普段は楽しく過ごしているつもりでも、ふとした瞬間に虚無感に襲われる、そんな経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。中には、日常的に虚無感にとらわれていたり、虚無感がすごいために何もやる気が起きないという人もいるでしょう。
虚無感に襲われる原因とは一体何なのでしょうか。また、虚無感の解消法にはどのようなものがあるのでしょうか。
目次
- 虚無感とは
- まとめ
虚無感とは、むなしい気持ち、人生や世の中に対して何も意味や価値を感じられない状態のことです。
例えば、家族のために一生懸命働いてきたのに、子どもと過ごす時間がなかなか取れなかったために、結果として家族を失ってしまった…そんなときに、一体今まで何のために頑張ってきたのかが分からなくなり、自分には大切なものが何も残っていないような気持ちになるでしょう。
こうしたむなしい気持ちや、これから頑張るための意味や目標を失ってしまった状態を、虚無感と言います。
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虚無感に襲われる原因として、どのようなことが挙げられるでしょうか。
◇生きがいを失ってしまった
大きな人生の目標を持っていたにもかかわらず、それを失ってしまったときには、特に虚無感に襲われやすくなります。例えば、「恋人のために頑張って働いていたのに、別れることになった」「大好きな歌手のライブに行くのを楽しみに勉強を頑張っていたのに、引退してしまった」といったように、生きがいを失ってしまうと、虚無感に襲われやすくなります。
◇信頼していた人に裏切られた
信頼していた人に裏切られると、誰のことも信用できなくなり、虚無感に襲われやすくなります。「よく遊ぶ友達が、陰で悪口を言っていた」「大好きな恋人が、隠れて浮気をしていた」など、信頼していた人の裏切りはとてもショックな出来事です。信頼していた人を信じられなくなることで、心にぽっかり穴があいたように感じられ、さらに人と関わることを避けてしまうために、いっそう虚無感に襲われやすくなります。
◇恋人との別れや離婚
大好きな恋人との別れや離婚も、心のよりどころが突然なくなることで、虚無感に襲われやすくなります。特に、相手に依存しやすい人ほど、パートナーを失ったときの喪失感が大きくなります。
別れの前に心の準備をしたり、時間をかけて納得した後で離婚したりする場合には、それほど虚無感に襲われないということもありますが、急に別れを告げられたり、離婚の理由に納得できないような場合には、虚無感が強くなりやすいでしょう。
◇将来について漠然とした不安がある
「今の仕事をこのまま続けていて大丈夫なのだろうか」「今のパートナーとこのまま付き合い続けていいのだろうか」といったように、将来に対して漠然とした不安がある場合にも、虚無感に襲われやすくなります。将来について漠然とした不安があるということは、今何のために頑張ったらいいか分からず、これといった目標や生きがいのない状態であることがほとんどです。将来に対して不安を感じてはいるものの、その不安を解消するために具体的に何をしたらいいか分からないという場合には、虚無感が強くなりやすいでしょう。
◇人とあまり関わらない
自分のためだけに頑張るというのは、だんだんとやりがいを感じにくくなることが多いでしょう。誰かのために頑張ったり、感謝されたりすることは、生きていく上で大きな喜びとなります。しかし、あまり人と関わらないでいると、自分が誰かのためになったとか、人に感謝されたという実感を得られないため、人生の喜びを感じにくくなります。ずっと家と職場の往復ばかりで、休みの日も出かけない、というような生活をしていると、虚無感は強くなるでしょう。
虚無感に襲われやすい人というのは、どのような人が当てはまるでしょうか。
◇真面目な人
物事を真面目に考えるというのは良いことですが、真面目すぎると、「しなければいけない」と思うことが多くなり、ストレスがたまりやすくなります。大きなストレスを一人で抱え込んでいると、自律神経が乱れやすくなり、気分が沈んだり憂鬱な状態が続いたりするため、虚無感に襲われやすくなります。
◇感受性が強い人
感受性が強い人とは、自分の周りで起きていることや刺激に対して敏感に反応し、感情が揺さぶられやすい人のことをいいます。感受性が強いことは、小さな変化に気づくことができ、他人と共感しやすいという点で長所だと考えられるのですが、一方で他人の何気ない言動に過剰に傷ついてしまうことも多く、虚無感に襲われやすくなります。
