何でもネガティブに考えてしまうという人は、決して少なくありません。そして、その中の多くは、そんなネガティブ思考をやめたいと思っているのではないでしょうか。
そもそもネガティブとは何なのか、なぜネガティブ思考になってしまうのか、そして、どうしたら改善できるのか等、ネガティブな考え方をテーマにいろんな角度からお話していきます。つい悪い方に考えがちな性格にお悩みの方は、どうぞご参考にしてくださいね。
目次
- ネガティブとは
- おわりに
はじめに、ネガティブという言葉の意味から見ていきましょう。
・「否定的」を意味する言葉
ネガティブとは、「マイナス」「否定的」「陰性」という意味で、ポジティブの対義語です。それぞれ両極の位置を表す言葉で、元々はそれ自体に良い/悪いはありません。
・消極的な性格やマイナス思考を指すことも
ただ、一般的にはポジティブに良いイメージがあるのに対して、ネガティブは本来の字義を超えて、あまりよくないイメージを持つ言葉として受け取られることが多いですよね。
「ネガティブな人」「ネガティブ思考」のように、今では性格や考え方を表す際にも使われるようになり、消極的だったり、何事にも否定的な捉え方をしたりする人やその考え方を表す言葉になっています。
そんなネガティブ思考になってしまう原因には、どんなものがあるのでしょうか。
・生来的な性質
持って生まれた資質が繊細だったり、細かいことに気が付きやすかったりすると、おのずと物事の悪い面にも目が向きがちになり、ネガティブな考え方が身についてしまうこともあります。
・環境からの影響
とはいえ、環境から受ける影響も決して小さくはありません。
否定的なことをよく言う人が周囲にいた、養育者や先生に誰かと比較されたり厳しい叱責をされたりする機会が多かった等々、親子関係や家庭環境、学校や習い事の先生、友人関係などの様々な要素によって、だんだんネガティブな性格が形成されていくことも多いです。
・失敗経験
人前で失敗してしまった、物事が思うように運ばなかったなどの経験から、「また失敗するんじゃないか」「どうせうまくいかないだろう」とネガティブな考えが浮かびやすくなってしまうこともあります。これは、身に覚えのある人も多いのではないでしょうか。
カウンセリングを通じて、自身の内面とじっくり向き合ってみませんか?
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ネガティブ思考が病気と関係する場合もあり得ます。それはどんな時なのか、見ていきましょう。
・一時的にネガティブになるのは問題ない
悲しいことやショックなことがあったとき、大切な試験やプレゼンの前、結婚・昇進・引越しなど大きなライフイベントの前後などに、一時的に不安になったり、ちょっと悪い方向に考えてしまったりすることがあるのは、人として自然なことです。
少しネガティブにはなりつつもどうにか乗り切れる程度なら、特に問題ありません。
・長引く場合は病気の可能性も
ただ、ネガティブ思考のせいで気持ちが落ち込むことが続いたり、日常生活に支障が出てしまったりする場合は、うつ病や適応障害などの可能性もあります。辛いと感じられたり、落ち込み具合がいつもと違ったりするようなら、早めに専門家に相談することをおすすめします。
・二次障害の一環としてネガティブ思考が定着することも
発達障害やPTSDなどをお持ちの方は、それによる生きづらさや周囲からの無理解によって、やむなくネガティブな気持ちになってしまうことも多いと思います。それが否定的な自己イメージや価値観として定着し、ネガティブな性格に繋がることもあります。
このような場合は、ネガティブ思考を改善する働きかけと同時に、一次的な障害や病気についても適切な対応や治療をすることが大切です。
ネガティブな思考を改善するには、いろいろな方法があります。比較的取り組みやすいものを、いくつかご紹介します。
・ポジティブな面に着目する
ネガティブ思考の人は、気づくと自動的に否定的な面に目が行ってしまいますが、まずは、自分が今ネガティブな見方をしているということに気づくのが第一歩です。それに気づいたら、敢えて逆方面からポジティブな面に着目してみるとどんなことが言えそうか、考えてみると良いでしょう。
