自分の気持ちや体がそわそわして落ち着かない、または子どもがそわそわ落ち着かない(じっとしていられない)ように見えるといった場合に、もしかすると何か病気なのではと思う人は少なくありません。
後者のように、子どもがじっとしていられないという場合は、後述の発達障害が参考になるかもしれません。
前者のように、気持ちや体がそわそわして落ち着かないという場合には、体の機能をコントロールする自律神経のバランスが乱れて、焦燥感や不安が生じたり、胃や胸がそわそわ(ざわざわ)すると感じられたりしている可能性があります。不規則な生活やストレスによって自律神経のバランスは乱れやすく、十分な睡眠時間がとれるように生活習慣を改善したり、仕事などのストレスから離れられる趣味や人間関係を持ったりすることが有効な対処法になると考えられています。
そわそわ落ち着かないというだけでは病気と判断することができませんが、次のような障害による影響の可能性もあります。下記の診断は精神科や心療内科などで医師により行われます。
全般性不安障害は、いくつかのものごとに対して過剰な不安や心配を多く抱える状態が長期間にわたって続き、そわそわと落ち着かなくなったり、集中力が低下したり、寝れなくなったりすることがある不安障害です。具体的には、過剰に仕事や家庭のことを心配したり、起こるか分からない災害や海外での戦争などに対して不安になったりすることがあります。
はっきりとした原因はまだ特定されていませんが、遺伝的な性質とストレスが関連しているといわれており、抗不安薬などの薬物療法や、認知行動療法(特に認知再構成法)という精神療法が有効な対処法になると考えられています。
双極性障害は、大きな気分の落ち込みが見られる「うつ状態」と気分が高まる「躁状態」を交互に繰り返す病気です。うつ状態では、意欲・集中力の低下や、そわそわ落ち着かない焦燥感・不安、寝れないなどの症状があらわれることがあります。また、躁状態では、自信にみなぎり、注意が散漫になったり口数が増えたり、活動的になって思い切った散財などにより損失を招きやすくなったりします。
はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、薬物療法と心理教育(自分の病気について理解すること)により、症状とうまく付き合いながら生活することができます。
ADHDは発達障害の一つで、はっきりとした原因は分かっていませんが、生まれつき脳の機能の違いがあり、以下のような症状により、社会生活で困難を抱えることがあります。
上記のようなことから、先生や親から怒られたり友人関係がうまくいかなかったりして、自尊心がうまく育まれず、ほかの精神症状を併発しやすくなることがあります。
発達障害をなくすことはできませんが、検査や心理教育、カウンセリングで自身の特性への理解を深めて生活上の工夫をしたり、ソーシャルスキルトレーニングなどで社会的スキルを身につけたりすることで、自分の苦手なことにうまく対処できるようになることを目指します。
そのほか、大きな気分の落ち込みを代表的な症状とするうつ病などでは、不安や焦燥感といった症状が見られます。また、ストレスが体の不調となってあらわれる心身症や、その他の身体症状の影響を受けている可能性も考えられます。
カウンセリングでは、そわそわ落ち着かない原因や対処法をカウンセラーと一緒に考えていくことができます。例えば、そわそわする自分自身の状態についてカウンセラーに話しながら整理したり、不安や心配を軽減できるようにリラクゼーション法の習得をサポートしたりすることがあります。自分の中にあるモヤモヤとしたものをカウンセラーに話すことで、気持ちがすっきりとしてストレスを軽減することにも役立ちます。