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  1. HSPの恋愛。彼女/彼氏、妻/旦那にHSPを理解してもらうには

HSPの恋愛。彼女/彼氏、妻/旦那にHSPを理解してもらうには

HSP気質の方は、非HSPの方に理解されにくかったり、誤解もされやすく「一体、自分を理解してくれるパートナーなんて見つかるものだろうか?」と恋愛に不安を抱えていらっしゃる方も多いです。しかし、実はHSP気質の方は、とても魅力的なのです。今回は、HSP気質の魅力と強みを最大限に活かした恋愛やパートナー関係の構築について考えていきましょう。

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目次

- HSPとは

- HSPの恋愛の特徴・苦手なこと

- HSPがうまく恋愛するためには

- 彼女/彼氏、妻/旦那にHSPを理解してもらうには

- HSPの彼女/彼氏、妻/旦那への接し方

- HSP同士の恋愛について

- おわりに

HSPとは

HSPとは英語で、Highly Sensitive Personといい、人一倍繊細な人という意味を持ちます。90年代にアメリカのエレイン・アーロン博士によって付けられた、人の気質を表す名称で、HSP気質の方は、非HSPの方とは違った方法で世界を体験しているといわれています。生まれつきの生物学的な違いにより、HSP気質のある方は微妙で繊細なことに気づきやすく、情報を深く処理します。こういった特徴から、HSPの方は想像力や洞察力に富み、共感する能力が高い傾向がある一方で、非HSPの方よりもストレスを感じ、圧倒されやすいといった傾向があります。

高感度であることは、病気や障がいではなく気質ですが、人口の10~20%のみしかあてはまらないために、社会で誤解されたり理解されにくい傾向があります。


HSPが内向的な気質である一方、HSS型HSP気質(※)は、新しいことや強烈なインパクトのあること、または複雑な体験を探し続ける傾向が強いことを意味します。さらに非HSS型HSPには見られない、「リスクを冒してまでそれを得ようとする意欲」が高い傾向があり、言い換えれば、HSS気質の方は、新しい感覚や体験を与えるものに強く惹かれる傾向があります。しかし、この気質には、HSP(highly sensitive people)が持つ繊細さや敏感さがベースにあり、HSSはその内向的サイドと外向的サイドの両者を追求していくことができるという見方がある一方、「内向的なHSP気質と外向的なHSS気質の両者を絶え間なくバランスをとろうとしている」という表現がされたり、「毎日がジェットコースターのようにアップダウンがある」といわれることも多いです。

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HSPの恋愛の特徴・苦手なこと

HSPは恋愛に何か特徴や苦手なことはあるのでしょうか。

このトピックを考えていくにあたり、「苦手なこと、得意なことは裏表一体であり、捉え方次第で弱みも強みになる」という視点が大切です。「人一倍敏感であること」によるHSP気質の方の恋愛の特徴は大きく2つあります。


  1. 相手の感情や気持ちをよく理解できて共感力が高いため、恋愛は良くも悪くも相手次第になりやすい
  2. 浅い付き合いよりも、深く安定した恋愛関係が向いている

1つ目の特徴である、「相手の感情や気持ちをよく理解できること」は良好な人間関係を構築するうえで欠かせないスキルですが、HSP気質の方は、人の顔の表情や声色、雰囲気など、言葉だけで言い表せない/目に見えない部分に着目し、相手の状態を汲むことが得意です。ですので、HSP気質の方と付き合う相手は「自分のことをよく理解してくれ、すごく信頼を置ける人」と感じることが多いでしょう。

しかし、HSP気質の方は、相手のいいムードだけでなく、ネガティブなオーラや雰囲気をも吸収してしまいます。そして、相手のネガティブな感情を自分のことのように感じて、疲弊してしまうことが多々あります。相手がポジティブな状態のときはHSP気質の方もポジティブになれていいのですが、逆に「相手のネガティブなところと自分の感情は別である」と割り切るのが苦手です。また、HSP気質の方は人一倍敏感で繊細だからこそ、人の弱みや欠点、足りない部分を見つけるのが上手く、人を助けたり、アドバイスをするのが得意です。しかし、相手のことを思いすぎるあまり、自分のことは後回しになり、かなりのエネルギーをかけて人のために頑張ってしまうこともあります。このように相手の気持ちを読むことが得意でも、自分のこととなればケアが苦手な場合があります。


