「自分の殻を破りたい」と感じたことはありませんか。幼い頃はなんでもできると思っていたけれど、歳を重ねるごとに、自分の限界を自分で決めつけてしまったり、自分にできることとできないことを無意識のうちに選んでしまったりということはよくありますよね。
自身のことを分析できているのは悪いことではありませんが、自己の領域を決めつけることで、可能性を広げるチャンスを逃してしまうリスクもあります。
チャンスに気付き、自分の殻を破って自分を変えたいと思いはじめる人は多いですが、いざ行動に移そうと考えたときに、具体的に何をしたらいいか分からないという悩みを抱える人が少なくありません。
では、自分の殻を破るにはどうしたらいいのでしょうか。そもそも自分の殻とは、いったい何なのでしょうか。
目次
- おわりに
自分の殻とは、自分の思い込みや先入観、偏見、決めつけ、恐れや心配のことを指します。「本当はやってみたい」と思うことがあっても、「自分にはどうせできないだろう」と諦めたり、「失敗したら恥ずかしいからやめておこう」と自分で制限をかけてしまったりすることが、自分の殻に閉じこもるということになります。
過去にした失敗や恥ずかしかった出来事、チャレンジしたけど達成できなかった経験などがあると、「また同じことになるのではないか」「頑張っても、また苦い経験をするくらいならやめておこう」という心理が働き、いま置かれている現状が自分の殻となってしまいます。
すなわち、自分の殻をつくることは、人間の防衛本能が関係すると考えられ、ごく自然なことと考えらえます。
しかし、この自分の殻を破ることで、今まで諦めていたことにチャレンジできたり、新鮮な経験をしたり、新しい自分に出会ったりすることができます。
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自分の殻があると、せっかくのチャンスを逃してしまうリスクがあります。
例えば、新しくやってみたい仕事があったとしても、過去の経験から「自分にはどうせ無理だろう」と諦めてしまうことがあるでしょう。新しい人間関係を築きたくても、自分は人付き合いが苦手だからと遠慮してしまうこともありますよね。
このように、自分の殻がなければチャレンジできることも、自分の殻を持ってしまっていることで、気持ちが阻止されやすくなります。
失敗したり、恥をかいたり、苦い経験をしたりしなくて済むということをメリットと考えることもできますが、生活がマンネリ化したり、気分転換の機会が少なくなったりして、ストレスがたまりやすいというデメリットも考えられます。
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では、自分の殻を破れない人の特徴とは何でしょうか。
◆挑戦することが恐い人
新しいものに挑戦するということは、必ずしも上手くいくわけではなく、時には失敗することもあるでしょう。自分の殻を破れない人は、この失敗を非常に恐れる傾向があります。
もちろん、無謀なチャレンジをすることが常に良いことであるとは限りません。大人になると守るべきものができますし、失敗した際のリスクについてはしっかりと考えておくことも大切です。しかし、「リスクについて考えること」と「リスクを恐れること」は別です。
「失敗した際に、具体的にどうしたらいいか」という対策を考えておくことで、恐いという気持ちを和らげることができますし、チャレンジのハードルを下げることができるはずです。
◆自分に自信がない人
自分に自信がないと、過去に挑戦して失敗したことだけでなく、別のことに対しても「きっと自分には無理だろう」と思いやすくなります。
特に、過去に失敗をした際に、恥ずかしい思いをしたり、悲しい思いをしたりしていると、「また馬鹿にされるのではないか」「またつらい思いをするのではないか」とそのときの感情がよみがえり、自分の実力以上のことを避けようとするため、自分の殻に閉じこもりやすくなります。
◆先入観や固定概念が強い人
先入観や固定概念が強いと、「男性ならこうあるべきだ」「親ならこうするべきだ」「上司ならこれくらいのことはできないといけない」といったように、思い込みでものごとを判断しやすくなります。自分の殻についても、「こうあるべきだ」と実際よりも小さな枠を設定してしまったり、「殻を破るのは困難だ」と思ったりしやすくなります。
