ひと昔前に、「過保護な親」が問題になりました。子どもを甘やかしすぎるのが「過保護」ですが、最近では「過干渉な親」が問題になっています。
過保護と過干渉という言葉はとても似ていますが、一体どのように違うのでしょうか。また、自分の親が過干渉かもしれないと思ったときの対処法についても解説していきます。
目次
- 過干渉とは
- 過干渉な親の特徴
- まとめ
そもそも過干渉とは、どのような状態でしょうか。漢字の通り、干渉が行き過ぎていることを指し、行動を制限したり無理矢理考えを決めたりすることを言います。過干渉は特に親子関係で起こりやすく、中でも母親と娘の関係でよく見られます。同性であるがゆえに、「もっとこうしたほうがいい」「こうしないと幸せになれないよ」と、母親が過度に心配して自分の思いを押し付けてしまうことが多いようです。
過保護は、子どもがしたい/したくないと主張したことに対して、甘やかしてしまう状態を指します。対して過干渉は、親の意向を押し付けてしまうので、子どもの主張が無視されることが頻繁に起こります。
どちらも、子どもの自立が遅れてしまうという点では同じ問題を抱えていますが、過干渉のほうが子どもにとってのストレスは大きくなる可能性が高いです。
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親が子どものことを心配したり、適度に干渉するのは自然なことです。特に子どもがまだ小さいうちは、子どもが怪我をしないように、痛い思いをしないように、先回りしてアドバイスなどを行うものです。そして、子どもが成長するとともに、だんだんと親は子離れをしていき、子どもは主体性を持って行動するようになります。
しかし、ここで親がなかなか子離れできないと、いつまでも子どもに意向を押し付ける「過干渉」の状態に陥りやすくなります。
親自身がコンプレックスを抱えていて、「子どもには同じようになってほしくない」という不安があったり、子育てしか生きがいがなく、「他に気持ちをぶつけるところがない」といったことが原因で、過干渉になってしまうこともあります。
では具体的に、過干渉な親というのはどのような行動をとるのでしょうか。
◆子どもが話す前に話し出す/話をさえぎる
過干渉な親は、子どもが話し終える前に話をさえぎったり、子どもが発言する前に話し始めたりして、子どもの意見を聞かないという特徴があります。子どもが何か意見を述べようとしても、途中でさえぎって「お母さんはこう思うけど」というように、自分の意見を押し付けます。
学校の三者面談や病院に付き添うときなどに、子どもに質問しているにもかかわらず、先に話し出してしまうのも、過干渉な親の特徴です。
◆子どもが選んだ進路を尊重しない
過干渉な親は、子どもにどのような人生を歩んでほしいか、ということを押し付ける傾向があります。誰しも子どもの進路は心配になりますし、アドバイスすることはあるでしょう。しかし、子どもの意見を聞き入れず、「学校はここにしなさい」「部活はこれにしなさい」など、子どもが納得していない意見を押し付けるのは、過干渉な親の特徴です。
また、進路や習い事など大きな選択においてだけでなく、今日着る服などの細かいことに関しても、子どもの考えを無視して、自分の意見を貫かせることがあります。
◆子どもの友人関係を決める
子どもの友人関係を勝手に決める、というのも過干渉の親にありがちな特徴です。
「○○ちゃんとは仲良くしちゃダメ」「遊ぶなら○○ちゃんにしなさい」など、子どもが本当に仲良くしたい人ではなく、親の意見を押し付けます。「あの家の子はマナーがなっていない」「あの家の子は挨拶があまりできない」などといった理由をつけて友人関係を勝手に決めてしまいます。
◆問題ばかり指摘して褒めない
過干渉な親は、子どもを褒めることが少なく、悪いところや問題はよく指摘します。本来は褒められるべきところでも、ネガティブにとらえて、よかれと思ってアドバイスをしてしまいます。部活の大会で2位になったとしても、「あそこで○○していれば1位だったのに」という具合に、悪いほうを指摘してくるのが、過干渉な親の特徴です。
