職場に苦手な人がいる、職場での人間関係に疲れた、そういった人は多いのではないでしょうか。職場は友だちを作りに行っているわけではないので、全員と仲良くなる必要はありませんが、人間関係がうまくいかないで孤立すると、仕事に行くのが億劫になったり、業務を行いにくくなりますよね。
職場の人間関係に疲れる原因と対処法について見ていきましょう。
目次
- まとめ
職場の人間関係はプライベートの人間関係と違って、付き合う相手を自分で選ぶことはできませんよね。趣味や価値観が合う人など、職場に付き合いやすい人が多ければいいですが、中には価値観などが合わない人もいるでしょう。特に上司や部下など、一緒に仕事をする人と価値観が合わないと、疲れやすくなりますよね。
実際に、転職をする人の多くが、職場の人間関係が良くない、合わないという理由で転職しています。
臨床心理士とは・・・
悩みを抱える人との対話をベースに、精神分析や心理療法を使って問題の解決をサポートする「こころの専門家」です。
うららか相談室には、多くの臨床心理士が在籍しています。
職場の人間関係の悩みは、職場の人に相談しづらい上に、友人や家族に相談しても具体的な解決策が見つかりにくく、一人で悩みを抱え込むことが多いです。よくある職場の人間関係の悩みについて見ていきましょう
職場の人間関係の悩みに多いのが、ハラスメントです。会社内の立場を利用したパワハラやセクハラだけでなく、モラハラ、マタハラ(マタニティハラスメント)など、様々なハラスメントが問題となっています。ハラスメントは精神的な被害が大きく、うつ病などの精神疾患や退職のきっかけとなることが多いです。
威圧的・高圧的な人、陰口をたたくような人が職場にいると、その人に対して不安や怖いという気持ちを抱き、同じ職場で働くことを苦痛に感じやすくなります。恐怖心が大きくなると、何らかの不安障害により出社ができなくなることもあります。
職場の人間関係にうまくなじめない、雑談ができない、といった悩みを抱える人も多いです。特に、自閉スペクトラム症という発達障害を抱えている方、またはその傾向のある方は、昔から人間関係が苦手で、職場でも同僚たちと打ち解けられないという悩みを抱えやすくなります。
上司の顔色ばかりうかがったり、気を利かせようとしたりすると、とても疲れます。上司が怒りっぽい、などの理由で相手に気を遣わなければいけない場合もあれば、客観的に見て、同じ職場の人に対して気を遣いすぎているという場合もあります。
社内に自分と意見が対立している人がいる場合、職場に行くのがストレスになりやすいです。また、相手が嫌がらせをしてきたり、職場の人を味方につけて、他の人からも敵対視されるようになったりすると、さらにストレスを感じやすくなります。
職場の人とプライベートで仲良くしていたのに、けんかや対立をしてしまった場合、嫌でも職場で相手と顔を合わせなければならず、ストレスを抱えやすくなります。また、相手と恋愛関係にある場合、職場の人には相談しにくく、気まずい思いをすることになります。
誰もが、他人から嫌われたくない、職場の人から良く思われたい、と願うものです。しかし、いい人でいようという気持ちが強いと、周りの人に気を遣いすぎて、疲れる原因になります。こうした人は、自分が発言することで相手に悪い印象を与えるのでは、ということを気にして、自分の思いを話したり意見したりすることを我慢しがちです。自分の気持ちを表現せずに抑えることは、実は精神的なストレスになります。
また、相手に自分の考えていることが伝わらないため、相手からするとうまく人間関係を構築しにくいと感じられるようです。
すぐに他人に頼らず、まずは自分で解決しようと思うことは素晴らしいことです。しかし、周りに頼らなさすぎると、職場の人間関係がうまく構築されず、いざというときに頼れる人がいないため、大きな不安を抱えながら仕事をすることになります。問題が起こったときに、お互いに頼り合うことによって、相手との信頼関係ができていくものです。
仕事をする上で、我慢をすることも必要ですが、どうしても納得のいかないことにも我慢をしている人は、疲れやすくなります。上司から理不尽に怒られたり、部下に嫌なことを言われたり、自分ばかり困った仕事を押し付けられたりしたときに、仕事だからと我慢してしまうと、問題はいっこうに改善しません。
