「なぜだか心がざわざわする」「気持ちが落ち着かない」という感覚は、多くの人が身に覚えのあることではないでしょうか。特段大きな問題があるわけではなくとも、仕事や勉強に集中できないなど、心のざわざわ感で困ることも時にはありますよね。
どうして心が落ち着かなくなるのか、その原因を知れば、対処法も見えてきます。ざわざわした気分にお困りの方は、この記事もご参考に、ご自分なりの原因や対策を探ってみてくださいね。
目次
- おわりに
私たちはどんなことで心がざわざわするのか、よくある原因から見ていきましょう。
・ストレスがたまっている
仕事や勉強、人間関係、家事や育児などで疲れやストレスが蓄積された状態だと、心が落ち着かなくなるのはごく自然なことです。はっきりとストレス源を自覚していない場合は特に、漠然と「胸がざわざわする」「なんとなく心が落ち着かない」という感覚としてストレスが現れることがあります。
・心配事や気になることがある
仕事で重要な役割を任された、子どもが受験を控えている、家族に病気の疑いがあるなど、自分や周囲に関して何らかの心配事がある時期に、心のざわざわ感を味わう人は多いことでしょう。
大きな心配事ではなくても、「さっきの私の振る舞いは相手を不快にさせたかもしれない」「人からどう思われているか気になる」等、傍から見れば些細なことかもしれないような気がかりが頭の中を巡ってしまうときも、気持ちは落ち着かなくなるでしょう。
・体調や生活リズムの不調
睡眠不足や食欲不振または過食などの生活リズムの不調は、自律神経のバランスを悪化させ、心理的な不調にも繋がります。
また、体調不良も同様に、心の落ち着かなさと連動することも珍しくありません。
・うつ病、PTSDなど病気の症状
うつ病やパニック障害、過去にとてもつらい心的外傷体験がある場合など、病気の症状として心がざわざわする感じが出てくることもあります。
上記の通り、心が落ち着かないのは日常のストレスが原因で病気ではない場合もあれば、病気から来る場合もあります。
・明確なストレス源はあるか
病気かどうかのもっとも簡単な見極め方としては、明確なストレス源があるか否かです。重要な会議や試験の直前、ショックな出来事が起こったなど、心が落ち着かなくなっても当たり前の状況ならば、それは人として自然な反応であり、病気ではない可能性もじゅうぶんあります。
ストレスの原因が過ぎ去ったり改善したりするのを待つ、また、次章でご紹介する方法を試すなどして自然に気持ちが落ち着いていけば、病気ではなかったと考えられます。一方で、ストレス源が改善してもざわざわする感じが続くならば、病気の症状である可能性があります。
・病気かどうかに関わらず、しんどいなら対処が必要
とはいえ、明確なストレス源があっても、うつ病や適応障害など病気と言える状態になることもあります。
逆に、持って生まれた性質や環境によって作られた価値観などによっては、分かりやすいストレス源がなくても日常的に落ち着かない気持ちで居る、でも病気というわけではない、というケースもあり得ます。
大切なのは、病気であってもなくても、その状態がしんどいならば無理はせず、何らかの対処が必要であるということです。
ざわざわする気持ちを今すぐ落ち着かせたいという時に使える対処法を、いくつかご紹介します。
・呼吸を整える
深呼吸は、いつでもどこでもできる有名な対処法です。ストレスがたまると呼吸が浅くなったり、吸い過ぎたりしてしまいがちなので、それを整えることで自律神経の働きも改善され、心を落ち着ける効果が期待できます。
いろんな呼吸法がありますが、鼻から吸って口からゆっくり吐くのが基本です。吐くことに意識を集中してゆっくり吐ききることが大切です。
呼吸を整えること自体に効果があるのはもちろん、呼吸に意識を集中することで心の中のざわざわから気持ちを逸らせる効果もあります。つい心配事が頭を巡ってしまうときは、呼吸しながら数を数えたり、空気が鼻から肺やお腹に入り口から出ていく感覚を感じ取ろうとしたりすることで、嫌な考えから気持ちを引き離しやすくなります。
・筋肉を緩める
心が落ち着かないとき、身体に力が入って筋肉がこわばっていることが多いです。かたまった筋肉をほぐすと、気持ちもほぐれやすくなります。
