場面緘黙症(選択性緘黙)は、話す能力はあるのに自分の意思とは関係なく特定の場面で話すことができなくなる不安症の一つです。多くの場合は子どものときに発症し、家族とは話すことができるものの小学校や保育園で周囲が気付いて、場面緘黙症と発覚することが少なくありません。しかし、場面緘黙症を抱えたまま大人になる人や、症状を理解してもらえずに性格の問題とされたりつらい思いをしてきたりしている人も多いです。
場面緘黙症になる原因ははっきりとは分かっておらず、様々な要因があって発症すると考えられていますが、不安になりやすい気質(遺伝要因)の影響がよく見られ、対人コミュニケーションの不安を抱えていることが多いです。
・場面緘黙症を改善したい
・場面緘黙症の子どもへの対応が分からない
このようなことでお悩みではないですか。
場面緘黙症の改善には、周囲の理解と支援が大切です。すべての症状がすぐに改善するとはいえないので、話せなくなる状況について整理したり、ストレスや不利益をなるべく被らないように環境を見直したりして、それぞれに合わせたスムーズな治療が受けられるようにします。
治療には、おもに認知行動療法という分類の心理療法が用いられます。認知行動療法の中には、不安を軽減する方法を習得(または服薬により不安を軽減)したうえで順番に不安な場面へ慣れていくことや、ものごとの捉え方を見直してストレスにうまく対処できるようにすることなどがあり、カウンセリングの枠組みの中で用いられることが多いです。
また、場面緘黙症を抱える子どもの親の中には、症状が出たときの対応がわからなかったり、自分の育て方を責めたりして悩む人も少なくありません。子どもの不安を理解して正しい支援を行えるよう、小児の疾患や子育てに詳しい専門家と一緒に対応を考えていくことも大切です。