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  1. 子どもとの信頼関係を築くコミュニケーションのコツとは?

子どもとの信頼関係を築くコミュニケーションのコツとは?

子どもとのコミュニケーションで意識したい4つのポイント

日本の現代社会では、『親子関係の希薄さ』が課題となっています。

「親子なのだから、何もしなくとも信頼関係はあるのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、戦後からのめまぐるしい経済成長、文化の変化、今なお続くネット社会の進化。このように社会が大きく変わっていくなかで、今の親が「自分がされてきた子育てと同じ子育て」を子どもにしたところで上手くいかないことが増えてきているのです。

昔のことわざのように「放っておけば子は育つ」時代ではありません。放っておくには現代社会はあまりにも子どもに入ってきてしまう情報が多いのです。

そのため、そばにいる大人がきちんと子どもと信頼関係を保ち、子どもが自分で情報の取捨選択ができるまで見守ってあげる必要があります。

とはいえ、子どもにどこまで干渉すればいいの?という疑問もありますよね。

実際、過保護すぎるコミュニケーションや子どもの個性を無視したコミュニケーションをとってしまい、逆に子どもとの関係が悪化してしまうケースも増えています。

 

今回は、子どもとのコミュニケーションにおいて、意識しておくとうまくいきやすいポイントを以下の4つにまとめてみました。

 

1. 子どもと向き合うときの心構え

2. 積極的にしたほうがいいコミュニケーション

3. やらないほうがいいコミュニケーション

4. コミュニケーションは量より質。忙しくてもできること


大切なポイントをおさえたら、あとはそれぞれのご家庭らしいコミュニケーションでお子さんとの信頼関係を築いていってください。

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1. 子どもと向き合うときの心構え

「信頼関係を築きましょう」といわれ、イメージがわくお父さんお母さんもいれば、どうしたらいいかわからない方もいるかもしれません。

でも実は、難しいことはなにもありません。

大切なことは「子どもを一人の人間としてみつめ、しっかり話を聞く」

ただこれだけです。

 

一人の人間としてみつめる、ということ。言葉だけだと漠然としていますが、イメージは“親友との関わり”と思って下さい。

どうしても大人は無意識のうちに子どもを子ども扱いしています。ましてや、赤ちゃんのころから育ててあげたお父さんお母さんからすれば、いつまでたっても子どもだと思ってしまいますよね。

そういう部分があってもかまいません。友達のような親になる必要もありません。ただ、子どものことを全て知っているつもりになってしまうと、子どもを一人の人間としてみてあげられなくなるのです。

親心をいったんリセットし、一人の人間として子ども扱いをせず、子どもと対等に向き合ってみましょう。

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2. 積極的にしたほうがいいコミュニケーション

積極的にしたほうがよいコミュニケーションは、基本的にはとてもシンプルです。子どもにしてほしいことをまずは大人が体現すればいいのです。

とはいっても意外と意識をしないと出来ないこともあるので、具体的に例をあげてみたいと思います。


・「ありがとう」「ごめん」をきちんと言う

ありがとうは言えている場合も多いかと思いますが、意外と大人は、子どもが「やってあたりまえ」と思ってしまっている場合も多いものです。ありがとうはきちんと伝えるようにしましょう。しかし、大人が苦手なのは「ありがとう」より「ごめん」です。大人でも間違うことはあります。しかし大人は意外と謝らずに、あやふやにしていることがとても多いのです。むしろ謝るべき事が出来た時はチャンスです。きちんと謝ってくれる大人に子どもは信頼を寄せます。大人に非がある場合は、積極的に間違いを認め、素直に謝りましょう。


・大人も自分の話をする

相手に心を開いてほしい場合は、まず自分が心を開くことが重要です。これが良い人間関係を築くための順序であり、親子間でも通用します。大人が今日あった出来事や悩んでいることを話すことで、子どものなかに「自分を対等にみてくれている」という感覚がうまれ、自然と話をしてくれやすくなります。


・意味のない会話をする

必ずしもきちんと向き合って、いつも意味のある会話をする必要はありません。テレビを見ながら話をしたり、子どもがしているゲームに興味を持ったりしながら、他愛のない会話を楽しんでください。


