感情が落ち着かず、不安になったり泣きたくなったりすることはありませんか?「まわりのみんなは気持ちが安定していて、いつも幸せそうに見える。自分は少しのことでも辛くなって叫び出しそう・・・」そのように自分の感情に振り回されてしまう方もいらっしゃると思います。ここでは、情緒が不安定になる理由とその対処法をお伝えしていきます。
目次
- 情緒不安定とは
- おわりに
一般的に情緒不安定とは、心や感情が安定しない状態を指します。誰でも悲しい気持ちになることはありますが、気持ちが穏やかで安定している気持ちがまったくないという方は情緒が不安定であるといえるでしょう。具体的には、ちょっとしたことでイライラしたり落ち込みやすくなったりリラックスした気持ちになれない状態です。
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情緒不安定な状態になる要因はひとつだけではありません。生まれもった性格が不安になりやすいタイプだったり、学生時代の部活や受験で強いプレッシャーがかかりやすい状況を経験したりとさまざまな理由があります。複数の要因のなかでも、自律神経のバランスが乱れることはストレス対処や気持ちの安定に強く影響しています。
自律神経とは、消化器や呼吸器など24時間働いている器官の調整をしている神経です。体が興奮しているときに働く交感神経とリラックスしているときに働く副交感神経によって成り立っており、体が正常に機能するようにできています。自律神経のバランスが乱れると、体のだるさや動悸を感じたり下痢や便秘が起きたりします。精神的な影響として、イライラや不安、不眠や感情の起伏が激しくなるというものが挙げられます。
情緒を不安定にする要因である自律神経の乱れはどうして起こるのでしょうか。それは、ちょっとした生活習慣の影響かもしれません。
◇睡眠不足
人の体は生態的なリズムに従って働いています。睡眠によって充分な休養をとることは、体が機能する上でとても大切なことです。しかし、シフト勤務や夜勤、残業などで睡眠のリズムが乱れてしまうことがあります。慢性的な睡眠不足によって自律神経が体の機能を調整する役割に影響が出ることがあります。
◇ストレス
人間関係や仕事のプレッシャーなど強い悩みや不安、またはケガによる体の痛み、光や音など日常生活にはさまざまなストレスに溢れています。24時間体を調整している自律神経は、無意識のうちにストレスにも影響を受けます。
◇カフェイン
カフェインには自律神経のうちの交感神経の働きを強くする作用があります。気持ちがシャキッとしたり眠気が薄くなったりするので、好んで摂取している方もいらっしゃるかと思います。カフェインを多量に摂取していると、リラックスすべきときにも交感神経が優位に働き、体が興奮した状態になってしまいます。その結果、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
健康な人でも、一時的に情緒不安定になってしまうことはあります。情緒不安定な状態が長く続き、生活に影響を及ぼす程である場合は、以下のような病気・不調の可能性があります。
◇うつ病
気分が落ち込んだり些細なことでイライラしたりするのは、うつ病の特徴にも当てはまります。神経伝達物質であるセロトニンの分泌量が減り、幸せな気持ちを感じたり楽しいことに興味を持ったりすることが難しくなる病気です。
◇自律神経失調症
自律神経のバランスが乱れ、過ごしやすい気温でも寒気を感じたり急に動悸がしたりする不調です。日中、元気に活動することができず、夜も不眠状態になりやすいために体にも心にも負担がかかります。
◇双極性障害(躁うつ病)
気分が高揚した躁状態とひどく落ち込むうつ状態を繰り返す病気です。セロトニンが不足して起こるうつ病とは違い、抗うつ薬ではなく主に気分安定薬を服用します。気分が高まる躁状態では、無謀で大胆な行動もよく見られ、ギャンブルにハマって浪費してしまったり、性に奔放になってトラブルを起こしたりしてしまうこともあります。
◇PMDD/PMS
生理が始まる2週間前頃から心身が不安定な状態になり、イライラ、疲れなどの精神的・身体的な不調があらわれる状態をPMS(月経前症候群)といいます。その中でも精神的に不安定な状態が際立つものをPMDD(月経前不快気分障害)と呼びます。情緒が不安定になることで人間関係や仕事にも影響を及ぼしてしまう状態です。
◇更年期障害
閉経にともなう女性ホルモンのバランスが乱れることで起こる障害です。イライラ感や抑うつ的な気分があり、体が熱く感じるホットフラッシュという現象も起こります。
◇不安障害
心配や緊張感が強く、日常生活に支障が出てしまう病気です。人前で恥ずかしい思いをするのではないか、失敗してしまうのではないかという思いから電車やバスに乗れなくなってしまったり過呼吸などの発作が起こったりと様々な症状があります。
◇境界性パーソナリティ障害
対人関係を築くことに不安定さがあり、相手に見捨てられると感じると強い不安感に襲われる障害です。自分に自信がなく、常に相手の視線を気にしているため、気分が安定せずに常に不安を抱えることになります。相手が自分を気にかけていることを確かめるために、自殺のそぶりを見せることもあります。
これまで、様々な要因で起こる情緒の不安定さについて解説してきました。情緒不安定な状態を治すにはどうしたらよいのでしょうか?
◇医療機関を受診する
情緒不安定な状態に、病気が関係している場合は医療機関を受診することをおすすめします。どのような病気で情緒が安定しないのか、きちんと診断を受けるためです。PMSや更年期障害の場合は、低用量ピルなどホルモンを補充する治療が有効なこともあります。精神的な病気の場合は、情緒が不安定な原因をみつけて抗うつ薬や抗不安薬による薬物治療と不適切な認知を改善する認知行動療法などの精神療法を行うことで症状が和らぎます。前提として、食事や睡眠のリズムを整え、しっかりと休息をとることが重要です。
◇カウンセリングで自分の不安を見つめ直す
「いきなり病院に行くのはハードルが高い」「病院に行くほど深刻なものではない気がする」といった場合には、カウンセリングを受けることが有効です。情緒不安定になる理由をカウンセラーと一緒に見つめ直し、現実的な対処方法を考えることができます。うららか相談室では、不安定な気持ちに寄り添い、対処法を探すお手伝いを専門とするカウンセラーが多数在籍しています。辛い気持ちを話すだけでも気持ちが軽くなることもあるので、お気軽にご相談ください。
うららか相談室では、臨床心理士などの専門家を選び、メッセージ・ビデオ・電話・対面形式のカウンセリングを受けることができます。
匿名で相談ができるため、家族や友人に知られることなく、安心して相談していただくことが可能です。
誰でも気持ちが落ち着かないことや不安でたまらないときがあります。自分自身で抱えきれなかったり日常生活が送れないほど困っている場合には、誰かの助けが必要なこともあります。「なんとかできない自分がいけないんだ」と思わず、病院やカウンセラーを頼ってみてください。
参考サイト
知ることから始めようみんなのメンタルヘルス 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/symptom.html