PMDDとは、月経前の3~10日ほど前になると、抑うつや情緒不安定、不安、怒りなど、つらい気分の不調が顕著にあらわれる状態を指します。月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder)ともいい、2013年に正式な病名として知られることとなりました。月経前、精神的に不安定になり実生活に支障をきたすことが多いからと、人間関係を避ける人も多く、女性の数十人に一人はPMDDといわれています。
PMS(月経前症候群)は、月経の3~10日ほど前になると、精神的・身体的に不快な症状があらわれる傾向のことをいいます。このPMSの精神的な不調が特に重く、1年間のほとんどの月で症状が見られる場合、PMDDと診断されます。
したがって、生理が始まると症状が落ち着く、同じ期間に身体的不調などPMSの症状が見られる、といったように症状が月経に基づいていること、また精神的不調がうつ病やパニック障害、パーソナリティ障害など他の症状のみによるものでないことが前提となります。
PMSと同様に、原因ははっきりと分かっていませんが、女性ホルモンが影響していると考えられています。
PMDD(月経前不快気分障害)の治療には、抗うつ薬として知られるSSRIが用いられます。同時に、PMSの緩和にも用いられる低用量ピルが併用されることもあります。PMS(月経前症候群)と同様に、疲労やストレスによって症状が重くなりやすいため、自分の周期リズムを把握し、リラックスやセルフケア、気分転換を取り入れられるようにすることで、対処しやすくなります。また、周囲の理解を得て協力してもらったり、生活環境を整えたりすることによっても、症状を悪化させないようにすることができます。
カウンセリングでは、上記の環境調整や生活改善、ストレスの軽減によってPMDDの症状の緩和を図ります。また、PMDDの抑うつや情緒不安定といった症状があらわれたときの行動やコントロールのしかたについても考えていくことができます。