2つ目の特徴について、HSP気質の方は刺激的でドキドキ、スリルのある恋愛は苦手です。HSS型HSPの方は、新しい刺激を追求する気質もあわせ持つので、そういった少しキケンな恋愛にも興味がある方が多いですが、ベースはやはりHSP気質なので、長期的にそういった恋愛をするのは向いていないことが多いでしょう。具体的には、感情の起伏が激しい相手や、先の読めない安定感のない恋愛はHSPにとって苦手なタイプといえます。なぜなら、最初は楽しめたり、相手のために頑張れても、そのような恋愛を続けていると、人一倍敏感な五感がたくさん稼働した状態になるので、心身が休まらずだんだんと苦しくなってしまう傾向があるからです。

HSPがうまく恋愛するためには

HSP気質の方がうまく恋愛をしていくための秘訣は、下記の3つです。

  1. HSP気質を理解してくれる人、穏やかな性格の人を選ぶ
  2. ひとりだけの時間を必ず確保する、そして相手にもその必要性を理解してもらう
  3. 自分のHSP気質を深く理解し、未来のプランを立てていく

1について、HSP気質の方は内向的で、自分に自信がない方や自己受容の気持ちが低い人が多いです。というのも、敏感で繊細な気質は、他の人にとって想像するのが難しく、理解してもらいにくい傾向があるからです。こういったことから、パートナーにHSP気質を理解してもらうことは何よりも大切です。また、感情起伏が激しい方や、人を傷つける言葉・態度をあらわす人はHSP気質の方にとってかなり疲弊するタイプですので、そういった特徴のあるパートナーは避けたほうがいいかもしれません。


2について、日々の生活の中で五感をたくさんはたらかせているHSP気質の方は、五感を休めてクールダウンするために「ひとりになる時間」が必要です。恋愛中に同棲をしたり、結婚をして同居することになったら、相手に「ひとりの時間」の必要性を理解してもらい、それをしっかりと確保していくことが円滑な恋愛/パートナー関係を継続させるカギとなります。


3について、恋愛関係のある相手に気質を理解してもらうには、まず、ご自身がHSP気質であるために苦手なことや必要なことを上手く説明できるようになるのが大事です。また、HSS型HSP気質の方は、内向的な一面と、探求心や好奇心の高い一面との間で揺れている方が多いですので、ご自身が心身ともにアップダウンがあることを理解した上で、恋人とのデートの予定やパートナーとの未来のプランを立てていくことが大切です。

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彼女/彼氏、妻/旦那にHSPを理解してもらうには

HSP気質、HSS型HSPの気質には、非HSPにとっては理解できない、想像しにくいことが多くあります。恋愛関係や夫婦関係では、自分がほしいもの・望むものが相手に伝わらない限り、相手から望むものがもらえません。では、パートナーにHSPを理解してもらうにはどうすればいいのでしょうか。

答えは、簡単にいえば「彼女/彼氏、妻/旦那に対していつも素直でオープンであること」ですが、具体的にどのようなことをするのか見ていきましょう。


まずは、自分自身がどういった刺激が苦手で、何が必要なのかを知ることが、パートナーにHSPを理解してもらうためのファーストステップになります。このステップの中で、「こんな自分は弱い」とか「相手に迷惑をかける」というようにご自分を卑下したり、自虐するのではなく、ありのままの自分を受け入れていくのがポイントです。前述したように、弱みは視点を変えてみれば、強みにもなります。そして、自分のことを愛している人は、他人を愛することができます。まずは、自分を理解して受け入れることから始めていきましょう。


これができたら、彼女/彼氏、妻/旦那にご自身の気質について理解してもらえるように説明をしてみましょう。「自分がほしいもの・望むもの」を相手に伝えることは、「自分のわがままを言うようで言いにくい、自己中心的なことを言うようで申し訳ないから相手にはどうにかして隠したい」と思う方が多いですが、このような完璧主義はいずれ破綻しやすくなります。ご自身の気質を尊重しながら、自分のできること、できないことをはっきりさせることが、恋愛や夫婦関係を良好にして、長続きさせるためのコツです。相手にとっても、HSPの「できること、できないこと」がわかると、自信をもって接しやすくなり、気質を尊重した付き合いを考えていくことができます。

