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  1. 認知の歪みとは?代表的な10項目と具体例を紹介

認知の歪みとは?代表的な10項目と具体例を紹介

更新日 2024.10.03
自身の性格・能力
うららか相談室

「毎日のように傷ついている」「日常で自分だけが憤りを感じることが多い」といった悩みを抱えていませんか?自分の性格や言動の傾向を把握して改善するためにも、「認知の歪み」について理解しておくと、役に立つ場合があります。

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目次

- 認知の歪みとは

- 自動思考とは

- 認知の歪み10項目

- 認知の歪みを治す方法

- まとめ

認知の歪みとは

認知の歪みとは、「認知=物事の捉え方」に「歪み」があるとされていることをいいます。

いま地球上で起きている「事実」とは、全て人間を通して「認知」されたものに過ぎません。

例えば、目の前にリンゴがあったとして、一般的な成人にとっては「リンゴがある」ことが事実として認知されるわけですが、リンゴを見たことがなければ、ただ「赤い丸いものがある」という事実にしか映りません。

つまり、同じ光景や出来事に遭遇しても、事実として得られるものは、認知の仕方によって異なります。出来事の受け止め方が人によって違うために、それに伴う感情や行動も、時として他人に理解されなかったり、常識外れとされてしまったりすることがあります。

もっと日常的な具体例として、近所の人にごみの出し方について指摘されたときのことを想定してみます。ある人は「そうだったのですね!次から気を付けます。」と指摘してもらえたことを前向きに受け止め、次に活かそうとします。しかし、ある人は「いちいちそんなことを注意しなくても」とイライラしたり、「私はゴミ出しもきちんとできないなんて、ダメな人間だ」と自己否定をしてしまったりします。起きていることは同じでも、捉え方が違うとこのような気持ちの違いが生じます。

認知の歪みとは、同じ出来事に遭遇した際に、歪んだ捉え方をすることで、自分の気持ちが不安になったりイライラしたり、ネガティブなものになることを指します。また、程度の問題であるため、「認知の歪みが全く無い」という人はいません。さらに言えば、近年では「認知の歪み」という考え方も古くなってきました。なぜなら、認知の仕方に正解がなく、ゆえに歪みと言える根拠がないからです。人それぞれ違う認知の仕方を「特性」であると考えて、そんな「特性」に苦しんでいる人に対しては、矯正するのではなく、別の視点を与えて両方の認知ができるようにするというイメージが最近の認知行動療法の主流です。

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自動思考とは

自動思考とは、特に自分が意識しなくてもパッと頭に浮かぶ思考のことです。先ほどのリンゴの例でいえば、目の前に置かれたものがリンゴだということは何も考えなくても分かりますよね。「この赤くて丸い物体は…、つい先日も食べて味は…」といちいち考えず、「これはリンゴだな」と頭に浮かぶでしょう。

このパッと頭に浮かぶ思考は、人によってクセがあります。友達からメールの返信がなかったときに、「忙しいのかな」と思い浮かべる人もいれば、「嫌われているのでは…」と思い浮かべる人もいますよね。この頭に浮かぶ思考のクセが、認知の歪みを引き起こしています。

認知の歪み10項目

1976年に心理学者のアーロン・ベック(Aaron Temkin Beck)によって認知の歪みの基本的な理論が提唱され、その後に、デビッド・バーンズ(David D. Burns)が様々な例やパターンにかみ砕いて、「認知の歪み」の概念を広めていきました。

たくさんのパターンがありますが、以下の代表的な10項目をご紹介します。


認知の歪み1.白黒思考(オール・オア・ナッシング)

全ての物事を白か黒ではっきりさせなければ気が済まないことを言います。ちょっとしたミスや失敗があると、全部がダメと考えてしまいます。

物事や人が完璧であるということはありませんよね。完全に良い人もいなければ、完全に悪い人もいません。いいところもあるし、悪いところもあるのが普通でしょう。しかし、白か黒かはっきりさせたいという完璧主義的な思考が強いと、ちょっとした発言や行動で、相手のことを良い人か悪い人か判断したりする傾向があります。自分が行動したことに対する振り返りや自己評価についても同様で、満足できることが少なくなります。


(例)

「彼はときどき失敗するので、能力がない人だ」と考える
去年これといって良いことがなかったがために、「最悪の一年だった」という印象を持っている


認知の歪み2.過剰な一般化

たった一度や二度起こったことでも、それがいつもどんなシチュエーションにおいても起こるかのように認識してしまうことです。「いつも」「絶対」「すべて」「常に」「全く」「決して」という言葉をよく使う人によく見られます。


(例)

描いた絵を批判され、「自分には全く絵の才能がない」と失望する
薬を飲んだのにすぐ病気が治らなかったため、「薬なんて絶対に効果がない」と思う


認知の歪み3.ポジティブ要素の否定(マイナス思考)

良いことがあっても良いと思えなかったり、全て悪いほうへ考えてしまったりすることです。例えば、テストで90点を取ったとしても、ポジティブ思考であれば「高得点だ!」と考えられますが、マイナス思考だと「どうしてあと10点が取れないのか」と自分を責めたり、「90点なんて誰でもとれる」と思って、良いことを自分で認めなかったりします。


認知の歪み4.結論への飛躍

根拠もなく、誰にも分からないような将来を決めつけてしまったり、人のちょっとした言動で、その人の考えていることを決めつけてしまったりすることです。

前者については、例えば、10年後のことを考えるとき、10年の間に何が起こるかは分からないので、曖昧な推論でしか語ることができませんが、「私の将来は孤独だ」「私が幸せな人生を送れるはずがない」と決めつけてしまうような傾向があります。

