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  1. アドラー心理学に基づく子育てとは?褒めない・叱らない勇気づけの方法

アドラー心理学に基づく子育てとは?褒めない・叱らない勇気づけの方法

公開日 2024.11.06
育児・子育て
うららか相談室

「子どもを褒めたいけれど、どこを褒めたらいいのかわからない」

「いつも子どもを怒ってばかりで嫌になる」

子育てをしていると、子どもの褒め方や叱り方について悩んでしまう人は多いのではないでしょうか。

そういった悩みをお持ちの方に、アドラー心理学に基づく勇気づけの方法をご紹介します。

子どもへの具体的な声かけ方法もご紹介しますので、ご興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

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子育てのカウンセリング

目次

- アドラー心理学の子育てとは 

- 褒めない・叱らない子育て 

- 子どもへの勇気づけの方法 

- アドラー心理学の子育てを勉強したい方へ 

- おわりに

アドラー心理学の子育てとは


アドラー心理学とは、オーストリアの精神科医/心理学者であるアルフレッド・アドラーが創始した心理学です。日本では、2013年に『嫌われる勇気』という書籍が出版され、ベストセラーになったことで、アドラー心理学の名前が広く認識されるようになりました。

アドラー心理学では、「勇気づけ」という方法が子どもの自己肯定感を高め、社会的なスキルを磨き、幸福な人間関係を築く手助けをしてくれるとしています。

また、「自分のすべての行動は自分自身で決めることができる」「人間はみんな平等で、上下関係がない」という考え方が基本となっており、これらの考え方を子育てに活かしたものが「アドラー式子育て」や「アドラー流子育て」と呼ばれています。

褒めない・叱らない子育て 

アドラー心理学の子育ては、褒めない・叱らないことを基本としています。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。


・褒めない理由

アドラー心理学の子育ては、褒めるのではなく勇気づけすることを基本としています。

子どもをささいなことで頻繁に褒めていると、褒められることが当たり前になってしまい、褒められない状況に不安や不満を覚えるようになってしまうといいます。

また、「褒められたい」という目的で物事に取り組みがちになり、その状況が続くと、「誰かが褒めてくれないとやらない」といったことになりかねません。

「自分がどうしたいか」ではなく、誰かから褒められそうなことを基準に行動するようになり、自分の意思で行動する力が身につかなくなってしまうこともあります。

このような理由から、アドラー心理学の子育てでは、むやみに褒めることを推奨していません。


・叱らない理由

アドラー心理学の子育てでは、叱ったり、怒ったりすることも良くないとされています。

子どもに感情的に怒ったり叱ったりすることは、アドラー心理学において「勇気くじき」と呼ばれています。人格否定や、達成できていない部分を感情的に指摘する行為は、子どものやる気を失わせ、学ぶ機会を奪ってしまうことになるといいます。

何かをしてほしいときや何かをやめてほしいときなど、子どもに何かしらの要求をするときは、命令口調で伝えるのではなく、自分の気持ちを伝えてお願いしたり、子ども自身に考えさせることが重要だと考えられています。


・ヨコの関係性

褒めない・叱らない理由について述べましたが、この二つに共通するポイントとして、アドラー心理学の特徴の一つである「ヨコの関係性」という考え方があります。

一般的なタテの関係性というのは、上の人が下の人を支配したり、下の人が上の人に依存したりというような関係になります。一方アドラー心理学で重要視されているヨコの関係性は、横並びに位置する人同士がお互いに信頼関係を築き合うような関係性となります。

親子に上下関係があり、親が子に命令したり、親の考えを押し付けたりしていると、良好な親子関係を築くことが難しくなってしまう場合があります。アドラー心理学の子育てにおいては、子どもを子ども扱いせず、対等に人として接し、親が子どもを支配しない関係が大切だとされています。


・課題の分離

課題の分離とは、対等な関係にある他者が持っている課題と自分が持っている課題を分けて捉えるという、アドラー心理学の考え方です。一つ上で述べたヨコの関係性を築き、相手と対等な関係になることで、他者が持つ課題と自分が持つ課題を分けて考えやすくなります。

