認知の歪みは、ものごとに対してほとんど無意識に「~すべき」「白か黒かはっきりさせなければならない」「全て自分のせい」といった極端な考え方をしてしまっていることを指し、この極端な考え方によって日常生活で様々な困難を生じているという見解から、思考パターンや行動の変容を取り入れることで、ストレスを減らすことができるという概念です。
認知のしかたは人それぞれであり、正解はないという観点から、近年では「認知の歪みを治す」といった考え方ではなく、「ストレスを感じにくい認知のしかたも取り入れる」といった考え方がされています。
「歪み」という表現が一見すると否定的であるため、認知療法という心理療法によく用いられる「非機能的思考」ということばが使われることもあります。
例えば、仮にいつも嫌な思いばかりしているという人を想定してみてください。今日も友人からの何気ない一言に嫌な思いをしたとします。
このとき友人からの一言を聞いて、嫌な気持ちに至るまでの「最初のきっかけ」として頭に浮かぶ考え方があります。これを自動思考といいます。一例として「他人は自分のことをよく思っていない」といった考え方が挙げられます。また、この自動思考(スタート地点となる考え方)は人によって異なり、それぞれたどり着く結果が違います。同じ一言を聞いても、嫌な気持ちになる人とポジティブに捉える人がいるといった具合です。例えば、「友人は自分と話がしたい」という自動思考から始められた場合、友人の一言は「自分と話をするために言ったのだから、思ったことを返して会話を続ければいい」と解釈することができます。
そして、このように別のスタート地点から始めたときに導き出される結果が、あなたにとってストレスの少ないものであったり有意義なものである場合、最初に思い浮かんだ考えは「非機能的だった(自分にとって役に立たなかった)」ということができます。これが、非機能的思考のイメージです。
このように自分の考え方の癖に気づくことで、今まで抱えてきた様々な問題を解決できる場合があります。といっても、考え方の癖というものは自分でそう簡単に気づけるものではありません。自身の内面と向き合う際には、体験したことやそのときの感情を自分の内だけに留めず、共有しながら整理していくためのカウンセラーの存在がとても助けになります。ぜひ、うららか相談室のカウンセリングを活用してみてください。