就職活動が始まる季節になりましたね。学生の方も転職予定の方も、就活中にはうまくいくことばかりではないと思います。書類選考で何社も落ちてしまったり、面接官に心無い質問をされたり、傷つくこともたくさんあるでしょう。ここでは、就活中に陥りがちな就活うつについて、なりやすい人の特徴や、対処法をお伝えしていきます。
目次
- 就活うつとは?
- 就活うつの対処法
- 最後に
「うつ」とは言いますが、就活うつはいわゆるうつ病とは異なります。就活をきっかけにうつ病となってしまう方もいらっしゃるとは思いますが、就活うつと呼ばれる多くは、就活のストレスによって気分が落ち込んでしまう状態を指します。
①気分が落ち込み②無気力になり③自分に価値を感じない状態に陥ってしまうのです。しかしストレスのもとである就活から離れれば、うつ状態が改善することが多いです。
現在では、就活生の7人に1人は就活うつである(※1)というデータもあるほど、誰にでも陥る可能性のある症状です。
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誰しも、就活とは気が重いものです。でも、誰もがうつ状態に陥るわけではありません。では、どんな人が就活うつになりやすいのでしょうか?
1. まじめで素直な人
学校の課題や部活などにまじめに取り組み、その努力の結果が実る経験をしてきた方は就活がストレスとなりやすいです。就活はある意味、理不尽なものです。例え新卒採用でも企業内では「こういう人材が欲しい」というイメージが統一されています。それは、もしかしたら「まじめで素直な努力家」ではなく「他の人を出し抜いてでも好成績を残せる野心家」かもしれません。学生時代、目の前のことにまっすぐ取り組んできた人でも努力が実らないことがあるのです。まじめで素直な人ほど、結果を「自分へのダメ出し」として真正面から受け取りやすいため、落ち込んでしまう可能性が高くなります。
2. 完璧主義な人
テストや成績などの結果が良くないと気が済まない完璧主義な人。成績がオールAでないと「努力が足りなかったな」と感じてしまうと思います。しかし、就活では選考に落ちてしまうことは多々あります。それは努力が足りないとか、誰かが悪いとか、そういうことではありません。企業と自分がマッチングしなかっただけのことです。完璧主義な人はなかなかそれに納得がいかず、ストレスを感じてしまいやすいのです。
3. 努力家な人
まじめで素直な人にも完璧主義な人にも当てはまりますが、これらの人は皆「努力家」です。小さいころから、コツコツとがんばることを続け、結果を勝ち取ってきたのです。就活で落ちてしまった後も、努力家の方は努力を続けます。「もっとがんばれば、次はうまくいくはず」と経験から学んでいるのです。しかしうまくいかない状態が続いてしまうと、がんばりがガス欠をおこしてしまいます。気力がわかず、何もできなくなってしまうのです。
就活うつにかかると、どんな症状が見られるのでしょうか。代表的な症状を紹介します。一つでも当てはまる場合は、就活うつである可能性が高いです。
1. 面接に行くことが怖くなる
面接に対して緊張を覚えることは、ごく自然な状態です。しかし、「面接に行くことが怖くてたまらない。」「家から出る気力がわかない。」というのはうつに近い状態です。
2. 朝起きることができない
朝起き上がることができないというのは、うつによく見られる症状です。寝坊や疲れているから起きられないという状態と違い、体が重く動かなければならないのに動くことができなくなります。面接に行くことができなかったり、キャンセルの電話もできなくなったりすることがあります。
3. 死を意識するようになる
「また落ちたらどうしよう。」「どこにも就職できなかったら死んでしまうのではないか。」などマイナスの考えが頭をぐるぐるめぐるようになったら要注意です。就活がうまくいかないということは、企業と未契約状態にあるというだけであり、生命を脅かすようなことではありません。しかし、うつ状態になると「就職が決まらなかったら死んだほうがましだ」と思うほど追い詰められてしまいます。
まず、死にたいと思うほどに思いつめることがあれば、一度就活をやめてもよいかもしれません。1年留年して、また新卒採用に挑むという選択肢もあれば、既卒として卒業後にゆっくり就活をしていくという選択肢もあります。就活とは企業と雇用契約を結ぶためにすることなので、死ぬほど追い詰められてまで行うことではありません。既卒の相談にのってくれるサービスもたくさんあります。何社受けても、最終的には1社にしか入れないのですから、就活のペースをゆるめてもよいと思いますよ。
気分の落ち込みをうまく解消しながら、就活を続けるためには以下のような方法があります。
1. 就活について見つめなおす
就活うつのときには目の前の企業に振り回されがちになります。自分がやりたいことや人生をこうしていきたいという思いと、就活を成功させなければいけないということは必ずしもイコールではありません。就活を成功させないと、なんとなく将来への保証がないように思ってしまいがちです。しかし、やりたいことがその会社でしかできないということはありません。視野を広げて、やりたいことを実現できそうな企業を探してみましょう。
2. 相談する
同じ悩みを共有できる友人やこころの専門家などに相談し、ストレスに感じていることを吐き出してみましょう。うつ状態にあると「否定されるのではないか」と不安に思ってしまいがちですが、そんなことはありません。人に話すことで「こんなに思いつめなくてもいいんだ」と気づくことができますよ。
3. カウンセリングを受ける
就活うつのときは自分が何に困っているのか、何に追い詰められているのか、わからなくなっていることも少なくありません。カウンセリングによって心の状態を整理し、不安の原因を客観的に理解することで心が楽になることもあります。
カウンセリングで自分の気持ちの整理を行い、就活について見つめなおしてみませんか?
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誰もがなりうる就活うつですが、予防方法はあるのでしょうか。
考えられる方法を以下にまとめましたので、これから就活をされる方はぜひ参考にしてみてください。
1. 規則正しい生活をする
うつの初期症状では不眠がよくみられます。学校や仕事がない方は、就活中の生活リズムが不規則になりがちです。生活リズムが乱れると自律神経が乱れ、イライラしたり不眠傾向が強まったりします。起床・就寝時間をきちんと決めて、バランスのよい食事をとるように心がけましょう。
2. 自己分析をきちんと行う
就活うつでは企業とのミスマッチにより、不要なストレスを溜めこんでしまうことがあります。自分が何をしたいのか、どんな条件を優先するのか、きちんと自己分析をすることでストレスを負う場面を減らすことができます。採用試験を受ける理由、志望動機についてしっかり考えてから採用試験に挑みましょう。最終的に入社するのは1社なので、自己分析の結果、あまりにも希望とかけ離れているところは優先度を下げてもよいでしょう。
就活は学生時代の経験や努力のしかたがうまく反映されないこともあります。それによって、落ち込んでしまうこともあるのでしょう。しかし、これまで頑張ってきたみなさんだからこそ、一緒に働きたいと感じてくれる企業もあります。うまくいかないことがあっても自分を否定せず、時間をかけて、マッチングする企業を見つけていきましょう。
(参考文献)
調査活動 | NPO法人 POSSE http://www.npoposse.jp/activity/ank.html (参照 2020-03-04)