仕事をしていれば、誰しも一度や二度は「仕事がしんどい」「仕事に行くのが憂鬱」と思うことがあるのではないでしょうか。しかし、「しんどい期間がずっと続いている」「毎日が楽しくない」などと、いつもと違うことが起こっていたら、深く注意が必要です。それはもしかすると、「身体や心が疲れているので、何らかの形で対処したほうがいいですよ」という危険サインかもしれません。放っておくと、うつ病などのこころの病にかかってしまう可能性もあります。
では、仕事のしんどさから来る危険サインとして、具体的にはどのようなことが挙げられるのでしょうか。また、危険サインを察知したら、対処法として何をすればいいのでしょうか。
目次
- まとめ
以下の身体的な症状に思い当たる人は、仕事や生活に対する見直しが必要かもしれません。
◆疲れが取れない
今まではしっかり休めば疲れがとれていたのに、「寝ても疲れがとれなくなった」「休日にしっかり休んでもダルさが抜けない」といった状態になっているのであれば、注意が必要です。
心身が健康な状態であれば、寝たり休んだりすると疲れはとれるものですが、大きなストレスを抱えると、自律神経が乱れやすくなり、身体の修復がうまく行われなくなります。結果、いつまでたっても疲れがとれなかったり、休んでも気だるさが抜けなかったりするのです。
◆眠りが浅い、眠れない
「疲れているのに、眠りが浅くなった」「寝付くまで時間がかかる」「寝てもすぐ起きてしまう」など、睡眠に何かしらの変化が見られるのは、身体がストレスをため込んでいるサインかもしれません。ストレスと睡眠の関係は深く、うつ病には睡眠への障害がよく見られます。
以前よりも眠りが浅くなっていたり、睡眠時間が短くなったりしている場合には、注意が必要です。
◆微熱が続く
微熱が続いているのであれば、慢性疲労症候群を疑ったほうがいいかもしれません。慢性疲労症候群は、極度の疲労感が長期間続く病気で、微熱や疲労感、頭痛などの症状が見られます。原因ははっきりしていませんが、ストレスや疲れが悪影響を及ぼすと考えられています。
風邪でもないのに微熱が続く場合や、解熱剤を飲んでもあまり効果がない場合には、注意が必要です。
◆肩こりや腰痛がとれない
疲れやストレスに長期間さらされていると、筋肉が緊張しやすくなり、慢性的な肩こりや腰痛が起こりやすくなります。マッサージなどをして痛みが改善されるのであれば、それほど心配はいりませんが、「何を試しても再びすぐに痛くなる」「痛みがなかなか軽減されずに、ずっと痛みを伴っている」という場合には、注意しましょう。
◆朝起きられない
今までは朝に気持ちよく起床できていたのに、「気持ちよく起きられない」「何度も遅刻をしてしまう」という場合は、疲れがとれていなかったり、睡眠の質が下がっていたりする可能性があります。特に、「二度寝がやめられない」「きっちりと目覚ましをかけているのに起きられない」「身体が言うことをきかない」という場合には、うつ病などが潜んでいる可能性もあります。
◆頭痛がとれない
頭痛が続いたり、急な立ちくらみやめまいが継続して発症したりする場合も、注意が必要です。過度にストレスを受けると、自律神経が乱れやすくなります。自律神経が乱れると、様々な不調が生じやすくなり、頭痛やめまいといった症状も起こりやすくなります。
「痛み止めを飲んでもまたすぐに痛くなる」「頻繁に立ちくらみやめまいがする」といったことがあれば、これも危険サインだと思ってください。
◆腹痛や吐き気がする
胃や腸はストレスの影響を受けやすく、ストレスを感じると腸は活発に動いて、お腹が痛くなることがあります。
小さい子が、幼稚園や学校に行きたくないときにお腹が痛くなるのと同じで、ストレスを感じると腸は活発に動くことがあります。また、胃酸が多く出て、胃痛がしたり吐き気がしたりする人もいます。腹痛や吐き気を、一度だけでなく何度も経験しているという場合は、注意が必要です。
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以下のメンタル面での症状に思い当たる人は、仕事や生活に対する見直しが必要かもしれません。
◆職場に行くのが苦痛
朝起きて、「職場に行くのが苦痛に感じる」「会社の人と顔を合わせるのがつらい」という場合も、危険サインの可能性があります。毎日職場に行くのが楽しみという人は少ないですが、ただネガティブなだけではなく、「毎日が苦痛で、朝は憂うつな気分になる」「職場に行くことを想像したら、頭痛や腹痛がする」といった症状が出ている場合は、何らかのこころの病にかかっている可能性があります。
◆常に仕事が楽しくない
仕事をしていると、しんどいことやつらいときもありますが、「常に楽しくない」「やりがいや楽しさを全く見いだせない」と思っている場合は、この先ずっとその仕事をやり続けていくことに対しての不安やストレスで、精神的に追い込まれやすくなります。楽しくないことを続けていると、うつ病などのこころの病にかかりやすくなってしまうため、早めに対処する必要があります。
◆仕事に集中できない
心身にストレスがたまっている状態では、脳も疲れてしまい、集中力が低下します。脳の疲労は、長時間労働や過剰なストレスが原因になりやすいとされています。
脳が疲れた状態を放置していると、感情のコントロールが難しくなり、わけもなく落ち込んでしまうことが多くなり、うつ病などのリスクも上がってしまうので、注意が必要です。
◆休日も楽しくない
仕事の日だけでなく、休日も楽しくない、テンションが上がらないという場合も、仕事がメンタルに悪影響を及ぼしている可能性が高いです。通常は仕事が多少しんどくても、休日に自分の趣味を楽しんだり、家族や友人と和やかに過ごしたりしているときは、気持ちにも少し余裕が生まれるものです。休日も楽しくないのであれば、精神的にかなり追い込まれている可能性が高いでしょう。