手や肩、顔にギューッと思い切り力を入れて、ふわっと抜くことを数回繰り返すと、身体から余計な力が抜けて気持ちも楽になります。
・好きな香りや写真などを用意しておく
自分の気持ちを落ち着かせることができるアイテムを持ち歩き、心がざわざわしたら活用するのも良い方法です。
好きな景色や家族・ペットなどの写真、好きな香りの香水やアロマ、手触りの良いハンカチ、好きな言葉など、それを見たり嗅いだり触ったりすることで気持ちをほぐすことができるものは、今すぐ落ち着きたいという時に役立ってくれるでしょう。
・目の前にあるものの名前を言っていく
気持ちが落ち着かないとき、心の中にあるのは過去の嫌だったこと、またはこの先の不安であることが多いです。そのため、今見えるもの、今感じる音やにおい、触覚などを挙げていくのもひとつの方法です。
「窓から空が見えます」「歩く人が見えます」「手の温かさを感じます」「車が走る音が聞こえます」というように、五感に触れたものを言っていき意識を現在に戻すことで、ざわざわした気持ちから距離を取りやすくなります。
前章ではざわざわした時すぐに気持ちを落ち着ける方法をご紹介しましたが、ここからはざわざわしないように、または、しても比較的軽いうちに対処できるような、日常的な習慣や対策をお伝えします。
・睡眠をたっぷりとり、適度に身体を動かす
睡眠不足は感情の調整力や適切な判断力などを低下させ、気持ちを落ち着かなくさせてしまいます。心を落ち着かせるためには、睡眠を充分に取ってゆっくり心身を休めることが欠かせません。
散歩やストレッチなどをして適度に身体を動かすのも、自律神経の働きを整え、気持ちを安定させることに繋がります。
・出来事や気持ちを書き出す
心がざわつく要因となった出来事が思い当たるときは、その出来事をそのまま書くのもおすすめです。自分の感情は敢えて排除して客観的事実だけを淡々と書いたものを読み直すと、そんなに気にするほどのことではなかったな、と思えることもあります。
逆に、感情や気持ちを書き出すだけでもストレスの発散になったり、あまり意識していなかった自分の気持ちや考えを少し俯瞰して見ることができたりして、気持ちを落ち着けられることにも繋がります。
・自分の考え方の癖を知る
気持ちが落ち着かなくなる時、「そういえば、いつもこのパターンだな」と気付くことはないでしょうか。落ち込みやすい人や繊細な人は、過剰に自分を責めたり苦しくさせたりする思考パターンが癖になっていることも珍しくありません。そのような自分の考え方の癖を把握することで、「これはいつもの自分の癖で、現実は思っているほど悪くないのかもしれない」と、思考を修正できる可能性が高まります。
このような考え方の癖のみならず、自分自身の根っこにある信念とも言うべきものによって、現実を過剰に苦しい方向に捉えていないか点検してみるのも、大切な機会となり得るでしょう。
・信頼できそうな人に聞いてもらう
とはいえ、長年の生活の中でできた考え方の癖や信念は、なかなか自分では気づけなかったり、気づいていてもどうにもできなかったりするのも何も不自然ではありません。そのような場合は、この人なら聞いてくれるかも、と思える人に話してみるのもひとつの手です。
・カウンセリングを受ける
友人・知人には話しづらいなら、カウンセリングを利用してみてはいかがでしょうか。原則としてカウンセリング場面以外で顔を合わせることはないカウンセラーになら、周囲の人には言いづらいことでも話しやすいかと思います。
カウンセリングでは、遮られず話したいことを話すことができ、必要や希望に応じて取り得る対策を話し合い、気持ちを落ち着けていくことが可能です。
カウンセリングだけでなく薬の力も借りた方が良いということになれば、心療内科や精神科を受診するのも一手段です。受診の必要があるかどうかを、カウンセラーと相談することもできますので、最初から病院に行くことに抵抗がある方にもカウンセリングはおすすめです。
心が落ち着かない理由は、人や状況によって本当に様々です。日頃から自分でできそうな対策をいくつか用意しておいて、その時々でどんなことから心がざわざわしてしまうのか検討し、取り得る対処をしながら、自分に合った方法を見出していけるといいですね。