>
  1. 怒られるのが怖い。仕事などでの克服方法と障害・病気の可能性

怒られるのが怖い。仕事などでの克服方法と障害・病気の可能性

職場に行くのが憂うつ、上司や先輩に怒られたらどうしよう、と思うことはありませんか?

特に新卒の人は、慣れないことばかりで精一杯なところに、上司や先輩から怒られたら、落ち込むこともあるでしょう。アルバイトやパートの人は、正社員に怒られるのが怖い、肩身が狭いということがあるかもしれません。

誰でも、休日明けなどに仕事が億劫になったり、大事な場面で「ミスをしてはいけない」と緊張することはあります。しかし、その不安や恐怖が毎日続いたり、仕事中ずっと緊張していたりすると、心身に悪い影響を与えてしまうことがあります。

ここでは、不安や恐怖の原因と不安障害などの可能性、克服方法などについて解説します。

こちらの記事が、仕事や職場に対する不安が強く、いつも恐怖心が頭から離れないという方の参考になれば幸いです。

>自分の性格の悩みを相談できるカウンセラーはこちら

メンタルの悩みをカウンセラーに相談

目次

- 怒られるのが怖い原因

- 障害・病気の可能性

- 怒られるのが怖いのを克服するには

- 発達障害で仕事を考え直したい人へ

- おわりに

怒られるのが怖い原因


世の中にミスをしない人はいませんが、怒られることは避けたいと考える人が多いと思います。一般的には不安や恐怖を感じたとき、誰かにもやもやした気持ちを話したりリフレッシュしたりすると、嫌な気分を忘れられることが多いでしょう。しかし、どうしても怒られることが怖いと思う方には、以下のような理由が考えられます。


①過去に怒られた経験を思い出してしまう

子どものころに身近な大人から怒られた経験が多いなど、過去に怒られた経験が忘れられず、トラウマのようになってしまっている場合、社会人になっても上司や先輩に注意を受けると過剰に反応してしまうことがあります。


②仕事のミスだけでなく、自分自身を否定されたように感じてしまう

例えば、「このやり方ではダメだね」と指摘されたとき、仕事のことだけでなく、自分の人格までもがダメだと言われているような気分になってしまう人がいます。

子どものころに褒められた経験が少なかったり、何かを達成した機会が少なかったりして、自分に自信がない人にみられやすいです。


③相手から攻撃を受けていると感じる

自分が相手から攻撃を受けていると感じてしまうために、怒られるのが怖いという人もいます。怒られることに対して、多くの人が感じるよりもその意味を深くとらえてしまう人によくみられます。


④他の人の目や評価が気になってしまう

例えば、「怒られている自分は、同僚から仕事ができない人だと思われているのでは?」などと考えて落ち込んでしまう人は、他人の評価を気にしすぎているからかもしれません。誰でも人前で怒られたら他人の目は気になりますが、それをずっと引きずってしまったり、周囲の人たちが不機嫌な原因まで「自分のせいかも」と思ってしまったりすることは問題といえます。


⑤緊張しすぎてミスをさらに繰り返してしまう

怒られたことで不安になり、「今後は絶対に失敗できない」と必要以上に自分を責めてしまう方は、緊張しすぎていつもはできることができなかったり、気分が不安定になってミスが増えてしまったりすることがあります。このように怒られることの悪循環に陥っているかもしれません。

臨床心理士に悩みを相談してみませんか?

臨床心理士とは・・・


悩みを抱える人との対話をベースに、精神分析や心理療法を使って問題の解決をサポートする「こころの専門家」です。


うららか相談室には、多くの臨床心理士が在籍しています。

メッセージ・ビデオ・電話・対面、あなたが一番話しやすい方法で、悩みを相談してみませんか。

障害・病気の可能性


前述した「怒られるのが怖い」原因は、程度の差こそあれ、誰しも多少は感じるものです。

しかし、その程度が強く、気分が落ち込み、ずっと恐怖にさいなまれている、怒られたことが頭を離れないといった状況にある人は、心の病気による影響の可能性が考えられます。

また、仕事のミスが多い、忘れっぽい、一度に複数の物事を処理できない、人間関係でトラブルが多いなどの悩みがあるために怒られるのが怖いと感じている場合、今まで軽度で気が付かなかった発達障害が潜んでいる場合もあります。

以下に、それぞれ詳しく解説をしていきます。


1. 心の病気が考えられる場合


①不安障害

不安が過剰に高まり、普段の生活に支障をきたす症状がみられます。

「不安症」と呼ばれることもあります。

不安障害には以下のような種類があります。


・パニック障害(パニック症)

パニック障害は、めまい、動悸、呼吸苦、発汗、震えなどを伴うこのまま死ぬかもしれないと思うようなパニック発作が起こることが特徴です。不安が高まる場面で起こりやすく、「またパニックが起こるかもしれない」という予期不安のために、外出ができなくなるケースもあります。


・社会不安障害(社会恐怖)

