子育て中の親であれば、育児がうまくいかずイライラすることは日常茶飯事ではないでしょうか。
・子どもの遊びに付き合って自分の時間が持てない
・子どもが言うことを聞いてくれない
・せっかく作ったご飯を食べてくれない
こうしたイライラやストレスを抱える中で、子育てや子どもに対して否定的な感情を持ってしまうこともあるでしょう。
今回は、現代の子育てにおいての育児ストレス、イライラに対処する方法についてお伝えします。
目次
- おわりに
日本の現代社会では核家族化が進み,地域とのつながりが希薄になっています。そうした背景から、周囲から育児についての知識やサポートを得られないまま親になってしまう人も多くいます。そのような中で、子どもと接する時間が長く主に子育てを担うことが多い母親は、ストレスを抱えやすい状況になっていると言えるでしょう。
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株式会社キッズライン(2017年)の、約500名の母親を対象とした「育児ストレス」に関する調査によると、育児についてストレスを感じることが「ある」と答えた母親は9割以上いるそうです。
また他の研究(前田・中北,2017)では、母親が感じる育児ストレスは子どもの年齢によって違いがあり、子どもの成長に伴って単純にストレスが軽減されていくことはなく、とくに3歳〜4歳頃までの子どもに対する母親の育児ストレスは相当高いことが示唆されています。
また、育児ストレスの内容も子どもの年齢等のさまざまな要因によって違うことがわかっています。
井梅、前田・中北(2017)の研究によると、子どもの年齢による育児ストレスの要因の違いは次のようになっています。
0歳
・睡眠不足・疲労感
・慣れない子育てによる不安(子どもをうまく育てていけるか、不安)
1歳〜2歳
・子どもの機嫌の悪さ
・子どもの気の散りやすさ
・多動・刺激に反応すること
・社会からの孤立(自分ひとりだけで子育てしているような気がする)
3歳〜4歳
・子どもが反抗期で言うことを聞かない
・子どもの発達についての不安(他の子どもと比べてしまう)
井梅(2017)の研究では、0歳〜5歳時を持つ母親の疲労感は、子どもの年齢によらず常に高いことがわかっています。その中でも、最も母親の疲労感が高い子どもの年齢は4歳児の子育て時でした。また、4歳児の子育て中のママは、育児ストレスに繋がる「育て方不安」「発達不安」が0歳〜5歳の中で一番高いことがわかっています。
このように、子育て中の母親は様々な要因で疲労感とイライラ、不安を抱えやすくなっており、それぞれが自分の状態を把握し適切に対処することが重要です。
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子育て中のイライラに対処するためには、まずイライラの原因を把握することが重要です。イライラや怒りの感情は二次感情と呼ばれており、その背景には不安や焦りなどの一次感情があるのです。
あなたがイライラした時に、隠れている一次感情はどのような感情でしょうか?
子育て中のイライラ・育児ストレスの原因として関連が示唆されている主な要因の例は次のとおりです。(前田・中北,2017)
・自分の時間がないこと
・一人きりの子育て、社会からの孤立
・出産後の母親自身の体調不良
・子どもとの生活での不安定な感情
・子どもの反応(夜泣き・いうことを聞かないなど)
・夫や家族・周囲からのサポートが得られない
・子どもの遊び場・預かってくれる場所の不足
・経済的側面(経済苦・子育てによる家計の圧迫感)
しかしながら、育児ストレスの原因は個々の複雑な環境要因(母親の年齢や就労状況、家族構成)も関係するため、自分自身の感じていることを知ることが大切です。
それでは、子育て中のイライラにどのように対処していけばいいのでしょうか?
今回は、子育てのイライラを解消する方法として、効果的な方法を2つ、ご紹介します。
【マインドフルネス呼吸法】
まずはじめに、静かな場所(できれば)で椅子などに腰かけて体をリラックスさせます。座ることが難しい場合は立っていても大丈夫です。
次に、「呼吸」に意識を向けて、ゆっくりと「呼吸」してください。目は閉じても開けてもOKです。イライラやその他の思考でキャパオーバーになっている頭をすっきりさせる効果があり、ストレス緩和にも有効な方法です。
簡単にできますので気持ちを落ち着かせたい時に、ぜひ試してみてください。
また、「怒りのピークは6秒」という法則があります。
イライラや怒りを感じた際に、最初の6秒でこの呼吸法を行うことで突発的な怒りの感情から注意をそらせます。怒りでカッとなっているときには冷静に判断することが難しいですよね。
オウチーノ総研(2015)の調査では、育児ストレスが原因で「些細なことで子供に怒鳴ってしまった」と回答した母親が、約半数以上いました。このように怒りの勢いに任せて「つい」してしまったことは後から後悔することが多く、その後悔が育児への自信を無くしてしまうなどの負のスパイラルにつながるきっかけになります。
ですので、イライラを感じた時は、ひとまず、怒りの感情から距離を取るようにしましょう。
【子どもと適度に離れる時間を作ること】
子育て中のイライラの原因には、母親の感情面だけではなく子育ての環境面も関連があります。前田・中北(2017)の研究では、「子どもとの生活の中で、自分だけの時間を持つことができないことや気分転換ができないことと比例してストレスが高くなり、社会資源を活用し自分の時間を作ることができたり、社会との交流により気分転換ができたりしているとストレスが低くなると考えられる。」と述べています。オウチーノ総研(2015)の調査では、育児ストレスの解消法として、「ママ友と話す・相談する」が2位にランクインしています。このことから、子育て中にも、子どもと適度に離れる時間を作ることや、社会とのつながりを感じ、孤立感をなくすことが大切です。
子育ての辛いストレス、一人で悩み続けないでください。
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子どもと離れる時間を作る、というのは、特に育児を始めたばかりの新米ママにとっては、辛かったり、罪悪感を感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし、育児ストレスをうまく解消できないと、育児ノイローゼやうつ病になってしまう危険性もあります。最悪の場合、愛する子どもを虐待してしまうことにも繋がります。
ママが心身共に健康でいることを第一に考え、疲れやイライラが溜まっていないか、定期的に確認するようにしましょう。
核家族化が進み、子育ても各家庭で完結しなければならないと考えてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?子育ては、体力・気力・経済力など複雑に絡み合ったさまざまな力を要するものです。子育て中は周囲の協力体制を整え、一人で抱え込まないことが大切です。
もし周囲に相談できる人がいない場合は、うららか相談室のオンラインカウンセリングも活用してみてください。
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(参考文献)
ヨムーノ 育児ママのストレス解消相手は、夫よりママ友!? https://www.o-uccino.jp/article/posts/7910(参照 2020-03-17)
キッズライン 【調査レポート】9割のママが「ある」と答えた育児ストレス。 https://kidsline.me/magazine/article/97(参照 2020-03-17)
主婦と生活社 CHANTO WEB 子育て中のイライラをコントロール!ママのためのアンガーマネジメント https://chanto.jp.net/lady-health/mental/64094/2/(参照 2020-03-17)
乳幼児をもつ母親の育児ストレスの要因に関する文献検討(前田・中北,2017)