後者については、例えば、相手のちょっとした発言で「きっと嫌われているに違いない」「私のことを悪く言っているはずだ」と決めつけてしまうといったことが挙げられます。しかし、相手の気持ちはその人でないと本当のところは分かりません。別のことで機嫌が悪かったのかもしれませんし、疲れていただけかもしれません。それを勝手に決めつけることで、一人で空回りしたり、相手に対して気まずい反応をしたりして関係性を悪化させる傾向があります。


認知の歪み5.フィルタリング

良いことをシャットアウトし、悪いことばかりを見てしまうことです。人生では、良いことも悪いことも両方起こりますよね。しかし、こうしたフィルターがかかっていると、実際には良いことが起こっていても、悪い部分しか見えないため、全体を通して「悪いものだった」という評価をしてしまいます。


(例)

友達と旅行を満喫していたはずなのに、「ホテルの人に嫌な対応をされた」ことで、最悪な旅行だったと思う
人を評価するときに「服が汚い」「引っ込み思案だ」などとネガティブな要素しか思い浮かべられない
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認知の歪み6.感情に基づいた判断

自分の感情を根拠にものごとを決めつけてしまうことです。「あの人と話しているとき、悲しい気持ちになったので、私のことが嫌いなのだ」「映画がとても退屈だったので、この作品を面白いと言っている人は嘘つきだ」といったように、「自分がそう感じるならば、そのことが事実でなければならない」という考え方をします。


認知の歪み7.過剰な拡大解釈、縮小解釈

少し良くないことが起こると、連想できる最悪の事態まで結び付けたり、大げさにものごとをとらえたりすることです。逆に、良かったことに関しては、別に大したことがないと感じてしまいます。

そして、自分の普段の認識と比べ、他人を評価する場合は、良いところが大きく見えて、欠点や失敗は小さく見えます。

自分がちょっと仕事でミスをしたら、「自分はなんてダメなのだ」と必要以上に落ち込むのに、いい成績を残したときは、「これくらいのことなら全員ができる」と過小評価します。他人がミスをしても、「これくらいよくあることなのに」と思ったり、いい結果を残したときは強く羨望したりします。


認知の歪み8.ラベリング、レッテル貼り

たった一度起きたことや一部の性質によって、自分や他人にネガティブなレッテルを貼ってしまうことです。「過剰な一般化」が極端に行き過ぎている状態とも言えるでしょう。

万引きや喧嘩を起こした人間が、自身を「犯罪者」と認識することによって、より大きな犯罪に手を染めやすくなるのと同様のメカニズムです。

たった一度のミスで、「私はダメな人間だから、もうなにも挑戦できない」とマイナス思考になったり、「あの人は恋人を泣かせてしまって、冷徹な人間に違いない」とレッテルを貼ったりします。


認知の歪み9.個人化と非難

自分に一見関係のないことであっても、自分の責任に結び付けることです。

「家族の仲があまりよくないのは、私がもっと楽しいことを言わなかったからだ」「友人が落ち込んでいるのは、自分が励まさなかったからだ」といった具合に、本当は自分に責任がなくても、自分のせいにしてしまいます。


認知の歪み10.「すべき」化

ものごとや出来事に対して、「~すべき」「~であるべきだ」といった理想像のようなものが必ず存在しているかのように考えることです。自分の中でルールやベストな方法をつくってしまっているので、それが守られなかったり、できなかったりしたときに、激しく落ち込んでしまいます。また、相手がそれをしてくれなかったときは、イライラしたり失望したりします。


(例)

「昨日食べ過ぎたのに、今日運動をしないなんて自分が許せない」と、罪悪感でいっぱいになる。
「学校の先生だったら、生徒のことは全て解決しないといけないのに」と、クレームを入れる。


認知の歪みを治す方法

誰しも少なからず認知の歪みを持っています。認知の歪みがあるからといって治さなければいけないということではありません。生きづらさを感じたり、いつも苦しい思いをしたりしている人が、その原因や解決策を導きやすくするための手段の一つと考えるのがいいでしょう。

では、自分でも治したいと思うぐらいに認知の歪みが起きていると思ったら、どうすればいいのでしょうか。


◆紙に感情を書き出す

まずは、身の回りで起きたことや自分が感じたことを、紙に書き出してみましょう。特に、周囲との違いを実感した出来事について整理してみます。起きたことはなるべく客観的に、気持ちはなるべく率直に書き出すといいでしょう。書き出したものを、代表的な認知の歪みと照らし合わせて、自身の考え方のクセに気づくことができれば、第一ステップはクリアです。

次に、その感情に伴う行動を変えるように意識していきます。感情はすぐに変えることはできませんが、行動は比較的変えやすいはずです。行動から変えていくことによって、感情や考え方のクセも整合性を取るようになり、変わっていきやすくなります。


◆カウンセリングを受ける

一人で客観的に自分を分析することはとても難しいことです。カウンセラーに相談することで、比較的早く考え方のクセに気づくことができるでしょう。その後の行動についても専門家から具体的なアドバイスをもらえますので、ぜひ頼りにしてみてください。

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まとめ

「認知の歪み」は近年ではある種の個性や特性のように考えられるようになり、耳にすることも少なくなってきていますが、ご紹介した10の代表的な指標は、自分自身について理解を深めるために非常に有益です。認知の歪みとして考えられる傾向にはもっとたくさんのパターンがありますので、自分の考え方のクセを理解して生きづらさを解消していきたいという方はぜひうららか相談室のカウンセリングを活用してみてください。

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このコラムを書いた人
オンラインカウンセリングうららか相談室運営スタッフ
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