また、新しい価値観を取り入れることができないので、時代から取り残されてしまうというリスクもあります。
◆成長したいと思っていない人
自分の殻を破りたいと思う時は、「自分の可能性を広げて、成長すべき」と思っている時でもあります。「自分はこのままでもいい」「別に成長しなくてもいい」と思っている人は、自分の殻を無理に破る必要はありません。自分の殻に閉じこもることで困ることがあったとしても、成長したいという気持ちがなければ、その場をやり過ごしてしまうだけでしょう。
では実際に、自分の殻を破りたいと思ったら、どのように行動するのがいいでしょうか。
◆環境を変えてみる
自分の殻を破るためには、住む場所を変えたり、行動範囲を変えたりすることが非常に有効です。環境が変わると、新しい価値観に出会ったり、新鮮な刺激を受けたりしやすいので、自分の中にも変化が生まれて、殻を破るきっかけになりやすいと考えられます。
◆あえて失敗してみる
自ら進んで大きな失敗をする必要はありませんが、あえて失敗して恥ずかしい思いをすることで、思っていたよりも恥をかくことのダメージが大きくないと実感したり、周囲がフォローしてくれることによって自分以外の力に気付くきっかけになったりします。自分の殻を破れないという人には、プライドが高くて、傷つくのが怖いという人も多くいます。そういう人は、失敗をポジティブにとらえることで、自分の殻を破りやすくなります。
◆自分の殻を紙に書いてみる
自分の殻となっていると考えられるものを紙に書くことで、勝手に決めつけてしまっていることや思い込んでいることが明確になりやすいでしょう。「どうして自分にはできないと思うのか」「いつからチャレンジできないと思うようになったのか」について思い出しながら書くことで、自分の殻について冷静に考えることができます。
殻が具体的になることで、「その殻を破るためにはどうしたらいいのか」という具体的なアクションも明確になります。
◆まずは行動してみる
自分の殻があると、失敗した際のリスクをあれこれと考えて結局行動できなくなることが少なくありません。もちろん、リスクについて考えることは大切ですが、まずは行動してみることで、少なからず自分の殻を破るきっかけになります。
◆知らない人に会ってみる
新しいサークルに入るなどして、今まで知らなかった人たちと出会うことで、新しい価値観を知ったり、新鮮な刺激を得たりすることができるため、自分の殻を破るきっかけになることがあります。また、新たに人と話すことで、自分がどのように見えているのか、自分はどのように他人に振る舞っているのかについて見つめ直す時間をつくることができます。
◆いつもと逆の行動をする
毎回注文しているランチ、毎日通る道、毎週着る服などが決まっている場合、いつもと違うものを選んだり、普段はとらないような逆の行動をしたりすることで、自分の常識を破ることができます。「普段は人に甘えられないけど、思い切って甘えてみる」「毎週日曜日は家で過ごすことが多いけれど、遠出してみる」といったように、いつもと逆の行動をしたり、選ばないようなことをあえて選んだりすることで、自分の殻を破りやすくなります。
◆他人からの評価を気にしない
「これをしたら嫌な顔をされるのではないか」「相手に嫌われてしまうのではないか」といったことを気にしすぎるあまり、自分の殻を破るための行動ができずにいる可能性があります。人は他人の変化を最初は受け入れられなかったり、今のままが落ち着くと思われたりするものですが、相手の評価というものは自分が考えすぎているだけで、実際のところそれほど気にしていないことも多いです。なお、それでいて最終的に殻を破った自分のことを相手は正しく評価してくれるものです。
自分の殻を破ろうとするあまり、あれもこれもと環境を変えたり、無謀なチャレンジを続けたりすると、学習性無力感という状態に陥ったり、適応障害などのストレス性の問題を抱えたりするリスクがあります。無理なく自分の殻を破りたいという方には、カウンセリングを活用して、カウンセラーと一緒に客観的かつ専門的な意見を取り入れながら、なりたい自分と現状を整理して、着実にものごとに取り組むことをおすすめします。