「自分に自信がない」「自信をつけたい」と悩んでいませんか?自分に自信が持てないために、仕事がつらくなったり、恋愛が楽しめなかったり、人間関係が怖いと感じたりする人も少なくありません。自信に自信がない人の特徴と原因、自信をつける方法について、解説していきます。
目次
- まとめ
自分に自信がない人は、失敗して他人から笑われたり、怒られたり、批判されたり、自己嫌悪に陥ったりすることを恐れる傾向があります。失敗を恐れていると、新しいことに取り組んだり、親密な人間関係をつくったりすることが難しくなるでしょう。
自律とは、自分の行動を自分でコントロールすることです。自分に自信がない人は、多くのことを他人に頼ってしまったり、やらないといけないことを見過ごしてしまったりする傾向があります。
自分に自信がない人は、自分がやらないといけない課題がはっきりと分かっていない、あるいは目標がない傾向があります。自分に自信がないために、課題や目標を明確にしてもうまくいかないと考えることも多いでしょう。
自分に自信がない人は、自分の未来に明るい希望を見つけにくく、将来を不安に感じている傾向があります。自分の目標が明確でないことも、将来への不安に影響していると考えられます。
過去を受け入れるとは、過去にあった出来事や自分の在り方を評価したり肯定したりすることではなく、そのような存在を今の自分が事実として認識することをいいます。自分に自信がない人は、未来だけでなく自分の過去のことをうまく認識していない傾向があります。
自分に自信がない人は、他人と比較して自分の価値を評価する傾向があります。逆に、自分に自信がある人は、自分の中で持っている基準によって自分の価値を評価することが多いと考えられています。
自分の苦手なことや欠点から目を逸らし、それに触れられそうになると否定的な態度をとったり、自分が優れていると相手に思わせようとしたりする感情を劣等コンプレックスといいます。自分の容姿や能力、地位、経歴に自信がない人によく見られます。
自分に自信がない人は、自分の能力や性格に対する自己嫌悪感が、人間関係に悪影響を及ぼしやすくなります。失敗を恐れていることに加えて、劣等コンプレックスから生まれる攻撃的な言動も影響しているかもしれません。
辛いことに耐えられなくなると、気分が落ち込んだり、無気力になったりすると考えられています。自分に自信がない人は、様々な場面でストレスに感じることが多く、落ち込んだ状態から立ち直りにくくなる傾向があります。
自分に自信がない人は、毎日の生活が充実していないと感じたり、満足していなかったりする傾向があります。心と体の健康、そして社会的な健康を示す幸福度も低い人が多いです。
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他人から評価されることが少なかった人は、自分に自信が持ちにくくなることが分かっています。特に、子どもの頃に親から否定されたり、関心を持ってもらえなかったりすると、ありのままの自分に価値があるという感覚がうまく育ちにくくなると考えられています。
自分に自信がない人が、自分の行動を自分でコントロールできない傾向があることから、他人やものに依存している、あるいは支配されていることで、自分に自信がつきにくくなると考えられます。例えば、アルコール依存症では飲酒を自分でコントロールできなくなり、子離れできない親のもとでは自分が意思でものごとを行うことが難しくなります。
特に、自分の価値を心理的に支えている分野で失敗すると、自分に自信がなくなりやすくなることが分かっています。例えば、勉強することが好きだった学生が受験に失敗してから、学歴に劣等コンプレックスを抱えたり、失敗を恐れて授業や試験に出なくなったりすることが挙げられます。
例えば、主婦として家族の世話をすることや、管理職として周りから仕事を高く評価されることは、自分に自信を持つことにつながります。逆に、責任ある役割を担う経験が少なく、自分の能力が実感できないと、自分に自信がつきにくくなるでしょう。
自分に自信がない人が、他人と比較して自分の価値を評価する傾向があることから、他人と比較される環境にいることで、自分に自信がつきにくくなると考えられます。他人と比較される環境とは、「勉強して○○が理解できるようになること」ではなく「テストでクラスのトップ成績を取るようにすること」が良いと教育されるような家庭環境が例に挙げられます。
人間関係をうまく構築できないことで、自分に自信を持ちにくくなることが分かっています。特に、いじめなどは理不尽に否定的な人間関係を経験するため、精神的に傷ついたり、人間関係がトラウマのようになったり、自分の過去を受け入れることが難しくなったりします。
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1.困難と向き合う