たとえば、子どもがなかなか宿題をやらないとき、「早く宿題をやりなさい」などと親が口を出してしまうこともあるかと思いますが、「宿題をやらないと困る」のは、親の課題ではなく、子どもの課題です。子どもの課題であると気づいたら、過度に介入しないよう境界線を引くことが大切です。

なぜ課題の分離が必要なのかというと、いざ自分の課題を乗り越えなければいけないときが来たら、「自分で乗り越え方がわからない」ということになるからです。

親は子どものことを思うあまり、子どもの課題に介入しがちになってしまいますが、子どもが主体性を持って、自分の意思で行動できる力を育むために、課題の分離を意識して子どもに接することが重要だと考えられています。

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子どもへの勇気づけの方法 


アドラー心理学では、親と子どもの関係は対等であり、上の立場から褒めたり叱ったりしないことを基本としていることを述べてきました。そして、褒めたり叱ったりする代わりに推奨されているのが「勇気づけ」です。

人生で困難にぶつかることは避けられないものですが、子どもに「困難を克服する力」を与えることを、アドラー心理学では「勇気づけ」と呼び、重要視されています。


以下に、勇気づけの方法をいくつかご紹介します。

いずれの方法も、「すごいね」「えらいね」といった褒める声かけではなく、「ありがとう」「嬉しい」など、気持ちを表現する声かけを意識して実践してみてください。


・結果よりも過程を重視する

子どもに声をかけるとき、結果よりも、頑張った過程を重視しましょう。結果だけに注目すると、「成功しないのなら意味がない」と、挑戦することを諦めてしまうかもしれません。たとえ満足のいく結果ではなかったとしても、努力した過程を一緒に分かち合う声かけが大切です。


・子どもの成長を認める

子どもは毎日成長していますが、親のハードル設定が高すぎると、そこに達するまでの小さな成長は見えにくくなってしまいます。親の望むレベルまで達していなくても、「以前よりできるようになったこと」に注目して、成長しているところを認めてあげましょう。


・周りと比べない

周りの子どもと比較しないという点も、勇気づけには非常に大切です。

子どもにはそれぞれ自分だけの特別な個性があり、得意不得意も子どもによってさまざまです。比較の対象は他の子ではなく、過去の子ども自身です。声かけをするときも、「前と比べて○○できるようになったね」など、個人の成長を重視することを意識してみましょう。


・子どもの味方でいる

子どもに何か困難があったときに支えられる親になるためには、普段から子どもの味方でいる必要があります。幼少期から親を味方だと感じられた子どもは、思春期になっても周りに悩みを打ち明けやすくなるといいます。「いつもあなたの味方だよ」「いつも見ているよ」「応援しているよ」といった声かけや関わり方は、子どもの心を勇気づけることにつながります。


・勇気づけの声かけの具体例

勇気づけの声かけの具体例をいくつかご紹介します。子どもへの声かけの際に、取り入れてみましょう。


1) 子どもがお手伝いをしてくれたとき

「ありがとう」「助かったよ」「嬉しい」


2) 子どもがテストで100点をとったとき

「頑張っていたのを知っているよ」「前と比べて○○ができるようになったね」


3) 子どもが何か失敗したとき

「大丈夫だよ」「ここは良くなっているね」「次はどうすればいいか一緒に考えよう」


4) 子どもが何かに挑戦するとき

「見守っているよ」「応援しているよ」


5) 何かを子どもにやってほしいとき

「○○してくれたら助かるよ」「頼りにしているよ」


6) 子どもが門限を守らなかったとき

「遅くなると心配するよ」「どうすれば時間を守れるようになると思う?」

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おわりに

今回は、アドラー心理学に基づく子育てについて、ご紹介しました。

子育て中の方は、子どもとの接し方で頭を悩ませることも多いと思います。子どもとの関係を良くしたい、子どもが自分で困難を乗り越える力を身につけてほしい、と思っている方は、今回ご紹介したアドラー心理学の勇気づけの方法を、ぜひ試してみていただければと思います。

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このコラムを書いた人
オンラインカウンセリングうららか相談室運営スタッフ
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