人生の中頃、40代前後になると、自分の人生について振り返る人は多いのではないでしょうか。仕事盛りな20代~30代を終えて、ちょうど落ち着いた頃に、ふと自分の人生について考えることが増えてくると思います。
ですが、その際に「自分の人生って何だったのだろう」「自分の本当にやりたかったことって何だっけ」と生きる意味を問いただして、強く思い詰めてしまうのであれば、それは「中年の危機」に陥っているのかもしれません。
目次
- まとめ
「中年の危機」とは、ミッドライフ・クライシスを直訳したもので、人生の中頃に、自分の人生について問い直さずにはいられなくなる、アイデンティティの不安な状態のことを指します。多くの人がこのアイデンティティの不安に直面し、アメリカの心理学者ダニエル・レビンソンによれば80%の人が中年期に大きな危機を迎えるとされています。
中年の危機を感じるタイミングは人それぞれで、早い人で30代後半、遅い人で50代になってから迎えることもあります。
思春期には、「自分が何者なのか」という葛藤が生まれますが、中年の危機でも同じようなことが起こることから、別名「第二の思春期」とも呼ばれています。再度、自分自身が何者なのか、自分の生き方はこれでいいのか、問いかけることになります。
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男性は、20代~30代にかけては仕事に打ち込む人が多く、仕事を頑張ってきた人が40代になって、「ある程度の思い描いていたものを手に入れてしまっている」状態であることがしばしば見受けられます。しかし、欲しかったものというのは、手に入れてしまったら意外と喜びが続かないものです。あれほど手に入れたかったのに、実際は思っていたほどの幸福感が得られず、それどころか体力や記憶力の衰えを感じて、「失うもの」を意識する時期になります。自分自身の限界が見えてしまったり、頑張っても大した成長ができないと実感したりして、「この先どうしていいか分からない」と焦燥感を覚えはじめます。
また、女性に「更年期障害」と言われるものがありますが、40代は男性がホルモンバランスの乱れを起こしやすい時期だと言われています。ホルモンバランスが乱れることで、イライラや抑うつ感などを抱えやすくなります。
女性の中年の危機は、更年期の身体的な変化が起きやすい時期と重なるうえ、子育てや家族、キャリアなど考えることが多いために悩みが複雑化しやすくなります。
「子育てが一段落して手がかからなくなったけれど、ずっと専業主婦でやってきてキャリアがない」「キャリアを優先しすぎて結婚せずにここまできてしまったけど、この先どうしよう」といった具合に、心の葛藤が起きやすくなります。
中年の危機(ミッドライフ・クライシス)が起こる原因としては、40歳前後という年齢が、ちょうど人生の折り返しを意識するタイミングだということが挙げられます。これまでは自分の目標に向かって歩いてきていたとしても、残り半分となると老いていくことを意識しはじめます。体力も落ち、周りの人が病気になったり、亡くなったりすれば、自分の人生について考えることが多くなります。
加えて、男女ともにホルモンバランスが変化することで、体調が悪くなったり、精神的に不安定になったりするため、中年の危機が起こりやすくなるといわれています。
うららか相談室では、臨床心理士・社会福祉士などの専門家を選び、メッセージ・ビデオ・電話・対面形式のカウンセリングを受けることができます。
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中年の危機(ミッドライフ・クライシス)は、多くの人が経験するものですが、悩みの内容や深刻さは人それぞれです。自分の中で色々と考えているうちに不安から抜け出せることもあれば、一人で悩んでいるうちに深刻さが増して、うつ病などのこころの病を招くこともあります。さらに、「モヤモヤした状態から抜け出したい」という焦りから、浮気や不倫をしたり、アルコールなどに依存したりする傾向もあるので、注意が必要です。
今まで築いてきたものが崩れたり、人によっては離婚を招いてしまったりすることもあり、決して楽観視することはできません。
ではもし中年の危機(ミッドライフ・クライシス)に直面してしまったら、どのように対処するといいのでしょうか。
◆運動する
運動をすることで、気分をスッキリさせる効果があります。なかなか抑うつ気分が晴れない、何をやってもモヤモヤする、そんなときは運動を取り入れてみましょう。
◆新しいことを始める
これまで興味があったけど後回しにしていたことを新しく始めてみるのもおすすめです。スポーツや一人旅など、新しく始めることで視野も広がりますし、何か新しいことをしている時期は前向きな気持ちになりやすいです。ただし、ポイントは「今やっていることを大きく変えずに新しいことをする」ことです。急な転職や起業など「今までやってきたものを辞めて新しいことをする」ことは、焦りや不安からするべきものではありません。今やっていることは続けつつ、何か新しいことをプラスで始めてみましょう。逸脱行為は厳禁です。
◆勉強をする
何かを学ぶということは、自分の価値を高めることができますし、新しい知識を迎え入れるという前向きな姿勢をつくることができます。
仕事に役立つことや、外国語の勉強、趣味に関連していることを改めて学んでみるのもいいでしょう。
◆情報を選別する
SNSをよく見る人は、注意が必要です。SNSは不安や嫉妬などのネガティブな感情を引き起こしやすいと言われています。
本当に必要だと思う媒体を選別することで、本来不要な情報が入ってこないようにしたり、時間を有効に活用したりすることができるので、気持ちを前向きに保つことができます。
◆カウンセリングを受ける
中年の危機に対して、一人では上手く対処できないことも多く、カウンセリングを受けてみるのも一つの手といえるでしょう。カウンセラーと対話をすることで、自分が何に対して悩んでいて、どんな不安を抱えているのかということを整理しやすくなります。
また、カウンセラーと一緒に具体的な解決策まで考えていくことができるため、今後のアクションについてもはっきりしやすくなります。専門的な意見を参考にしたいという方はカウンセリングを活用してみましょう。
中年の危機(ミッドライフ・クライシス)とは、40代前後の人に訪れる「自分の人生はこれでよかったのか」と振り返らずにはいられなくなる、アイデンティティの不安な状態のことです。
深刻に思い詰めてしまっている場合、うつ病などのこころの病を招く可能性もあり、放置しておくのは危険です。
中年の危機かなと思ったら、何か新しいことを始めてみたり、カウンセリングを活用したりするといいでしょう。