はじめは半ば無理やりでもいいので、いつもの考え方とは別の見方があると分かるだけでも、新しい体験ができるかもしれません。
・根拠を探す
ネガティブ思考の人は、つい悪い方向に考えて不安を膨らませてしまうことも多いですよね。そのようなときは、本当にそれくらい不安になるに値する現状なのか、その根拠を探してみるのも、ネガティブ思考の治し方のひとつです。
こうして考えてみると不安の根拠は意外と見つからないことも多く、そこまで悪いことが起きる確証はないのだと思い直すと、客観的な視点を取り戻し、嫌な思い込みから逃れやすくなります。
・最悪の事態になった場合の対処法を考えておく
それでも良くない方向に考えが止まらないときは、万が一最悪の事態になった場合の対処法を考えておくのも手です。最悪が想定できれば、事前に準備しておけることも見出しやすいですよね。それが少しでも安心感をもたらせば、ポジティブな気持ちにも近づけることでしょう。
・違うタイプの人を参考にする
周囲にいる、自分とは違うタイプの人を参考にするのも良い方法です。ポジティブな人が選ぶ言葉や行動は、ポジティブな考えから発せられるもので、それをすることでまたポジティブになっていくという循環がありますから、真似してみるだけでも気分が変わるかもしれません。最初は違和感があっても、続けていくと自然に取り入れられる部分も出てくるかと思います。
・できたことをカウントする
ネガティブな人は、マイナスな点に意識が向いてしまい、そればかり数え上げてますます落ち込む傾向があります。
そこで、普段はスルーしがちな、うまくいった部分、ちゃんとできたこと、何事もなく済んだことの方をカウントしてみてはいかがでしょうか。それらを書き出してみると、こんなに色々なことができているんだなということが視覚的に理解できて、より効果的です。
ネガティブな考え方をやめたいと思っている人も多いと推察されますが、ネガティブな性格は絶対的に悪いもの、治すべきものというわけでもありません。
・慎重で細かいところまで考えることができる
物事を悪い方に考えがちということは、その分あらゆる事態を想定できるとも言い換えられます。慎重に細部まで考えることで、予期せぬミスを減らせたということも少なくないのではないでしょうか。
チームで仕事をするときなどにこのような人が一人いてくれると、全体が助かる場面もきっとあるかと思います。
・人への配慮や共感力がある
ネガティブ思考の人は他者の気持ちを想像しようとする傾向があり、あれこれ考えすぎて疲れてしまったりもするのですが、行き過ぎなければ、人への適度な配慮ができる資質でもあります。
また、ネガティブな人自身がその思考の癖ゆえにしんどい思いをすることが多いため、落ち込んでいる人や辛そうな人への共感もしやすいとも言えるでしょう。
このように、必ずしも悪い点ばかりではないネガティブ思考ではありますが、自分自身が苦しいと感じることが多いなら、何らかの対処をしていけるといいですよね。カウンセリングを受けてみるのもそのひとつです。
カウンセリングでは、どんなときにネガティブに考えやすいか、ネガティブ思考が定着した要因にはどんなものがありそうか等、お話を聞きながら考え方の癖を見出していきます。それを踏まえて、適切な対処法を探っていくことができます。
病気のおそれがあるときに受診を勧めるなど、カウンセリング以外の対策が望ましい場合の提案もできますので、ネガティブ思考で苦しんでいる人や、病気ではないか心配だという人は、気軽に相談してみるとよいでしょう。
ネガティブな考え方をなかなか止められなくてしんどい人は、ご紹介した対処法のうち、自分に合っていると思えるものから試していただけたらと思います。
ネガティブ思考には良い面もありますが、克服すべきものと捉えてしまっているなら、それ自体がネガティブな考え方になっているとも言えますね。全面的にポジティブ思考に寄せようとする必要はないと思ってみるだけでも、少し楽になれるかもしれません。