・日常のあいさつをきちんとする

おはよう、いってきます、行ってらっしゃい、おかえり、いただきます、ごちそうさま、おやすみなど、無理に会話をせずとも、自然と言葉を交わせる文化が日本にはあります。これを丁寧に行うだけでも、子どもに「ちゃんとあなたを見てるよ」というサインにつながり、いざという時に「相談してみよう」と感じてくれやすくなります。


・共感する

意見が異なったり、大人として自分の意見を言ったりするのはとてもいいことです。しかし、子どもの話には必ずいったん共感してあげてください。意見や考えは異なる場合でも、「そう感じた事はなるほど、わかるよ」「たしかにお父さんもその立場だったらそう思うかも」「それは嫌だったね」「(どんなにつまらない話でも)そうか~楽しかったんだねえ」など共感する事は忘れないでください。共感してくれる人にはどんな話もしやすいものです。



・認めてあげること

「ほめる」というのはよく聞く言葉かもしれませんが、ほめるだけではなく、認めてあげることもとても大切です。これが自然とできるようになる最大のポイントは、

「頑張った部分(過程)と出来た部分(結果)は分けて考える」。この癖をつけることです。

もちろん、わかりやすく成果が出た時はしっかりとほめてあげてください。しかし必ずしも成果がでるとは限りません。成果がでなかった時も、その過程を見る癖をつけることで、自然と子どもを認めてあげる声かけができるようになります。

具体的なシチュエーションで見てみましょう。


○答案用紙を全部埋めた0点のテストを子どもが持って帰ってきた場合。

結果重視の声かけ…「0点ってどういうこと?!」

過程重視の声かけ…「点数が取れなかったのは残念だけど、良くぜんぶ埋めたね、そこはがんばったんだね!」


○18時までには帰ってくると約束したのに、走って帰ってきて18時10分だった場合

結果重視…「なんで約束守らないの!」

過程重視…「走って帰ってきたその気持ちは認める。でも約束は守らないといけないよ。」


○宿題を全部終わらせる約束をしたら、答えをぜんぶ写していたことが判明した場合

結果重視…「そんなことしてなんの意味があるの!答え見るなんてダメじゃない!」

過程重視…「宿題をきちんと終わらす約束を守ってくれたのはわかる。その気持ちはこれからも持ち続けてほしい。ただ、答えを写してもあなたのためにならないよ。」


ただ頭ごなしに怒るよりも、過程重視の声かけをしたほうが、確実にその後の関係性は良くなっていきます。関係性が良くなっていけば、こちらの言い分も聞いてくれるようになってきます。これは大人同士でも同じことですよね。

正直子どもは何も考えずやっただけのことだとしても、それでもここは頑張ったと思うよ、と大人が認めてあげると、不思議なもので、認められた行動を意識するようになります。そうすると、認められなかったときよりも確実にその行動を重ねやすくなるのです。

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3. やらないほうがいいコミュニケーション

子ども扱いせず向き合う、といっても、勝手にこちらの好きなことを言っていいというわけではありません。思いやりがなくなってしまっては、信頼関係も築きにくいですよね。

次に、お子さんと話をするときについ大人がやってしまいがちなコミュニケーションについてご紹介します。


・子どもの話を途中で遮る

まず大前提として、必ず話は遮らず最後まで聞いてください。子どもの言い分に大人はつい途中で口を挟んでしまいがちですが、大人でも話を途中で遮られると気持ち良いものではありませんよね。


・子どもの悩みや気にしている事に対して、「そんなことくらい」と軽く流してしまう

子どもの話には、いろんな経験をしてきた大人からすると、とても小さな事に感じてしまうような話も正直あります。しかし、それは私たちがすでにいろんな経験をしてきて、今の自分目線で話を聞いているからです。子どもには子どもの世界があり、まだ経験したことのないことがたくさんあります。自分がこの子の年齢で、この時代で、この環境だったら、と子どもの目線で考えて会話をしないと、つまらない大人の返事しかできなくなってしまいます。


・自分の時代と比べて判断する

子どもの話を聞いたときに、自分たちの時はどうだったかな、と考えるのは自然な事ですし、それを参考にしていい時もあるかもしれません。しかし、自分の経験を絶対的な判断材料にして子どもと話をするのはやめましょう。

