>
  1. 不登校の原因とは。学校に行けないことを大人はどう捉えればいい?

不登校の原因とは。学校に行けないことを大人はどう捉えればいい?

不登校の生徒数は、年々増加しています。文部科学省の調査によると、小学校の不登校生徒数は平成29年度で44,841人、中学校は119,687人となっており、中学校では30人に1人、つまり1クラスに1人程度は不登校の生徒がいる、という計算になります。

 

現代社会の課題として問題視されることも多い不登校の問題ですが、個人に焦点をあてて不登校を捉えた場合、必ずしも悪いこととは限らないかもしれません。

この記事では、不登校の問題の本質と、大人がどう捉えればいいのかについて考えてみたいと思います。

>不登校の悩みを相談できるカウンセラーはこちら

不登校のカウンセリング

目次

-      不登校の原因とは?

-      不登校の問題の本質とは

-      一人で抱え込まないで

-      不登校は予防できる?

不登校の原因とは?

不登校の原因としてまず思い浮かぶのは、いじめや先生からの嫌がらせなど、学校で起こった嫌な出来事によるものです。しかし、不登校は、必ずしも学校での出来事が原因とは限りません。

理由ははっきりしないけれど、なんとなく無気力でずるずると学校に行けなくなるケース、いくつかの小さな原因が重なってだんだんと学校へ行くことが嫌になっていくケース、家庭に何か問題があり行かなくなるケースもあります。

 

不登校になってしまう理由は、子どもが10人いれば理由も10個あるほど一言では語れない問題なのですが、不登校になってしまう子どもについては、以下の共通点があると思っています。

・慢性的に気持ちが満たされていない

・何か嫌なことがあったとき、信頼して相談できる人がいない

 

子どもたちは、学校で大なり小なり何か問題が起こったとしても、それをきちんと相談できる人がいたり、自分の目線で一緒に考えてくれる人がいれば、自分の力で乗り越える事ができます。あるいは、もし不登校になったとしても、同じ状態がずっと続くことはありません。

思春期の子どもにとっては、多くの場合、信頼できる人=自分を理解してくれる人です。家庭に限らず、学校の先生や、年上のきょうだいの友だちの場合もあるかもしれません。あるいはご近所さんが子どもにとっての理解者になることもあるかもしれません。

 

個人的には、不登校が増加している根本的な原因は、こういった“子どもと同じ目線で子どもの事を理解する大人”が社会に少なすぎるということがあるように感じます。

臨床心理士に悩みを相談してみませんか?

臨床心理士とは・・・


悩みを抱える人との対話をベースに、精神分析や心理療法を使って問題の解決をサポートする「こころの専門家」です。


うららか相談室には、多くの臨床心理士が在籍しています。

メッセージ・ビデオ・電話・対面、あなたが一番話しやすい方法で、悩みを相談してみませんか。

不登校の問題の本質とは

「不登校」という言葉は、学校に登校できない状態をあらわします。そのため「引きこもり」という言葉とは違い、どんなに学校以外ではとても活発に活動していたとしても学校への登校をしない限り「不登校」となります。

ここで一つ質問です。もし自分のお子さんが、以下のような不登校だったらどうでしょう、想像してみて下さい。

 

「不登校だけれども学校以外ではとてもいきいきしていて積極的に様々な活動をし、学校以外では友達も多く、家のお手伝いもしてくれてお父さんお母さんともいつも笑顔で話している。やりたいことを自分で選んでいて、学校へ行かない説明もきちんとできる。」

 

・・・・こんな不登校だったら、少し捉え方は変わってくるのではないでしょうか。このような不登校は現実にはめったにありませんが、こういった事例から見えてくる重要なことは、不登校になってしまうことの本当の問題は、「学校へ行かない」ことではなく、子どもに「社会参加する機会がなくなる」ことにあるのです。

 

大昔は、知識を持っている人が少なかったために、寺子屋などで多くの人に知識を広める必要がありました。その頃の集団教育の目的はまさに知識獲得であったと言えます。しかし現代では、極論を言えば学校に行かなくても義務教育で習う知識は全て独学で獲得することができます。そのため、現代の集団教育(学校)の意味は、昔のような知識獲得だけではなく、ソーシャルスキルの獲得に目的の比重が変わりつつあります。

