勉強しなくていいの?宿題やったの?1日に何度もこんなセリフを言っていませんか?
“何度も”言ってしまうのは、子どもがいくら言ってもやらないからですよね。
しかも、肝心の子どもはといえば、「やだ!ぜったいやらない!」というほど強固な意思があるわけではなく、「うーん」「あとでやるー」などなんとも曖昧な返事をしてくるので、結局何度も同じことの繰り返しになり、イライラしてしまう・・・ということがあると思います。
子どものためを思って勉強をしなさいと言っているはずなのに、イライラして親子関係がギクシャクしてしまっては本末転倒ですよね。
子どもが勉強しないときのイライラやストレス、そんなときに親はどうしたらいいのでしょうか。子どもが勉強することの本質と、イライラとの付き合い方についてまとめてみました。
目次
- 対策してもイライラがおさまらない、うまくいかないときは誰かに相談を
そもそもなぜ子どもはなかなか勉強しないのでしょうか。大体の理由は、シンプルに「勉強が楽しくないから」です。お父さんお母さんのなかにも、「子どもの頃勉強大好きだった!」という方はあまり多くないのではと思います。
私達大人は今でこそ、受験、就職活動、社会経験を通して勉強の大切さ、または勉強する必要性を感じていますが、このような経験なくして子どもの頃から勉強の必要性をどこまで感じられていたかというと、疑問ですよね。
子どもからすれば、勉強とは「そんなに楽しくない」うえに「必要性を実感できない」ものです。そう思うと、子どもが勉強しない理由も正直なところ大きく納得してしまいます。
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とは言え、積極的に勉強をしたり、受験をする子どもたちもたくさんいます。なぜ楽しくもない、必要性も感じられないものをやるようになるのでしょうか。主な理由は、性格、環境、成功体験の3つです。
1つ目の性格は、もとから「勉強が好き」ということです。楽しくないと感じる人も多い勉強ですが、中には楽しく感じる子もいます。
2つ目の環境は、勉強をしないと叱られるなどの厳しい養育環境だった、あるいは幼いときから食事やお風呂などと同等に生活の一部として勉強の時間があった、などです。これが子どもにとって良いことかどうかは別として、勉強せざるを得ない環境にありそれが習慣化すれば子どもは勉強をするようになります。
3つ目の成功体験は、勉強をすると自分にとって良いことがある、とわかっていることです。大なり小なり、子どもが勉強をしている多くの理由はここに当てはまります。最初のうちは、勉強を頑張ったらお父さんやお母さんが褒めてくれた、がんばったら好きなおやつを買ってもらえた、など些細なことです。そのうちに、テストでいい成績をとったら先生や友達からすごいと言われた、などの経験を通し、勉強をしていい成績をとると周りが自分にとって好ましい反応をすることを覚えていきます。そして勉強をして学力を上げることによって希望通りの進路に進めそうだ、あるいは実際に進めた、などの経験から勉強の必要性を感じていきます。このように、成功体験、つまりプラスの経験を重ねていくことで、子どもたちは程度の差こそありますが勉強をするようになっていきます。
上記のように、性格は生まれつきの気質もありますが、環境が整っていなかったり、勉強についての成功体験が少ない、あるいは本人があまり実感していないと、子どもは勉強をするようにはなりません。
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子どもは基本的に勉強があまり好きではないと書きましたが、とても楽しそうに勉強をしていたり、自発的に熱心に勉強に取り組んだりしている子もいます。それには、先程書いたように、性格、環境、成功体験が何かしら関係していますが、勉強を嫌がる子と自ら進んでやる子には、決定的な違いがひとつあります。それは「興味」です。
子どもに限らず、人間誰しも興味があれば動きますし、興味がなければ動きません。自発的に楽しく、あるいは熱心に勉強をしている子には、興味関心があります。
勉強とは違いますが、とある楽器の習い事で、子どもの興味を引き出すために通い始めてから最初は子どもに全く楽器を触らせないという話があります。はじめは親に触らせ、それからは同年代の子達が上手に弾いている様子などを見せ、自ら楽器を「触りたい」「やってみたい」と思うまで待つといいます。最長6ヶ月間楽器を触らせないこともあるそうで、子どもの興味が出てからはじめると、スタートは遅いように見えてもそのあとぐんぐん吸収していくそうです。興味関心を存分に引きつけてから始めるという点で、とても合点がいく話です。
この例と同じように、勉強する子になってもらうためには、子どもの興味関心を引き出すことが一番です。ディズニー映画が好きで英語を覚えたい、先生がかっこいいから数学ができるようになりたい、テレビで見たあの人みたいになりたい、などどんな些細なことでも、興味さえあれば勉強は自然とついてきます。
興味=将来の夢、となることも多いので、将来なりたいものが見つかると、必然的に進路が明確になります。そうなると、受験のための勉強に必要性を感じ全体的に勉強をしてくれるようになることもあります。
「勉強をする」ということが、テストで平均的に良い点をとる、宿題を必ずひとりですべて終わらせる、などを意味するのであれば、少し意味合いは変わってきますが、熱心に自発的に勉強に取り組む子、ということであれば、興味さえあれば、どんな子でも勉強をする子になる可能性は大いにありえます。