困難を克服することで自分に自信がつきやすくなります。つまり、挫折や失敗を経験したことで自分に自信がなくなり、さらなる失敗をしないようにするために困難と向き合う場面を避けることは、自分に自信をつける機会がなくなる悪循環になります。また、落ち込んだりしたときに、そこから脱出する力をつけることは、自分に自信を持つことに影響していると指摘されています。自分に自信がないから諦めるのではなく、自分に自信がないからこそチャレンジすることが大切です。しかし、何も対策せずにただ挑戦するだけでは、さらに自分に自信がなくなることに陥りかねません。そこで、次のような方法をとることによって、自分に自信がなくなることを抑えやすいと考えられています。
2.目標を立てる
自分にとって支えとなっているような得意分野で失敗しても、自分の中で目標を立てている人は、自信を失うことが少なくなると考えられています。また、目標を立てることによって、失敗を恐れにくくなり、失敗しても諦めずに努力しやすくなると指摘されています。
3.スモールステップ
高い目標を達成しようとする際に、いきなり難しいことをしようとするのではなく,目標を達成するまでの過程を小さく分割し、着実に達成できるものから始めて少しずつ高い目標を達成していく考え方をスモールステップといいます。スモールステップは、自分のやるべきことや思考を整理し、目標を達成するための行動をやる気にさせ、着実に目標を達成しやすくなる効果があると考えられています。スモールステップを取り入れると、目標を達成することに失敗しにくくなるため、自分に自信をつけやすくなります。
4.知識やスキルを身につける
仕事や趣味などの知識やスキルを身につけると、失敗を恐れにくくなったり、目標を達成しやすくなったりするため、一般的に自信はつきやすくなると考えられます。その中でも特に、人間関係のスキルを身につけることは自分に自信を持つことにつながることが指摘されています。人間関係のスキルを身につける方法として、ソーシャルスキルトレーニングやアサーショントレーニングなどが挙げられます。
ソーシャルスキルは、社会で暮らしていくためのスキルのことで、コミュニケーションや社会的なルール、自律的に自分の行動をコントロールすることなどを扱います。発達障害や精神疾患を抱える人に多く実施されていますが、それらに該当しない人が受けても問題はありません。
アサーションは、相手を尊重しながら自分の意思を伝えるコミュニケーションのことをいいます。
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5.肯定的な友人関係をもつ
自分が信頼できる人と関わることで、ありのままの自分の価値を認めやすくなると考えられます。自分を肯定してくれる友人とコミュニケーションをとることで、自分に自信をつけやすくなる可能性があります。ただし、他人に依存的にならないことも大切です。
6.ライフレビュー
高齢者が自分の人生を回想することで、無気力などの心理面の改善をはかる方法をライフレビューといいます。ライフレビューは、専門家が話を聴いたり質問を投げかけたりすることで、過去の経験をしっかりと自分のものとしてまとめながら認識する一種の心理療法です。高齢者がライフレビューを実施すると自信が高まりやすいといわれますが、それは過去に仕事や家族のことなど、責任ある立場を経験し、他人から認められてきた記憶を思い起こすことが影響していると考えられています。
7.カウンセリングを受ける
カウンセリングでは、自分に自信がない原因や、自分に自信を持つための方法などについて、カウンセラーと一緒に考えていくことができます。
落ち込んだりしたときに、そこから脱出する力をつけることは、自分に自信を持つことに影響していると説明しましたが、いつも落ち込んだ状況からなかなか抜け出せないという人は、そのような状況に陥ったときに積極的にカウンセリングを活用するというのも一つの手です。
困難に直面したときに、見ないふりをして問題と向き合わないことも、場合によっては自分を守るために必要かもしれませんが、本来はそのような困難と向き合う中で、自分に自信をつけていくことができるものだと考えられます。カウンセリングでは、直面している問題と向き合い、それを主体的に解決していく心の在り方をつくるためのサポートを行います。
自分の過去をあるがままに受け入れられていないと感じる人や、対人関係の在り方に不安を抱えている人にもおすすめです。
自分に自信がない人は、失敗を恐れていたり、過去を受け入れられていなかったり、他人と比較していたり、落ち込みやすかったりする傾向があります。自信がない原因として、否定的・支配的な養育環境や挫折経験などが挙げられます。
自分に自信をつけるには、目標を立ててスモールステップで困難と向き合ったり、信頼できる友人関係を築いたりすることなどが効果的だと考えられます。
<参考文献>
高井 範子, 自信感形成要因および自信感の発達的変化, 健康心理学研究, 2011, 24 巻, 1 号, p. 45-58
瀧川 佳苗, 鈴木 俊太郎, スモールステップ方略が目標達成に及ぼす影響 : スケーリング・クエスチョンを用いたスモールステップ方略の提案, 信州心理臨床紀要, 2016, 15巻, p. 23-34