休日に出かけるのも億劫であったり、次の出勤のことを考えてしまって気分が落ち込んだりする場合には、注意が必要です。
◆仕事の夢ばかり見る
寝ている間にも仕事の夢ばかり見ると、休みたいのに疲れてしまうという矛盾を抱えることになります。夢でも仕事のことが頭から離れない場合には、普段から気持ちがリラックスできていない可能性があります。また、起きたときに夢を覚えているのは、眠りが浅い証拠でもあります。眠りが浅い状態が続いていると、精神的にだけでなく肉体的にもつらくなりやすいので、注意が必要です。
では、ここまでご紹介した危険サインが出ているときには、どのように対処していくのがいいのでしょうか。うつ病などの予防のためにも、意識的に以下の対処法を取り入れていくことをおすすめします。
◆休んでみる
可能であれば、少し休みを取ってみましょう。長期休暇を取得する必要はありませんが、3~4日休むだけでも、気持ちが落ち着き、身体が休まるかもしれません。余裕があれば、温泉などでゆっくりしたり、普段は出かけないところに出かけたりして、リフレッシュしてみましょう。一人の時間を作ることで、仕事に対してのモチベーションや思いを考え直すためのきっかけになるかもしれません。
◆上司など職場の人に相談する
思い切って上司など職場の人に相談するのもおすすめです。場合によっては今と異なる仕事を任せてもらえるかもしれませんし、部署の移動や配置換えなど検討してくれるかもしれません。職場に自分の悩みを聞いてくれる人をつくることはとても心強いことです。
また、相談する際には、抱えている悩みや不満を話すだけではなく、「自分がどうしたいか」「どう思っているのか」も一緒に伝えるのがおすすめです。
ネガティブな話ばかりだと、相談を受ける側も負担を感じてしまい、具体的な解決策を一緒に考えるのが難しくなることがあります。あなたの考えや希望を伝えることで、より前向きな話し合いができるようになるでしょう。
◆仕事の目標を決めてみる
なんとなくやる気が出ない、集中できないという場合は、仕事の目標を決めてみるのもおすすめです。大きな目標ではなく、「午前中はこれをやる」「この作業は1時間以内に終わらせる」といった小さな目標でも十分です。目標を決めることでメリハリが出ますし、作業効率も良くなります。早く仕事が終われば、その分だけ早く帰って、休む時間も作りやすくなるので、ダラダラ仕事をしてしまうという人は、小さくてもいいので目標を決めてみるといいでしょう。
◆自分へのご褒美を決めてみる
何か頑張った後や、仕事が一区切りしたタイミングでの自分へのご褒美を決めてみるのもいいでしょう。ちょっと高級なお菓子を買ってみたり、行ってみたかったお店に出かけたり、自分の気持ちが前向きになるようなことをご褒美にしてみましょう。
ご褒美が待っていると思うと仕事のモチベーションも上がりやすくなりますし、ご褒美を何にしようか考えるだけでも、楽しみが増えます。自分なりの楽しさを組み込むことで仕事のしんどさを和らげることができるでしょう。
◆ストレス発散方法を見つける
ストレスがたまっている人は、自分なりのストレス発散方法を見つけてみましょう。カラオケで歌ったり、友達とランチをしたり、軽い運動でもいいでしょう。誰かに相談したり、悩みを打ち明けたりするだけでも、ストレスの軽減は期待できます。
仕事をしているのにストレスが全くないという人のほうが稀です。ストレスをなくすことは難しいですが、ストレスをうまく発散できるようになると、ストレスをため込まずに済みます。
◆転職も検討してみる
ハードルも高く、早計な判断は禁物ですが、どうしても仕事内容や職場の環境が合わないという人は、転職も検討してみましょう。新しい環境に身を置けば、気持ちも身体もリセットされやすくなります。「色々と改善してみたけどやはり仕事内容が合わない」「何を試しても、一緒にいるだけで苦痛な人が職場にいる」という場合には、慎重に転職を検討するのも最終手段として考えられます。
経済的な問題を抱えている人や、就職先が見つかるか不安な人は、退職前から事前に転職活動をしておきましょう。
◆カウンセリングや心療内科を活用する
「精神的にかなりしんどい」「一人で抱え込んでいてつらい」という人は、カウンセリングや心療内科を活用することをおすすめします。うつ病などのこころの病は、早期に手を打てば回復も早く済みますが、慢性化すると回復まで時間がかかる可能性があります。また、何より自分自身がとてもしんどい思いをすることになります。
「まだ私は大丈夫」と言い聞かせているうちに、重症化してしまう可能性もありますので、「一人でしんどさを抱え込んでしまっているな」と思った時点で、カウンセリングなどで相談をするようにしましょう。専門家に話を聞いてもらうことで、気持ちも楽になりますし、具体的な解決策が見つかるかもしれません。
「心療内科に行くのはハードルが高い」という方は、オンラインカウンセリングで、まずはこころの専門家に相談してみましょう。
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「仕事がしんどい」というのは、一度や二度であれば誰しもが経験することでしょう。しかし、それがずっと続いている場合、放っておくとうつ病などのこころの病にかかってしまうリスクもあります。
精神的にしんどいだけでなくて、身体にも症状が出はじめているときには、一人で抱え込まずに職場の人に相談したり、休みを取ったりするようにしましょう。気持ちの落ち込みが強すぎる場合はカウンセリングを受けるようにして、自分の心と向き合うようにしましょう。