お子様とふたりきりの時間が増えて辛い。そんな思いを抱えていませんか?長い妊娠期間を終え、出産という一大任務を終えたばかりなのに・・・という気持ちの方もいらっしゃると思います。ここでは育児の辛さやそこから起こる育児ノイローゼについて解説していきます。
目次
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ノイローゼとは日本語に訳すと「神経症」となります。うつ病をはじめとした精神疾患は、この20年間でとても身近な存在になりました。イメージが湧きやすい方も多いと思います。ノイローゼは正式な診断名ではなく、精神的な不調に一般的に用いられやすい単語です。イライラや不眠、悲観的になるなど精神的な症状がみられるのが特徴です。
育児ノイローゼは、そのような精神的な不調、不安定さが育児ストレスで起こるものを指します。
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では、育児ノイローゼによってどのような症状が起こるのでしょうか。以下にまとめていきます。
①些細なことでイライラする
子どもの世話をするのはとても大変です。疲れる日々が続いたり睡眠不足だったりすることがあると思います。「ちょっとイライラしてるかな?」と自分で感じられるうちはよいのですが、ノイローゼ状態では驚くほど些細なことでもイライラが募るようになります。
②思考力の低下
ぼーっとしている時間が増え、次の行動に移ることが難しくなります。部屋が散らかっていたり洗い物が溜まっていたりしても、片づけようという気力がわかない状態です。
③不眠
夜泣きなどで起きてしまうと、十分に睡眠をとれなくなります。慢性的な不眠状態が続き、神経の高ぶりが続くため寝付くことが難しくなります。
④社交性の低下
人と接することや外出することが億劫になり、子どもと自分だけの空間に自分を追いやってしまいます。うまく気分転換ができない状態ともいえるでしょう。
⑤悲観的になる
ノイローゼ状態では、夜泣きが永遠に終わらないのではないかと思えたり、自分の子育てが間違っているのではないかと不安になったりと、考えが悲観的になりがちです。
⑥子どもへの興味・関心が薄れる
子どもをかわいいと感じたり成長をほほえましく思えたりする気持ちが薄れます。疲労による無気力状態ともとれますが、育児ノイローゼの特徴のひとつです。
育児に疲れるということは、誰にでも起こりうる状態です。しかし、それがノイローゼという精神的な不調につながるのはなぜでしょうか。理由は以下のような状況にあります。
①育児を分担できる人がいない
厚生労働省による調査ではひとり親世帯は、平成27年時点で約84万世帯です。実はこの数は、ここ25年で大きく変わったわけではありません。育児を分担するパートナーがおらず、ひとりで子どもと向き合わなければならない親はいつの時代もたくさんいます。育児負担がのしかかりやすく、精神的に追い詰められやすい状況といえます。
②パートナーの理解や協力が得られない
パートナーがいても、育児について意見が一致するとは限りません。自分が休息をとりたいときでも、なかなかパートナーが協力してくれず途方に暮れる方も多いと思います。
③完璧主義な性格
親と子どもはそれぞれ別の人間です。自分自身のことは完璧にできても、子育てはうまくいかないことの連続ということもあります。完璧主義な性格によって、うまくいかない部分に折り合いをつけることが難しく、精神的に負担となってしまうこともあるでしょう。
④赤ちゃんとふたりきりにならざるを得ない
育児中、とくに出産後すぐという状況では赤ちゃんとふたりきりで過ごす時間が増えます。大人のように言葉でコミュニケーションをとれるわけではないので、赤ちゃんとふたりきりで過ごすのはとてもパワーがいります。「今日はなかなか寝てくれなかった」「昼間、笑ってくれた」という些細な話でも、誰かと共有できることは大きなストレス解消になります。話し相手がいなくなってしまうと、親のほうはつらくなってしまうものなのです。
育児ノイローゼに限らず、ノイローゼ状態に陥りやすい人には特徴があります。まじめで完璧主義、何事にも手を抜けないなど、精神疾患になりやすい性格傾向です。以下を確認してみてください。
①完璧主義
前項でも書きましたが、完璧主義であるほど育児がうまくいかないことに悩みやすいです。「どうしてうまくいかないんだろう」と思い詰めてしまい、イライラしたり悲観的になったりしてしまいます。
②理想が高い
子どもへの期待が大きく、子育ての形に理想がある人も壁にぶつかりやすいといえます。例えば「習い事をさせたい」と思っても金銭的な事情で叶わないこともありますし、「なるべく手作りのものを与えたい」と考えていても他のことで疲れ果ててうまくいかないこともあります。壁にぶつかることが増えると、それだけ落ち込むことや葛藤が増えます。精神的に参ってしまうこともあるでしょう。
③人に弱さをみせられない
人と話すことは大きな気分転換になります。ただ、育児で困っていることや思うようにうまくいっていないことなど、人に話す気になれないという人もいます。先輩からの具体的なアドバイスを得る機会を失うことで、育児に対していっそう孤独になってしまいます。
自分自身の不調やストレスに気づくことができたら、助けを求められる場所を探しましょう。一番身近なパートナーに相談できることが理想的ですが、公的なところでは保健センターを利用してもよいと思います。日本全国どこでも、地域の保健センターは2歳までの子どもについての相談に乗れるようになっています。定期健診でもお世話になると思うので、親である自分自身の不調についてもぜひ相談してみてください。うららか相談室では、育児のお悩みにお答えできるカウンセラーも多数おります。こちらにもお気軽にご相談ください。
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育児ノイローゼを予防するには、育児中に孤独にならないことがとても大切です。自分だけで子どものすべてを背負わなければならないと責任を感じすぎたり、子どもと家に閉じこもることで視野が狭まったりしてしまうとどうしても悲観的になってしまいます。親同士の人間関係に疲れてしまう方もいるので、必ずしも他のママ・パパと交流する必要はありませんが、子どもとふたりきりでない時間を作ることが必要です。パートナーや自分の親、地域の保健師さんなど育児について話せる相手を作れるとよいですね。ほどよく息抜きの時間を作れるとベストです。
育児は長期戦です。子どもだけでなく自分にも優しくならないと辛くなってしまいます。息抜きはさぼっているわけではなく、相談は恥ずかしいことではありません。育児の辛さも楽しさも、共有できる相手をみつけながら過ごしていきましょう。
【参考】
東京都福祉保健局「直近の調査に基づくひとり親家庭の現状」2019
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/hitorioya_shien/hitorioyakeikaku/daiyonki/dai1kai.files/genjou.pdf
ノイローゼの症状・原因・治し方 All About https://allabout.co.jp/gm/gc/476821/