感受性が強くても、ポジティブにものごとを捉えられるのであれば、虚無感に駆られることがないという人も多いですが、感受性が強い上にネガティブに物事を捉えやすい人は、虚無感に襲われやすくなるでしょう。
◇目標や信念がない人
人生における目標や信念がない人も、虚無感に襲われやすくなります。生きていれば少なからず嫌なことやショックな出来事が起こりますが、そのときに人生の目標や信念があれば、いったんは落ち込んだとしても、また目標に向かって頑張ることができます。しかし、目標や信念がない人は、未来に向けて何をしたらいいか分からず、生きがいを原動力に困難を乗り越えられることもないため、虚無感に襲われやすくなります。
虚無感に襲われたときには、どのように解消するといいのでしょうか。
◇虚無感と向き合う
虚無感を放置したり、我慢したりしていると、苦しくなり、抑うつ状態になることがあります。自分の気持ちを見過ごさず、まずは虚無感と向き合うことで、「どうして自分は虚無感に駆られるのか」「どうすれば虚無感を解消できそうか」など、一度しっかり考えてみるようにしましょう。
◇何か夢中になれるものを探す
人生において、やりがいや目標がない場合には、自分が夢中になれそうなものを探してみるのがおすすめです。仕事でもいいですし、趣味でもいいでしょう。はじめは思うようにいかないことでも、続けているうちに目標ができたり、あるいはもっと他に打ち込めるものが見つかったりするかもしれません。
何かに夢中になっているときは、人生が楽しく感じられますし、思考もポジティブになります。仕事で成果を出すことができれば、周りから感謝されることも増え、ますます虚無感に駆られにくくなります。
やってみたかったことや、興味があったけれども実際にやっていなかったことなど、新しいことにチャレンジするのもいいでしょう。
◇朝に日光を浴びる
日光を浴びると、脳はそれを活動時間と認識し、睡眠を促すホルモン(=メラトニン)の分泌を抑えるようになります。メラトニンは、この「目覚め」からおよそ15時間後に再び分泌されますが、メラトニンが日中に多く分泌されると、眠気や気だるさが抜けず、何もやる気が出ないという状況に陥りやすいです。
朝に日光をしっかりと浴びることで、脳に睡眠リズムを認識させ、体内時計を整えることができます。そうすると日中は活動的になり、夜もよく眠れるようになるため、虚無感に襲われにくくなります。
◇人と交流する
人とあまりふれあっていない場合には、誰かと交流する機会を増やしてみましょう。友達を遊びに誘っていない人は自分から声をかけてみたり、時間がある人はボランティアに参加したりするのもいいでしょう。
人と交流することで、楽しみが増えるだけでなく、他人から自分という存在が認識されているという実感を得られるため、虚無感に襲われにくくなります。
◇運動をする
適度な運動をすると、自律神経が整いやすくなり、憂うつな気持ちを晴らしたり、睡眠の質を良くする効果が見られます。心身の調子が良好になるだけでなく、運動が趣味になると、楽しみや目標ができたり、同じ運動をする人達で交流ができたりすることもあり、虚無感を解消することができます。
運動が苦手という人は、ウォーキングやストレッチから始めてみるのもいいでしょう。
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虚無感という言葉は曖昧であるため、虚無感に襲われているだけだと思っていたものが、実はうつ病や統合失調症などの精神疾患の症状だったということもあります。うつ病や統合失調症になると、根気よく時間をかけて治療していく必要があります。虚無感により、食欲や興味が減退したり、眠れなくなったり、人生が無価値だと思うようになるとうつ病の傾向があります。
心身が疲れているときには、無理に頑張るのはよくありません。心や身体の疲れから虚無感を感じている人は、生活リズムを整えることを念頭に置いて、しっかりと休憩をとることが大切です。心と体が元気になってきたら、人生における目標や生きがい、楽しみの見つけ方について、ゆっくり考えてみるといいでしょう。
つらいことやショックなことがあり、虚無感に襲われてしまったとき、虚無感を無視したり我慢したりしていると、抑うつ状態になってしまうことがあります。
虚無感と向き合って、人生における目標や生きがいを再設定することによって、虚無感を解消していくことができるでしょう。