過干渉な親に育てられると、子どもは下記のような悪影響を受けやすくなります。
◆自尊心が低くなる/自信が持てなくなる
過干渉な親は、適切な場面で子どもを褒めることができないので、子どもの自尊心は低くなり、自分に自信が持てなくなります。
また、過干渉な親は、子どもの進路や価値観、好きなものに対して、自分の意向と合わないと否定ばかりするため、子どもは「自分が選ぶことはいつも間違っているのではないか」と不安になり、自信を失うことになります。
◆無気力になる
子どもは、いつも自分が選んだものが否定され、親が選んだものしか選択肢がなくなるので、だんだん自分で考えたり積極的に行動したりする気が失せ、無気力になります。過干渉な親のもとで育った子どもにとてもよくみられる傾向です。
せっかくやってみたいと思ったのに、せっかく考えて選んだのに、いつも否定ばかりされると、大人でも無気力になります。親が納得した選択肢しか選べないのであれば、考えること自体も馬鹿らしくなってくるのは当然です。
◆自分で物事を決められなくなる
いつも親の選んだものしか選択肢が用意されていないとなると、子どもはだんだん自分で物事を考えて決めることができなくなります。学生のうちはまだそれでもいいかもしれませんが、社会に出ると主体性を持って動くことを求められるシーンが増えていきます。仕事では特に、自分で考えて動く場面が多いため、社会に出てから苦労することが多いです。
では、「自分の親が過干渉だな」と思ったら、どのように対処していくといいのでしょうか。
1.距離を置く
もし可能であるならば、物理的に距離を置くのが効果的です。一緒に住んでいるのであれば、一人暮らしを始めたり、学校や会社の寮に入って、別々に暮らすのがいいでしょう。もし難しい場合は、長期休みの間だけでも、親戚の家に泊めてもらったりして、過干渉な親から離れるのがおすすめです。お互い離れることで冷静になりやすく、親も口出ししづらくなります。
2.親子でルールを決める
例えば、
・ 毎日の帰宅時間
・ ご飯がいる日といらない日
など、親子で先にルールを決めてしまうのもいいでしょう。ルールを守っている以上は口出しさせない、という線引きを明確にすることによって、なんでもかんでも口出しされる状況を防ぐことにつながります。
3.真に受けずに聞き流す
「自分の親が過干渉だな」と分かっていれば、あまり真に受けずに聞き流すのも1つの手です。具体的に毎日の行動を把握されているわけでなければ、「また心配して言ってきているのだな」くらいの軽い気持ちで聞き流すことで、ストレスを減らすことができるでしょう。
4.第三者に相談する
どうしても親の過干渉が辛い場合は、第三者に相談するのもおすすめです。実際、親から「これくらいは普通、親が子どもを心配するのは当然」と言われてしまうと、なかなか言い返すのは難しいでしょう。そういう場合は、第三者に相談することで客観的な意見を聞くことができます。特に、カウンセラーなどの専門的な知識がある人に相談することで、親との関係や接し方について一緒に深く考えていくことができます。オンラインカウンセリングや学校のスクールカウンセリングなど、手軽に利用できるものもあります。
臨床心理士とは・・・
悩みを抱える人との対話をベースに、精神分析や心理療法を使って問題の解決をサポートする「こころの専門家」です。
臨床心理士の資格は厳しい学習条件が求められ、心理業界では長年にわたり根強い信頼性を持っています。
うららか相談室には、多くの臨床心理士が在籍しています。
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「自分の親が過干渉かもしれない」と思っても、親のことを悪く言ってしまっているかのような罪悪感から、なかなか周りに相談できないというケースが多く見られます。しかし、過干渉を解決することは、お互いにとって幸せなことでもあります。あなたが感じたことや言われたことを事実として話すだけですので、一人で抱え込むのではなく、第三者に相談することで解決への一歩を踏み出せることを願っています。