学校とは、社会に出て一人で生きていくための準備をする練習場所なのです。

そのため、学校生活で何も問題がないことが必ずしも良いことなのではなく、学校生活でなにか問題があった場合に、その問題を乗り越えていく、ということがとても大切なことになっていきます。それこそが学校に行く意味といっても過言ではないでしょう。

 

上記を踏まえて不登校の問題を考えると、不登校も「困難を乗り越える練習」と捉えることはできないでしょうか。

学校生活では何の問題もなく過ごせたけれども、社会人になってから初めてつらい経験をし、挫折してしまう。それよりも、親元にいるあいだに課題にぶち当たり、乗り越える経験ができるのだと考えると、いつかは通る道が少し早く来ただけ、と考えることもできそうです。

もちろん、子どもがひどいいじめにあっていた場合など、どんなに経験とはいえ限度はありますが、考え方として重要なのは、「嫌な経験をするべき」ということではなく、自分に巻き起こる出来事を「自分に合った方法で解決していく経験をするべき」ということです。

不登校になったからといってマイナスにばかり捉えず、一緒に乗り越えてあげられる今でよかった、と捉え、その子にあった乗り越え方を探していきましょう。



一人で抱え込まないで

不登校は、お子さんだけではなくそばにいる大人にとってもつらかったり、苦しかったりすることだと思います。子どもだけではなく、大人も、誰かの力を借りて解決しても良いのです。自分だけで解決できないことを情けないこと、恥ずかしいことだと感じる必要は全くありません。むしろ、不登校の原因を考えると、一人よりも複数の大人が関わるほうが自然なことのように感じます。決して一人で抱えようとせず、周りの人に相談してみてください。

もし、自分の子育てについて否定されるのが嫌だ、今後も干渉されそうで家族や友人には相談したくない、という方は、うららか相談室のカウンセリングも活用してみてくださいね。

お子さまの不登校でお悩みの方へ

お子さまに合った不登校の解決方法や、お子さまを支えていく方法をカウンセラーと一緒に考えていきませんか?

オンラインカウンセリングのうららか相談室では、臨床心理士などの専門家に、匿名で悩みを相談することができます。

不登校は予防できる?

ここまで不登校の問題について書いてきましたが、そもそも不登校は予防できるのでしょうか。

予防といっても、不登校は病気ではないのではっきりした予防策があるわけではありません。それでも、予防につながることはあります。それは「子どもと信頼関係を築いておくこと」です。これは不登校に限らず、あらゆる子育ての悩みにおいて、大きな役割を果たすことになります。

どんなに信頼関係を築いていても、不登校になることはあり得ます。しかし、信頼関係があれば、深刻化する前にきちんと乗り越える事ができるのです。

 

「信頼関係を築く」と一言で言っても、イメージがわく方もいれば、どうしたらいいのかわからないという方もいるかもしれませんね。

お子さんとの信頼関係の築き方についてはこちらの記事で詳しく書いているので、参考にしてみてくださいね。


おわりに

不登校というとどうしてもマイナスのイメージがありますが、遅かれ早かれその子が向かい合うべき課題が、10代のうちに来た、というだけのことです。

不登校の問題を良いチャンスととらえ、子どもが自分自身と向き合い、自分に合った解決方法を見つけられよう、そばにいる大人が力になってあげましょう。

あくまで学校は子どもの人生を豊かにするための手段のひとつでしかない、ということを理解し、良い意味で深刻になりすぎず捉えてほしいと思っています。

 

もしお母さんお父さんが不安でいっぱいになってしまったり、どう支えてあげたら良いかわからなくなったら、気軽に相談してくださいね。

>不登校の悩みを相談できるカウンセラーはこちら

不登校のカウンセリング
このコラムを書いた人
社会福祉士
児童養護施設で7年、児童療育現場で5年勤務。現場経験と社会福祉士の知識をいかし、児童分野はもちろん、親子間、夫婦間、家族間の関係修復、調整に関する相談に多く取り組んでいる。
> このカウンセラーに相談する
カウンセリングを受けてみたい方へ

うららか相談室では、臨床心理士・社会福祉士などの専門家を選び、メッセージビデオ電話対面形式のカウンセリングを受けることができます。


オンラインカウンセリングならカウンセリングルームに出向く必要がなく、自宅などのリラックスできる場所で、好きな時間に受けられるため、外出が難しい方や、心療内科でのカウンセリングに抵抗がある方にも気軽に受けていただけます。


また、匿名で相談ができるため、家族や友人に知られることなく、安心して相談していただくことが可能です。

本日相談できるカウンセラー
×