社会不安障害は、人前で発表をする、目上の人と会話するなど、他者からの注目を浴びる場面や人と接する場面で過剰な恐怖や緊張を感じることが特徴です。

症状が強くなると、仕事に行けなくなったり、人と会うのも怖くなったりするため、家にこもりがちになってしまうことがあります。


・全般性不安障害

全般性不安障害は、日常生活のあらゆることを対象に、極度に気になったり不安になったりすることの多い状態が半年以上続いている場合に診断されることがあります。心配性といわれるような性格的なものとは異なり、日常生活に支障をもたらします。不安のほか、疲れやすい、集中できない、落ち着かない、イライラする、不眠などの症状もみられます。


・強迫性障害

強迫性障害は、繰り返し手を洗う、何度も鍵や火の元を確認するなど、不安を打ち消すために繰り返し同じ行為をしたり、ゲン担ぎの度合いを超えた儀式的なこだわりに行動を制限されたりする場合に診断されることがあります。本人が自分で「こんなことを考えても意味がない」と思っていることが多いものの、行為をせずにはいられないので、生活に支障をきたしてしまいます。


②適応障害

適応障害は、特定の環境や状況にうまく適応できないことがストレスとなって、生活に支障をきたしているものです。原因となる環境から離れると症状が改善されるのが特徴です。

気分の落ち込みや不安、身体症状が主に見られるため、うつ病や不安症などの診断基準を満たさず、ほかの身体的な病気による影響でないことを確認する必要があります。身体症状としては、動悸、発汗、めまい、胃腸の不調、倦怠感、不眠、耳鳴り、片頭痛、涙もろくなるなど、様々な不調が現れます。

繊細で傷つきやすい、切り替えが苦手、周囲の人の目が気になる、身近に相談できる人がいないといったタイプの人が、適応障害になりやすいと言われています。


2.発達障害

発達障害は、生まれつき脳の機能に特徴があると考えられ、周りの人との違いがあることから社会生活での困難を抱えやすくなります。軽度やグレーゾーン(※)の場合には、大人になるまで周囲も本人自身も気が付かない場合があります。

(※)診断基準を満たさないものの傾向が認められる場合に、グレーゾーンと呼ぶことがあります。


代表的な発達障害について見ていきましょう。


①注意欠如・多動症(ADHD)

ADHDは、幼少期から、衝動性、落ちつきがない、イライラしやすい、忘れっぽいなどの傾向があります。

仕事上の問題では、マルチタスクが苦手(同時に複数のことをこなせない)、優先順位がつけられない、周囲が気になって集中できない、整理整頓が苦手、思ったことをすぐ発言してしまう、などがトラブルの原因になり、悩むことが多いです。努力してもうまくできず、上司にいつも怒られるのでは、嫌になってしまうこともあるでしょう。

一方で、個人のスキルが要求される仕事や本人の興味のある分野だと集中力を発揮しやすいようです。


②自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症は、コミュニケーションや仕事の段取りを考えることが苦手な傾向があります。

こだわりが強いことから、得意分野や専門知識を持っていることは多いですが、職場では苦手な部分が目立ってしまうこともあります。

コミュニケーションの難しさから、怒られても具体的な内容がよくわからない、怖くて聞き返せないということがあるかもしれません。

怒られるのが怖いと悩んでいる方へ

カウンセリングを通じて、自身の内面とじっくり向き合ってみませんか?

うららか相談室では、あなたの「変わりたい」という気持ちを、臨床心理士などの専門家がしっかりとサポートさせていただきます。

怒られるのが怖いのを克服するには

1.怒られる原因になっていることを予防する

怒られる原因となっていることについて、できる範囲の努力をしてみましょう。

例えば、次のようなことが挙げられます。

  • 一つ一つの業務を確認する
  • ホウレンソウ(報告、連絡、相談)を行う
  • 言葉遣いに気を付ける
  • 苦手なこと、自信がないこと、遅くなりそうなことは先に話をしておく

ほかにも怒られる原因によって様々な対策が考えられますので、できそうなことから試してみましょう。


2.信頼できる人に悩みを聞いてもらう

身近に話を聞いてもらえる人がいると、気持ちが楽になります。職場の同僚のほか、友人、家族など、気持ちを話せる人を持っておくと、怖い気持ちも和らぎやすくなります。


3.怒られる前にできることを考える

これは怒られそうかも、と感じることがあれば、先に上司に「相談」という形で報告を入れておくことも効果的です。


4.怒られた意味を考え、プラスに受け止める

自分自身の人格を否定されたわけではなく、「仕事の仕方について至らないところを注意してもらった」とプラスに考える方法です。

つまり、自分の人格と仕事の内容を切り離して考えることが大切です。同じ失敗を繰り返さないようにしよう、と未来に目を向けることも重要です。


5.頑張った自分を認める

仕事でミスはしたけれど、あんなに怒らなくてもいいのに、と感じたときは、「私は十分頑張ってきた!」と自分自身を認めてあげましょう。自分を認める余裕がない人は、必要以上に感情的になってしまうことがあります。