勉強をする子になるために何が必要なのかについて書きましたが、とは言えどんなに勉強しない理由が頭でわかっていても、実際親はイライラしてしまいますよね。
イライラやストレスをコントロールするには、そもそもイライラしにくくすることと、イライラしてしまったときに気持ちを鎮める方法を知っておくことの2つが大切です。
これには自己理解が不可欠です。
・なぜ子どもに勉強をしてほしいと思っているのかを整理する
・自分はどんな人でいたいのかを決める
・自分の感情を数値化する
この3つをすることで、自分を客観視することができイライラの回数を減らすことができます。
まずはなぜ子どもに勉強をしてほしいと思っているのか、そのことを整理しておきましょう。どの親も、必ず勉強の先に子どもにしてほしいこと、なってほしいことがあり、勉強がゴールでは決してないはずです。そう思うと、実は「勉強をしない」ことにイライラしているのではなく、「この子の将来のために今必要なことをできていないかもしれない」ことに少し心配になっているだけなのかもしれません。このように自分の感情を理解していくことが大切です。
次に整理しておくのは、自分がどうありたいかです。イライラして、「勉強しなさい」とばかり言う親でいたいのか、と問われると、誰しもがいいえと答えると思います。本来自分はどうありたいのか、どんな人間でいたいのかを整理し、なりたい自分像を忘れないようにすることが大切です。「自分はどんな人でいたいのか」をどこかに書きとめ、1日最低1回は見直し、それにあった自分で1日を過ごせるよう自分で自分に言い聞かせます。イライラしそうになったときは、深呼吸をして、いったん行動をストップします。自分の目の前の感情に振り回されず、「子どもにはなんのために勉強してほしいのか」「なりたい自分はどんな自分なのか」を考えてから、その後の自分の行動を決めていきます。例えできなかったとしても自己嫌悪に陥る必要はありません。今がそうではないから目標となっているわけで、すぐにできれば苦労はありません。毎日思い出し日々努力することで、なりたい自分に確実に近づいていくことができます。
また、毎日自分の感情を数値化し、昨日の自分、今日の自分がどんな状態なのかを自分で理解しておくことも大切です。たとえば1-10の数値で、1がネガティブで10にいくにつれポジティブになっていくとします。毎日今日の自分は10のうち4くらいだな、など今の自分を数値化してください。そうすると、今日は意外と低いな、なんでだろう、少し頭が痛いな、疲れているのかな、今日は無理できないな、という日があったり、今日の自分は5だな、ふつうだな、でも昨日よりはあがっているから少し回復しているかもしれないな、よかった、という日があったりなど、自分の状態を理解することに役立ちます。
自分のことはわかっているようで意外とわかっていないものです。無理しすぎてしまっているとイライラが増えますし、無理することがしかたない時があるとしても、その自分に気づいてあげられないせいで、いつまでもイライラを繰り返してしまう、ということもあります。
それでもどうしてもイライラしてしまうときは、自分なりの発散方法を探しましょう。
・そばに誰かいるときは、「今から愚痴を言うから何も言わずに聞いて」と伝えて思いっきり誰かに話す。(近くにいなくても親や友人など聞いてくれる人がいるなら、あらかじめ「最近ストレスが溜まっていて、もしかしたら電話するかも!」と伝えておいて、イライラした時に電話する、というのもありです)
・がんばるのやーめた、と寝転がる。
・大声を出して感情を自分の内から外に出す。そのあとは深呼吸をする。
・感情を紙になぐり書きする
・イライラが止まらないとき用に自分の好きな食べ物を常にストックしておき、イライラした時か、イライラしなかった日に食べられるようにする
・外に出る
など方法は様々です。自分にあった発散方法を見つけるために重要なことは、イライラしている自分を客観視できるようになることです。今自分はイライラしているな、ということがわからないかぎり、イライラした時の対処方法を取ることもできません。
自己理解を深め、自分にあったイライラ解消法を探しておきましょう。
いくらがんばっても、日々子どものこと、家族のことを一生懸命考えているお父さんやお母さんにとって、イライラをコントロールするというのはとても難しい場合もあります。
疲れ切って心に余裕がなくなっているときに、一人でイライラをおさめるというのはとても困難なことです。そういうときは、迷わず誰かに相談してください。満杯になっていた自分の心の容量を、誰かに話すことでその人にもらってもらうことができます。また、話して整理することで、散らかっていた心の中を少しキレイにして落ち着くこともできます。
「こんなことぐらいで」「自分はまだ頑張れる」と思うこともあるかもしれませんが、イライラがおさまらないというのは心のサインです。本来できることも、心の容量が一杯で溢れしまっていては、できなくなってしまうこともあります。本来の自分の力を発揮するためにも、些細なことでも一度人に話してみる、相談してみるというのはとても有効な手段です。
子どもを思うがゆえにイライラしてしまうことは、親であれば誰しもあることです。子どもと上手く付き合っていくためにも、イライラする自分をだめだと思わず、イライラと上手く付き合っていける方法を探していきましょう。