はカウンセリングを受けるべきと推奨されているところも少なくはありません。
カウンセリングが必要な人とはどのような人なのか、ストレスチェックとはどのようなものなのか、また、簡単にストレスチェックで自己診断ができる方法について、解説します。
目次
カウンセリングとは、心理学の知識や技術を持ったカウンセラーとの対話によって、相談者の悩みやこころの不調、問題などの解決を目指すことをいいます。
「自分がカウンセリングを受けるべきか分からない」と、カウンセリングを受けるのを迷っている人も多いですが、カウンセリングは基本的に自分の意思で自由に受けてよいものです。うつ病などの病気でなくても目的があれば、カウンセリングを受ける効果があります。
例えば、カウンセリングを受ける目的には次のようなことが挙げられます。
上記に加えて、カウンセリングが必要といえるのは、次のような場合があります。
特に、薬物療法や休養だけでは治療が難しかったり、再発の可能性があったりする場合には、カウンセリングが必要といわれることがあります。うつ病をはじめとする精神疾患は、本人の考え方や性格、行動パターン、コミュニケーション(対人関係のあり方)などが要因となっていることが多く、カウンセリングを受けて自分自身と向き合ったり、変容を促したりすることで、はじめて根本的な治療につながると考えられています。
例えば、万引き(窃盗)や盗撮、暴力、暴走、いじめなどの反社会的問題行動がやめられず、他人に被害や迷惑をかけてしまっている人は、カウンセリングが必要な人といわれることがあります。ただし、これらの問題行動は、何らかの病気に起因していることも多いため、医療機関の受診も推奨されます。
また、次のように、カウンセリングを受けることができない、または推奨されない場合があります。
精神疾患を抱えている人の状態によっては、休養や薬物療法が優先されたり、カウンセリングで自分の心と向き合うことが逆効果になったりすることがあります。通院中の人は、主治医に許可を得た上で、カウンセリングを受けるようにしましょう。
本人が問題意識を抱えておらず、カウンセリングを受けたり改善に取り組んだりしようとする意思がない場合は、カウンセリングの効果があらわれにくくなります。
ただし、周囲の関わりやカウンセラーの動機づけ面接によって、カウンセリングに意欲的になる場合がありますので、家族や身近な人が専門家に相談したり、迷っている場合にまずは一度カウンセリングを受けてみたりすることも大切です。
カウンセリングは継続することで効果が実感されやすいと考えられています。
経済的/環境的に厳しい状態であり、カウンセリングの継続が難しい場合には、社会資源を活用したり、環境を整えたりして、継続的なカウンセリングが可能な状態をつくることを優先するのも大切です。
今まさに危機が差し迫っているような状態では、じっくりと自分の心と向き合うカウンセリングは不向きであり、医療機関・救急、保健所や精神保健福祉センター、警察などの公的機関への相談が急がれます。
カウンセリングは基本的に自分の意思で自由に受けてもいいとはいえ、カウンセリングが必要かどうかをセルフチェック(自己診断)したいという人もいるのではないでしょうか。また、企業では、従業員にカウンセリングを受けさせるべきか分からないという担当者も少なくないでしょう。そのような方は、次に紹介するストレスチェックを参考にしてみるといいかもしれません。
ストレスチェックとは、メンタルヘルス不調を未然に防ぐために、調査票を使って労働者が抱えているストレスの大きさを調べる検査です。50人以上の労働者がいる事業場では、医師や保健師、精神保健福祉士、公認心理師などの資格を持ったストレスチェック実施者による、年1回の実施が義務付けられています。
ストレスチェックでは、調査票の回答からストレスレベルが点数化され、点数によって高ストレス者が選定されます。高ストレス者のうち、希望者には医師の面接指導を受けさせる必要があります。また、事業者は面接指導の結果に基づき、従業員のメンタルヘルス不調を防ぐために、医師の意見を聞き、労働環境を改善する対策などを講じる必要があります。
ストレスチェックで高ストレス者に選定された従業員へカウンセリングを受けられる体制を整えている企業もあります。カウンセリングが必要か迷っている場合は、ストレスチェックの結果を参考にしてみるのもいいかもしれません。
うららか相談室では、オンラインカウンセリングを福利厚生で従業員に提供することができます。
カウンセリングは、メンタルヘルス不調の予防だけでなく、退職者の減少や生産性の向上にもつながることが期待されています。
最後に、職場のストレスチェックを家庭でも簡単にできる方法や、働いていない人でもできる簡易ストレス度チェックリスト、50人未満の事業所で簡易的にストレスチェックを実施する方法を紹介します。
1.厚生労働省「5分でできる職場のストレスセルフチェック」
厚生労働省の「5分でできる職場のストレスセルフチェック」は、職場のストレスチェックを家庭でも簡単にできる、信頼性の高い自己診断サイトです。
57問の質問に4択で回答することで、ストレスの高さの目安が分かるだけでなく、ストレスの原因、ストレスによる心身の反応、ストレス反応への影響因子の3項目についての円グラフや詳細なコメントが表示されます。
自分のストレスに関する状態を把握したり、ストレスを軽減するために専門家に相談するのが一つの方法であるかを知ったりすることができます。
https://kokoro.mhlw.go.jp/check/
2.簡易的ストレス度チェックリスト(桂 村上版)
簡易的ストレス度チェックリスト(桂 村上版)は、村上正人と桂載作が作成した、日常のストレス度を判定する調査方法であり、多くの場面で用いられています。
職場のストレスチェックとは異なり、働いていない人でもチェックしやすいのが特徴です。
以下の30項目のうち、当てはまる項目にチェックしてみましょう。
チェックした項目数に応じて、ストレス度は以下のように判定されます。
0~5 正常
6~10 軽度ストレス(休養が必要)
11~20 中等度ストレス(専門家への相談が必要)
21~30 強ストレス (心療内科や精神科が必要)
3.厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム
厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムは、事業場でダウンロードすることにより、ストレスチェックを簡単に導入できるよう、従業員の回答と結果の出力、集団分析などを行うことができる、事業者用のプログラムです。
厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムの機能は以下の通りです。
50人未満の事業所でも簡易的にストレスチェックを実施できるのが特徴です。
https://stresscheck.mhlw.go.jp/about.html
カウンセリングは、病気でなくても気軽に受けることができるものです。ストレスチェックや自己診断の結果に関わらず、自分の目的に応じてカウンセリングを受けてみることも検討してみてください。
うららか相談室では、プロフィールから自分でカウンセラーを選んで、ビデオ・電話・メッセージ・対面形式のカウンセリングを受けることができます。申込みはwebで24時間受け付けており、深夜・早朝のカウンセリングや当日予約にも対応しています。