6.自分の特性に合った仕事を担当する

発達障害がある場合などには、生まれ持った特性によりマルチタスクが苦手だったりすることがあります。自分が得意とする分野に集中できるような業務内容や環境も大切です。希望する部署があれば異動を申し出ることを考えてみるのもいいかもしれません。


7.理不尽なことで怒られたら、職場の信頼できる人や企業内カウンセラーに相談する

他の人と同じことをしているのに、自分ばかりが怒られる、仕事以外のことで怒られる、嫌味を言われるなどの場合は、パワハラの可能性があります。

事業所には、パワハラ防止対策が義務づけられており、対応部署の設置が勧められています。パワハラ対策部署に相談するのもいいですし、企業内にカウンセラーがいれば、カウンセラーに相談するのも一つの方法です。

発達障害で仕事を考え直したい人へ

せっかく入社したものの、仕事が自分に合っていない、どんなに工夫や努力をしてもカバーしきれないという方もいると思います。

また、パワハラで会社の相談部門に話したけれど改善の見込みがないなど、自分の力ではどうしようもないとき、心の病気を抱えてしまう前に転職を考えることも必要です。

厚生労働省職業安定局の調査(「障害者雇用の現状等」)によると、精神疾患のある人の離職の理由で最も多いのが、「職場の雰囲気・人間関係」です。

発達障害や心の病気がある場合、療養した後、または休職した後、どのようなタイミングで復職すればいいか、どんな仕事ならできそうかを一人で考えることは難しい場合があります。

そんなときは、以下のような手段を使うのも、今後の見通しを決める上で役立つでしょう。


1.ハローワークの利用

ハローワーク(公共職業安定所)には障害や疾患のある人の就労を支援する「専門援助部門」が設けられています。就職に関する相談ができるほか、障害や疾患のある人を対象にした求人の紹介もあります。


2.就労移行支援事業所の利用

就労移行支援事業所は、障害者総合支援法に基づいた福祉サービスを行う機関で、一般企業への就労を希望する障害や疾患のある方を対象に、仕事の相談から、就職が定着するまでの支援を行います。障害や疾患のある方で、休職・離職中の方が利用できます。

就職してからも仕事が続けられるように相談に乗ってくれるところもあり、仕事でのストレスや不安を減らせると思います。

利用するには、市町村の福祉課に相談し、受給証をもらうことが必要です。


3.障害者職業センター

障害や疾病の知識を持った専門相談員や、職業カウンセラー、ジョブコーチなどが職業支援を行っています。


4.障害や疾病のある方の専門の求人サイトの利用

より広い範囲で、自分に合った就職先を探したいという方は、民間の求人サイトを利用するという方法もあります。1~3の方法ではしっくりこなかったという場合に利用するのもいいでしょう。

おわりに

怒られることに対して必要以上に恐怖を感じて、仕事のことが頭からずっと離れなかったりする状況は辛いものです。一人で悩まず、身近な人に相談したり、カウンセラーや職場の相談部門に話してみるなどして、不安や恐怖を和らげることも大切です。

また、どうしても解決できない場合は、自分に合った仕事や職場を探すという方法もあります。「怖い」というマイナスの感情も自分の心からのメッセージですので、もう頑張れない、他に方法がない、と思ったら、今の職場を離れるということも選択肢の一つとして考えてみましょう。

>自分の性格の悩みを相談できるカウンセラーはこちら


<参考文献>

・「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」厚生労働省, 2020.2月パンフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf(2021-07-08最終閲覧)

・東京海上日動リスクコンサルティング株式会社, 2021, 「令和2年度厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000783140.pdf(2021-07-08最終閲覧)

・厚生労働省職業安定局, 2017, 「障害者雇用の現状等」

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000178930.pdf(2021-07-08最終閲覧)

トラウマのカウンセリング
このコラムを書いた人
精神保健福祉士・社会福祉士
救急病院の医療ソーシャルワーカーとして、うつに悩む方や、不登校・長期の引きこもり、障害のあるお子さんの悩みなど、様々なケースに出会い、早期に専門職が関わる必要性を感じてきた。子育てやモラハラなどの家庭内の問題など、様々なお悩みの相談に携わっている。
> このカウンセラーに相談する
カウンセリングを受けてみたい方へ

うららか相談室では、臨床心理士・社会福祉士などの専門家を選び、メッセージビデオ電話対面形式のカウンセリングを受けることができます。


オンラインカウンセリングならカウンセリングルームに出向く必要がなく、自宅などのリラックスできる場所で、好きな時間に受けられるため、外出が難しい方や、心療内科でのカウンセリングに抵抗がある方にも気軽に受けていただけます。


また、匿名で相談ができるため、家族や友人に知られることなく、安心して相談していただくことが可能です。

本日相談できるカウンセラー
×