意見しない、断らないのをいいことに、理不尽な言動がエスカレートしていく可能性もあります。
周りの空気を読むことは、職場で人間関係を構築するのに大切ですが、空気を読みすぎると、人間関係に疲れやすくなります。普段、友人や家族に対してでも空気を読もうとしすぎる人は、要注意です。
ハラスメントなどは、相手に加害者意識がなく、その言動が自分にとって嫌なことだと思われていない可能性があります。理不尽な業務内容や、業務外の飲み会の幹事などを任されてばかりいる人は、理由を伝えて嫌だという意思を示しましょう。難しい場合は、人事部や上司に相談してみましょう。
どんな人間でも短所と長所があります。職場に特定の苦手な人がいる場合、その人のいいところに目を向けてみましょう。
など、悪いところではなく、いいところに目を向けると、苦手意識が和らぎ、ストレスが軽減されるかもしれません。
職場の人に仕事の悩みなどを相談してみるのもいいかもしれません。頼られることで信頼関係ができて、困ったときには自分を頼りにしてくれる可能性があります。そうやって助け合うことで、職場の人間関係が改善されていきます。
自分の話をするのが苦手という方は、聞き役になることを意識してみるといいかもしれません。
誰もが、自分の話を聞いてくれる人には好感を持つものです。苦手だと思っていた人や、うまく人間関係が築けていなかった人にも、好感を持ってもらうことで、いい関係を築くことができるかもしれません。
職場の人間関係に特定の悩みを抱えて、くよくよしているという人は、職場以外の人間関係をつくることによって、職場の人間関係について考える時間が減り、ストレスが軽減されるかもしれません。
休みの日や仕事が終わってからは、趣味などを楽しんでストレスを解消し、職場の人間関係について考えることからなるべく離れられるようにしましょう。友人と共有できる趣味があると、好きなことについて話ができるので、より効果的です。
職場の人間関係に悩んで、ストレスがたまっているときは、リラックスする時間を作るのがおすすめです。38℃~40℃のぬるめの湯船に浸かったり、ヨガやストレッチをしながらゆっくり呼吸したり、様々なリラクゼーション法を取り入れて心身をリラックスさせることで、職場の人間関係への不安を軽減させることができます。
職場で、見下したり馬鹿にしたりしてくるような人がいれば、スキルを身につけて一目置かれるようにするという手もあります。仕事に関わる資格を取るのもいいですし、勉強をするだけでも自信がついて、相手の言動が気にならなくなるかもしれません。
また、コミュニケーションなどの訓練として、ソーシャルスキルトレーニング(SST)というものがあります。発達障害や精神障害を抱える人が多く利用する支援ですが、発達障害の傾向があるという人も、楽しくコミュニケーションについて考えることができると思います。よりコミュニケーションについて学びたい方は、アサーショントレーニングなども効果的です。
職場の人間関係の悩みを1人で抱え込んでしまっている人は、信頼できる友人などに相談してみましょう。友人に話したところで解決しないと考えるかもしれませんが、実は誰かに話を聞いてもらうこと自体がストレス発散になります。自分の内にためていたモヤモヤを外に向けて発することで、気分がスッキリすることを「カタルシス効果」といいます。また、相談しているうちに考えが整理されて、解決方法が分かってくることがあります。
カウンセリングでは、相談のプロであるカウンセラーに話を聞いてもらうことによって、ストレスを軽減しながら、職場の人間関係のあり方や困りごとの解決方法を考えていくことができます。
職場での人間関係は自分で選べるものではなく、相性が悪い人がいたり、ハラスメントがあったりすることで、ストレスがたまって疲れる人も多いです。職場の人間関係について考える時間を減らす、職場の人と信頼関係を築く、コミュニケーションのトレーニングをする、信頼できる人に相談する、などによって、職場の人間関係の改善および不安やストレスの軽減につながることが期待できます。