同じ物事を見ても、感じ方や捉え方は人それぞれ異なります。ネガティブな感じ方よりもポジティブな見方をする場面が多い方が、きっと生活は楽ですよね。
とはいえ、どうしてもポジティブになれない、つい悲観的な見方をする習慣がついている、という方も多いかと思います。
そんな方々が、今より少しでもポジティブに思考を傾けて気持ちを前向きにする方法には、どんなものがあるのでしょうか。
目次
- おわりに
まずは、ポジティブになれない原因から見ていきましょう。
・疲労やストレスがたまっている
負荷の多い仕事や学業、家事や育児で忙しい、人間関係で問題が起きているなど、心身の疲れやストレスが溜まっていると、普段は気にならないことでも否定的に受け止めがちになってしまいます。
・生育歴や環境
生育環境は、考え方の基盤をつくるのに大きく影響します。育つ過程において家族や周囲の人たちからネガティブな言葉がけや対応をされることが多いと、自然にポジティブな思考からは遠ざかってしまいます。
・自己肯定感が低い
自分を好きになれない、何事も自分に非があると捉えがちなど、自己肯定感の低さが元にある場合も、現実相応よりもネガティブな見方が多くなります。
次に、ポジティブな人にはどんな特徴があるのか見ていきましょう。
・フットワークが軽い
ポジティブ思考の人は、まだ起きていない未来に対して大きすぎる不安や恐れを抱かないので、あまり躊躇わず新しいことに挑戦したり、初めての場所や人と会う場面にも積極的に出向いたりと、フットワークが軽いという特徴が見られます。
・肯定的な捉え方が身についている
どんなことでも、様々な角度から別の意味付けをすることが可能ですが、ポジティブ思考の人は肯定的な捉え方や意味付けをする習慣ができています。
たとえば、仕事でミスをしたとき、ネガティブ思考の人なら「やってしまった」「なぜ自分はこんなこともできないのだろう」などと考えて、落ち込んだ気持ちを引きずってしまうことも多々ありますが、ポジティブな人は「この程度のミスで済んでよかった」「次に活かそう」など、過度に自分を責めず今後どうするかに焦点を持っていくまでの時間が比較的早いです。
・過度な責任は負わない
ネガティブ思考の場合、何か良くないことが起きると、自分のせいだと思ってしまいがちです。必要以上に責任を感じてしまうととてもストレスフルでしんどいものです。
しかし、ポジティブ思考の人は、自分にはコントロールできないことについては、諦める、別の方法を考えるなど、過剰に自分や状況を責めないでいられるような見方ができます。
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ポジティブな人の特徴は理解できても、どうしたらそうなれるのかについては難しく感じる人も多いかもしれません。ネガティブからポジティブになる方法のうち、比較的誰でも取り組みやすいものから、いくつかご紹介します。
・環境や体調を整える
たとえば多忙や人間関係など、ネガティブになってしまう要因が生活の中にあるならば、可能な限りそこから距離を取るなどして、環境の調整をすると良いでしょう。
また、体調が良くないと、おのずと思考の流れも良くない方に向きがちです。疲れや体調不良がある場合は、ゆっくり休んだり睡眠や生活習慣を整えたりして、体調に気を配ることも思考をポジティブにするのに役立ちます。
・評価や捉え方の基準を下げる
「ポジティブ=何でもうまくいっている」と思っている人もいるかもしれませんが、それだと完璧を目指すことになってしまい、苦しくなるリスクが高まります。プラス思考のためには、むしろ「完璧じゃなくていいんだ」という考え方が大切で、そこそこできれば良しとするなど、物事や自分自身への評価基準を敢えて下げると、ポジティブな見方をしやすくなります。
・できたことを記録する
ネガティブ思考の癖がある人は、できなかったことや上手くいかなかったことにばかり目が向きがちなので、ポジティブ思考になるには、物事の良い面に目を向けるように捉え方の癖を変えていく必要があります。
そのための練習として、できたことや上手くいったことを記録するのもひとつの手です。肝心なのは、いつも以上に特別うまくいったことではなく、「いつもどおりできたこと」「滞りなく済んだこと」も含めて記録していくことです。
「今日も事故やケガなく一日が終えられた」「今日の仕事は不安だったけど特に大きなトラブルはなかった」というように、意識しなければそのまま過ぎていくようなことにも肯定的な意味づけをする習慣をつけると良いでしょう。
