境界性パーソナリティ障害(BPD)とは、対人関係や自己イメージ、気分・感情の変動が著しく不安定で、衝動的な行動を起こしやすいために、日常生活に支障をきたしたり、周囲が困惑したりしてしまう、パーソナリティ障害の一種です。
例えば、「相手に見捨てられたのではないか」「自分のことを大事にしてくれていない」という不安が強いために、ささいな出来事に対しても、圧倒されるほど深く傷ついたり、怒りをあらわにしたり、ときには自傷、危険な性行為、過食、浪費、無謀な運転、相手に心配してもらうための自殺のそぶりなどの行き過ぎた行為に及ぶことがあります。
また、冷静な状態になって、自身の衝動的な行動を後悔して自分を責めたり、思い悩んだりすることがあります。
境界性パーソナリティ障害では、他人や自身に対する評価や捉え方が極端であり、馴染みのない相手を理想化しては幻滅したり、自分の価値観や環境を突然変えたりする傾向が見られます。
さらに、強いストレスを感じたときに、一時的に妄想思考が見られる場合があります。
境界性パーソナリティ障害には、幼少期にストレスやトラウマを抱えている人が多いとされています。また、強い分極化思考(白か黒かでものごとを認識してしまうこと)によって日常生活に支障をきたしているため、専門家による認知行動療法(特に、弁証法的行動療法やスキーマ療法)などの精神療法が有効とされています。
ただし、抑うつ気分や衝動性を抑えるために、並行して薬の処方が必要な場合もあります。また、うつ病やほかの障害が併発している場合には、そちらの治療も同時に行うことがあります。