仕事でもプライベートでも、いい人間関係を築くためには、相手の気持ちを考えるということが大切です。コミュニケーションのすれ違いは、相手の立場に立って考えていなかったり、自分の主張ばかりを押し付けてしまうことから起きやすくなります。
でも、相手の気持ちを考えるとはどういうことなのでしょうか。また、どのようなことに気をつけたら上手に相手の気持ちを考えることができるのでしょうか。
目次
そもそも、相手の気持ちを考えるとはどのようなことを指すのでしょうか。多くの人は、自分の気持ちにはとても敏感です。楽しい、悲しい、嬉しい、悔しい、など、自分の気持ちについてはよく考えます。
しかし、それと同じように相手にも気持ちがあります。相手がどう考えているか、どうしたら相手が喜んでくれるか、そういうことを考えるのが、相手の気持ちを考えるということです。
自分を相手の立場に置いてみると、意外と良かれと思ってやっていたことがそうではなかったり、自分の立場からとはまた違った見方をすることができます。また、相手が喜びそうなことや、相手にとってのメリットを想像することで、今相手が欲しているものや、欲していないものについて考えることができます。
臨床心理士とは・・・
悩みを抱える人との対話をベースに、精神分析や心理療法を使って問題の解決をサポートする「こころの専門家」です。
臨床心理士の資格は厳しい学習条件が求められ、心理業界では長年にわたり根強い信頼性を持っています。
うららか相談室には、多くの臨床心理士が在籍しています。
メッセージ・ビデオ・電話・対面、あなたが一番話しやすい方法で、悩みを相談してみませんか。
相手の気持ちを考えない、自分のことばかり考えてしまうことで、コミュニケーションが円滑にいかなくなる、という問題点が挙げられます。
こと仕事においては、コミュニケーション能力が低いということは、昇進や昇格の機会を逃す可能性もありますし、評価が下がるリスクもあります。自分が任された仕事をしていればいい、というのは新人のころだけで、だんだんと上司や同僚、部下の考えていることを汲み取ったり、お客様の意向を汲み取ることも求められてきますよね。そういった時に相手の気持ちを考えることができないと、仕事がスムーズにいかない可能性があります。
また、プライベートにおいては、人の気持ちが分からないと、自分勝手な人、と思われてしまうこともあり、家族や友人との間にトラブルが生じたり、関係性が悪いほうにいく可能性もあります。人の気持ちを考えれない人、というイメージがついてしまうと、信頼関係を築きにくくなりますし、そのせいで悩みを相談できる人がいなくなったり、恋愛がうまくいかない可能性も出てきます。
相手の気持ちを考えているつもりなのに、上手くいかない、そんな風にお悩みの方もいるでしょう。相手の気持ちを考えているのに怒らせてしまったり、せっかくと思ってとった行動が裏目に出てしまったりすると、悲しいですよね。
では相手の気持ちを考えているのに上手くいかないのはどうしてでしょうか。
理由として考えられるのは、相手の立場になって考えているのではなく、自分の立場のまま相手の気持ちを考えている、ということが挙げられます。
人は生きてきた環境や性格によって、価値観も考え方も違います。相手の価値観と自分の価値観が大きく違う時、自分だったらこう思うな、という自分中心の考えをしていると、それは的外れな考えになってしまうことがあります。
例えば、プレゼント1つとっても、男性と女性では欲しいものは違うでしょう。自分の立場ならこれが欲しいな、と考えることと、相手はこれが欲しいだろうな、と考えることは別ですよね。ブランドものが好きな人もいれば、お金より手のこもったものを喜ぶ人もいるでしょう。このように、自分の立場から考えてしまっていると、相手の気持ちを考えているつもりでも上手くいかないことがあります。
では、相手の気持ちを考えようと思った時は、どのようにするのがいいのでしょうか。
・まずは相手の立場になって考える
まずは相手の立場になってみて、相手の気持ちを考えるようにすることが大切です。性別や年齢、その人の性格や価値観を考慮して、考えてみましょう。その人がいつも喜んでいることや好きなこと、逆に怒っていることや嫌なことを思い出し、相手の価値観を探ってみます。
仕事であれば、忙しそうな時は話しかけないほうがいいのか、それとも連絡や報告はすぐにしてほしいのか、小さなことですが考えるクセをつけることで、だんだんと相手の立場になって考えられるようになります。
・相手の反応をよく見て行動するようにする
自分が何か言った時や行動した時、相手の反応をよく見ることも大切です。今の言葉や行動によって、相手が喜んでいるのか、悲しんでいるのか、怒っているのか、などよく見るようにすることで、だんだんと相手の気持ちを考えられるようになります。
その人との関係性によっては、本音ではなく建前やお世辞を返されることもあるでしょう。しかしその言葉をそのまま受け取るのではなく、表情や声色などを観察することで、それがお世辞だったのか、本音で言っているのか、というのが汲み取りやすくなります。
・意見を言う前に一度考えるクセをつける
相手の気持ちを考えられない人の中には、思ったことをとりあえず口に出してしまう、という人もいます。正直なのはいいことですが、場合によっては言わなくてもいい事や、言い方を少し変えるだけで相手を傷つけずに済むかもしれません。
そういう人は、意見を言う前に、本当にそれを言っても大丈夫か、相手を不快にさせたり自分勝手な発言ではないか、一度考えるようにしましょう。
また、自分からどんどん発言してしまうと、相手は発言するタイミングを逃して、相手の意見を聞けないまま終わってしまうこともあります。一度立ち止まって考えることで、少し時間ができるので、相手の意見を聞く良いきっかけになる可能性もあります。
・色々な人と関わってみる
相手の気持ちを考えられるようになるには、様々な考え方に触れることも効果的です。多くの人と触れ合うことで、「そういう考え方もあるんだ」「そう言われると喜んだり傷つく人もいるんだ」と新しい価値観に触れることができ、観察力を鍛えることができます。
カウンセリングを通じて、自身の内面とじっくり向き合ってみませんか?
うららか相談室では、あなたの「変わりたい」という気持ちを、臨床心理士などの専門家がしっかりとサポートさせていただきます。
相手の気持ちを考えることは、コミュニケーションを上手く取る上でとても大切です。しかし、人の気持ちというのは100%理解することはできません。あくまで想像になりますし、相手の気持ちを気にするあまり、自分の気持ちが言えなくなったり行動できなくなるのは勿体ないです。また、相手の気持ちを優先してばかりいると、ストレスが溜まり精神衛生上よくありません。相手の気持ちを考えすぎて疲れてしまうくらいであれば、自分の気持ちを大事にすることを優先してください。
相手の気持ちを考えた上で、自分がどうしたいか、ということも含めて考えることで、相手のことを気にしすぎず、自分の意見も発言しやすくなります。言いたいことがあるけれど、相手を傷付けるかもしれないから言わない。相手を傷つけるかもしれないけれど、言う必要があることだから丁寧に伝える。どちらでもあなたがしっかりと考えた結果であれば間違いではありません。
相手を尊重しながら、自分の意見を伝えるコミュニケーションスキル、アサーションについて、実践方法を紹介していますので、興味のある方は以下のコラムもご覧いただければと思います。