私たち大人の子ども時代と現代では、時代背景や経済状況も異なれば、学校環境や友達との関係性も異なります。自分が知っている前提だけで話を想像せず、初めて聞く異文化の話だと捉え、しっかりと子どもの話を聞きましょう。そういった気持ちで聞くことで、子どもの今の立場や思いをより理解し、共感しやすくなります。そういう大人には、子どももこれからも話をしよう、という気持ちに自然となりますよね。

(子どもに共感したうえで、ちなみに自分の時は、というような話をするのはいいと思います。あくまで、「こちらの言い分が正しい」という思いではなく、「子どもにとって参考になれば幸い」という思いで話してあげて下さい)


・他の子どもと比べて話をする

これはよく聞くことかもしれませんが、他のお子さんと比べたところで、子どもは納得するのでしょうか。大人でさえ、自分の要望を言ったときに「他の人は~だよ」という話をされるとずいぶんつまらないですし、次も話そうという気持ちにはならないと思います。比較して話すのではなく、その子にとっての本質をとらえて話してあげて下さい。


・尋問のように質問をする

子どもが心配なあまり、大人が自分の知りたい情報を聞き出そうと連続して質問してしまう事があります。気持ちはとってもわかりますが、心配なことばかり気にして話をしていると、大人のペースになり子どもからすると面倒になってしまいがちです。子ども自身に興味を持ちながら、ゆっくり質問をして話してあげてください。


・まだ子どもだから、とごまかそうとする

シンプルなことですが、基本的に嘘はいけません。

話題によっては大人にとって少し答えづらいものもあるかもしれません。そういう時にはごまかそうとせず、出来る限り正直に答えるか、うまく言えないものでも「今は話しにくいんだ」「話したいんだけど、どういえばいいかわからないから、お母さんのなかで一回整理するね」など、内容に触れない場合でも本心を伝えて下さい。

子どもは大人が思うよりもずっと敏感で鋭いです。子どもとのコミュニケーションにおいて、嘘やごまかしは禁物です。

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4. コミュニケーションは量より質。忙しくてもできること

親も子どもも忙しく、ゆっくり話をできないことも多いかもしれませんが、量より質です。

普段から短くてもしっかりコミュニケーションをとることで、子どもの「話を聞いてほしいサイン」を見逃さないようにしてあげてください。

また、普段はたくさん話をしなくても、子どもがどこかいつもと違う気がしたら、しっかり時間をとって話をしてあげてください。

忙しい場合でも、以下のような点を工夫することで、お子さんとの信頼関係を築く土台はできていきますので、ぜひお父さんお母さんで話し合って意識してみて下さい。


・行ってきます、お帰り、は笑顔で目を合わせて言う。あるいは玄関まで出迎える。

(タイミング的に難しい場合は、逆に、親がただいま、行ってきますをきちんと言ってください)

・いただきます、ごちそうさま、おはよう、おやすみなさい、などの日常の挨拶を心をこめてする

・出来る限り食事は一緒にとる。難しい場合は、いただきますの挨拶だけでもいっしょにする

・1日5分でも10分でもいいので自分のなかで子どもと向き合う時間をつくる。(子どもが話をしない場合は大人が話をしてもかまいません。)


おわりに

以上、子どもとのコミュニケーションのコツについてお話ししてきましたが、どんな時でも、子どもの立場からものを考え、共感し、必要であればアドバイスをしてあげてください。

重要なのは、適切なアドバイスをすることではなく、何かあった時には必ず大人は自分の話を真剣に聞いてくれる、という感覚を子どものなかに育てることです。

きちんと自分の話を聞いてくれる人の言う事を子どもは聞きます。大人が子どもの話を聞かないのに、子どもには大人の言う事を聞きなさい、というのは無理な話ですよね。

コミュニケーションの積み重ねが信頼関係につながって行きます。

子どもに信じてもらうためにも、まずは私たちが子どもを信じ、日々誠実に向かい合っていきましょう。

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このコラムを書いた人
社会福祉士
児童養護施設で7年、児童療育現場で5年勤務。現場経験と社会福祉士の知識をいかし、児童分野はもちろん、親子間、夫婦間、家族間の関係修復、調整に関する相談に多く取り組んでいる。
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