働くことがつらくて悩んでいませんか?仕事にはつらさもつきものですが、つらいことの中にも達成感や充実感を得られていれば、健康的な心の状態を維持できるはずです。しかし、生活とのバランスをとれないほどつらい思いをしているのであれば心配なところです。「毎日がつらい」「仕事のことを考えると食欲がわかない」など、思いつめるほどに仕事について悩んでいませんか?「もう辞めたい」と思うほど仕事のストレスが体や心に悪い影響を与えているときは、うつの入り口かもしれません。今回は仕事のつらさからくる、うつの初期症状と対策について解説していきます。
目次
- おわりに
エン・ジャパンが実施した退職のきっかけ調査(※1)では、「やりがいがない」「給与が低い」など、労働条件が合わないことを理由に退職する人が多いという結果が出ています。こういった理由は、職場を変えれば問題が解決するような場合が多いと思います。
記事を読んでいるみなさんが、仕事を辞めたいと感じている理由はなんでしょう。明確に理由を挙げることが難しく感じませんか?ストレスに晒され続けている人は、「つらい」と感じながらも、何がつらいのかわからなくなってしまっている人が多いと思います。ストレスの原因を避けようがないため、仕事に行くたびに傷ついてしまうのです。
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正体の見えないストレスにはどう対処したらよいのでしょうか?まずは見過ごしてしまいがちなサインについてご紹介します。
【身体からのサイン】
① 不眠・早朝覚醒
「夜なかなか寝付けない」「夜中に目が覚めてしまう」といった睡眠の変化を感じていませんか?体からのサインで気づきやすいのは不眠傾向です。疲れているはずなのにストレスから体の緊張状態が続き、就寝時間になってもリラックスできないため熟睡できなくなってしまいます。
② 食欲不振
食事は体に栄養を補給するだけではなく、心身ともにリラックスするための大切な行為です。しかし、ストレスを抱えていると食欲がわかなかったり食事をしてもおいしさを感じなかったり、食べることによる楽しみを感じづらくなります。1か月のあいだに5キロ以上も体重が減少してしまう方もおり、そのような状況の場合、ますます体力が落ちてしまいます。
③ 倦怠感
不眠や食欲不振とつながって、体が非常に重くだるく感じます。帰宅する元気がなくて駅から自宅までタクシーで移動することが続いていませんか?忙しくて疲れているのではなく、体からうつのサインが出ているのかもしれません。
【精神面にみられるサイン】
① 感情が鈍くなる・現実感がなくなる
これは、喜怒哀楽の感情を揺り起こすような出来事があっても、なんとも思えない状態のことを指します。目の前で起きていることに関心がわかず、心と体が遠く離れたような気持ちになります。
② 不安や焦燥感に襲われる
「なんとなく気持ちが晴れない」「毎日がつまらない」というようなすっきりしない気分が2週間以上続いていませんか?憂うつな気分が続くと漠然とした不安感や先の見えない問題に対しての焦りなど、次第に気持ちが追い詰められていきます。感情がよみがえったような感覚にもなりますが、正しく現実の情報を受け取れずにマイナスの情報に振り回される状態になります。
③ 意欲の低下
②のような面がありつつも、実際に行動を起こすだけの気力がなくなってしまいます。「なんとかしなきゃいけないのに、なにもできない」という状態に陥るため、こころに体がついてこないような感覚になります。「会社に行かなきゃいけないのに、ベッドから起き上がれない」というようなこともよく起こります。
【行動面でのサイン】
① 部屋が散らかる
倦怠感が続き、部屋では横になっていることが多くなります。そして片付けようという気力がわかないので部屋が散らかっていきます。洗濯ものが溜まってしまったりペットボトルやお弁当の空容器を捨てられなかったり、ゴミを出す時間に起きられなかったりと様々な要因があります。
② ケアレスミスが増える
集中力の低下により、チェックミスや入力ミスが増えてきます。上司から注意される回数が増えたり、身に覚えのないようなミスが起きていたりするようであれば要注意です。
③ 待ち合わせに遅れる
うつの症状があると行動意欲がわきにくくなるため、家を出なければいけない時間になっても部屋から出られなくなります。準備にも時間がかかるようになったり先を読んで行動することができなくなったりするため、待ち合わせにはいつも遅れるような状態が続きます。
これまで述べてきたような初期症状は「疲れているだけかも」「まだがんばれる」と見逃してしまうことも多いものです。これらを放置してそのままの生活スタイルを続けるとどのような影響があるのでしょうか。
うつ病の方からのお話で、とてもよく聞くのが「ある朝突然、起き上がれなくなった」というものです。多忙から体を壊してしまうという話を耳にする方は多いと思いますが、体と心の限界はある日突然やってきます。限界を迎えてしまった体をもとの状態に戻すにはとても時間がかかります。それぞれのサインが見られたら、早めに対処することが必要です。
うつの初期症状が現れたら、以下のように対処してみてください。
① 精神科・心療内科を受診する
うつは基本的には脳の仕組みがうまく働かなくなることで起こります。医学的なアドバイスをきちんと受けられるように病院を受診しましょう。精神科はなかなか行く気持ちになれない方もいらっしゃると思いますが、休職をする際に意見書をもらうこともできるため、なるべく受診することをおすすめします。
② 専門家に客観的なアドバイスを求める
精神科に行くことに抵抗がある、行く時間がないという場合、まずは専門家にアドバイスを求めることも有効です。うららか相談室では臨床心理士や看護師、精神保健福祉士などの専門家に気軽にアドバイスを受けることができます。精神科を受診することについての不安についても相談に乗ってくれます。アドバイスを受けることでうつの初期を乗り切れたらよいですね。
③ 休職を検討する
うつのさなかにいると「ここで自分が抜けるわけにはいかない」「休んだら戻ってこられない」と不安ばかりが大きくなってしまいます。現在は各企業が休職やその後の復帰に関して専門の窓口を置いていることも多く、休職することは認められやすくなっています。一度職場を離れて、体と心を十分に休めてみてはいかがでしょうか。
休職を検討する際には雇用保険や傷病手当などの給付について目処をつけておきましょう。気力がわかない中で何もかもどうでもいいと感じてしまう方もいらっしゃいますが、休職中に収入があることは大きな安心にもつながります。総務課などに相談してみましょう。うららか相談室でも、社会福祉士・精神保健福祉士などは傷病手当の申請についてアドバイスをすることが可能です。ぜひご活用ください。(※カウンセラーによってできない場合もございます。)
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日本は休職すると、再チャレンジすることが難しいと言われてきました。みなさんの中にも一度職場を離れたら二度ともとには戻れないと感じている方もいらっしゃると思います。しかし、昨今は職場でのメンタルケアの重要性が叫ばれるようになり、制度も充実してきているため、うつや心の不調によって一時的に仕事から離れることは大変なことではなくなってきています。症状が悪化して、回復に時間を要するようになる前に体を休めることを検討してみてください。
(参考文献)
※1 8,600名に聞いた「退職のきっかけ」調査。転職理由は「給与」「やりがいのなさ」「企業の将来性」。―『エン転職』ユーザーアンケート調査 結果発表― エン・ジャパン
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2018/13174.html (参照:2020-05-29)
うつ病サプリ http://www.utsu-s.jp/(参照:2020-05-29)