・身体や心を動かす
身体を動かすと自律神経が整い、自然とポジティブな捉え方がしやすくなります。散歩やストレッチなど軽く身体を動かすのは、すぐできるポジティブシンキングへの一歩です。
また、趣味や好きなものを見聞きするなど、心を動かすのも効果的です。
・いつもと逆に考えてみる
どうしてもすぐネガティブな考えに陥ってしまう人は、敢えていつもと逆に考えてみるだけでも意味があります。
たとえば、「私はみんなにダメな人だと思われているに違いない」という考えが浮かんだら、最初は無理やりでもいいので「みんなにダメな人だと思われているわけではない」、または「ダメな人だと思っていない人もいるかもしれない」というように考えてみます。
はじめのうちは実感が持てなくても違和感があってもいいので、こういう考え方もあるんだなと思ってみるだけでも、ポジティブな視点を持つ一助になります。
・カウンセリングを受ける
自分でできる対策を試してもうまくいかない場合は、カウンセラーなど専門家の力を借りるのも有効な方法です。
カウンセリングでは、ネガティブな捉え方の要因となっていると思われる出来事や経緯を話したり、考え方を修正する方法を一緒に検討したりすることができます。
ポジティブシンキングには具体的にどんなメリットがあるのか、改めて見ていきましょう。
・仕事や勉強の作業効率が上がる
否定的に考える人は、マイナスな気持ちや考えに時間や心のエネルギーを持っていかれがちなので、どうしても仕事や勉強などしなくてはならないことに割ける余裕が少なくなってしまいます。
逆に言うと、ポジティブシンキングには、すべきことに素早く集中して効率的に取り組めるメリットがあります。
・人間関係がよりスムーズになる
プラス思考の人は、自分自身や周囲の人の良い面により多くの意識が行くため、プラスの部分が引き出されやすくなります。そのような雰囲気にいると、自然と新しいことへの挑戦がしやすくなったり、周囲と助け合えたり、感謝の気持ちがわいてくる機会も増え、人間関係も円滑化します。
・ストレスや悩みが減る
ネガティブな人なら強いストレスを感じるような場面でも、ポジティブな人は負より正の部分を多く捉えるため、感じるストレスがより少ないと言えます。また、上記のように様々なことに効率的に取り組むことができ、人間関係の問題も少ない傾向があるため、そもそもストレスや悩みを感じる状況に陥りにくいとも考えられます。
ストレスがたまると免疫力が低下して風邪をひきやすくなったり、抑うつ状態になりやすかったりもしますから、ポジティブシンキングはストレスを要因とする病気の予防にもなるとさえ言えます。
良いことばかりのように思えるポジティブシンキングですが、行きすぎるとデメリットも発生します。
・弱っている人への配慮に欠けることも
適切なポジティブシンキングとは、どんなに悲しくつらいことがあっても笑って過ごすというようなことではありません。
自分自身がつらくても我慢して無理にポジティブでいようとすると、落ち込んでいる他者を許せないような気持ちになったり、他人にも常に明るく笑顔でいることを求めたりしてしまうことがあります。
自分なりのポジティブを押し付け、他者の状況や気持ちへの配慮に欠けた言動が多くなってしまうならば、それは真のポジティブシンキングとは言い難いと考えられます。
・現実から目を逸らしてしまう
過度にポジティブ思考だと、起こりつつある問題を軽視してしまうおそれがあり、それが後々大きな問題に発展することもあり得ます。
現実をそのまま理解したうえで、過剰にネガティブな捉え方はせず、できることを考えようとするのが適度なポジティブシンキングの一例ですが、少しでも良くないことを認識したくないために現実から目を逸らしてしまい、本来すべき対応が取れないことがあるならば、それもポジティブ思考のデメリットと言えるでしょう。
客観的事実に対しての意味付けが、いつも自分を辛くする捉え方である場合、ポジティブな方向に変えていけると生きやすくなります。捉え方の癖は長い年月を経て作られる場合も多いので、すぐには難しいかもしれませんが、訓練で変えていくことは可能です。
現実から離れず、過度にポジティブにもネガティブにも偏らない、自分にとってバランスの取れたポジティブシンキングを探っていけるといいですね。うまくいかない時はぜひ、カウンセリングもご検討ください。