HSPの彼女/彼氏、妻/旦那への接し方

HSP気質の方は、「デートを予定していたけれど、当日になってやっぱり行けない」ということや、2人で時間を過ごすつもりだったのに、ひとりで部屋にこもりたくなってしまうこと、心身のコンディションによって、なかなか頑張れないことなどがあります。非HSPの方からすると、理解しにくいことですが、HSP気質の方には「これ以上周りからの刺激に耐えられない」ときがあるのです。この感覚をパートナーとして理解していくことが大切です。デートに行きたくないのではなく、2人で過ごしたくないわけでもなく、「コップの水が溢れる一歩手前で一旦ブレーキを入れる」ことがHSP気質の方には必要なのです。この点がHSP気質の方が非HSPの方に「弱い」とか「心の持ちよう」だとか誤解されやすい部分ですが、パートナーがHSPならば、決して否定したり、もっと頑張れと言うのではなく、ありのままを受け入れていくことをめざしましょう。HSPを全て理解できなくても、寄り添う姿勢がなによりHSPにとっては嬉しく、愛を感じるものです。HSPの特徴について、HSPのパートナーとして学んでいくことも、コミュニケーションのすれ違いや誤解を生まないために役立ちます。

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HSP同士の恋愛について

HSP同士の恋愛はお互いの、敏感で繊細な特徴を理解しあえるので、美しいものを深く2人で楽しめたり、気質の強みも2人でいることで伸ばしていけるでしょう。弱みについても、非HSPにはなかなか理解してもらえないつらさを共有し、分かりあうことができるので素晴らしいパートナーになると思います。しかし、お互いに敏感で繊細な部分があり、片方が元気なときに、相手がひとりの時間を要してすれ違ったり、子育てで子どもの泣き声や感情のアップダウンに2人とも疲弊してしまったりすることがあります。これについては、お互いが完璧を求めずどうしても頑張れないときは頑張らないという勇気が必要になります。例えば、疲れているときは夕食作りはやめて宅配を頼んでみたり、子どもは託児所に預けたりするなど社会資源を活用し、周りに頼ることでHSP同士の恋愛や結婚生活も順調に歩んでいけるでしょう。

おわりに

HSP気質の有無を問わず、恋愛関係や夫婦関係を築いていくには、お互いを知り、それを理解し、2人にとって心地いい暮らしのリズムや習慣をつくっていくことが大切になります。HSP気質の強みは活かし、苦手なことはオープンにして、パートナーに理解してもらいましょう。お互いに無理せず、ありのままでいて居心地がいい関係を作っていけるように、感情や気持ちに素直に生きていきたいものですね。それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

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※High sensation seeking (HSS)について

刺激に敏感な人もいれば刺激に鈍感な人だっているように、刺激を好む人もいれば刺激を避ける人だっています。AASPという質問票検査は、感覚を刺激するものへの反応傾向を調べ、刺激への「過敏の程度(感覚過敏)」「鈍感の程度(低登録)」「好む程度(感覚探求)」「避ける程度(感覚回避)」の4つについてのスコアを整理します。一見、「刺激に敏感なら、刺激を避けるのでは?」と思うかもしれませんが、反対を考えてみましょう。刺激に鈍感な人が刺激を好むのでしょうか?そうではありませんよね。実はこの4つはそれぞれスコアを出すことに意味があります。そして、AASPでは4つのスコアごとに、どのような支援が有効かを考えることができます。したがって、AASPで感覚過敏の程度が統計学的に高くて、感覚を好む感覚探求(sensation seeking)の程度も高いということだってあるのです。

「過敏」とは、小さな刺激に対して単に「反応する」ということです。過敏だからといって、すべての刺激にネガティブな反応を示すわけではありません。ですが、どうしても「感覚過敏」というと「刺激が苦手」というイメージがあるのでしょう。一般的にHSPというと、このように刺激が苦手な人を想像することが多いかと思われます。そうしたHSPの認識がある中、「感覚探求(刺激を好む程度)も感覚過敏も高い人はいますよ」つまり、「High Sensation Seeking(HSS)であるHSPもいますよ」というところから、「HSS型HSP」の概念が広まったと考えられます。


<補足>

HSPやHSS型HSPは医学的に正式な診断名ではありませんが、他の精神障害の症状がHSPやHSS型HSPの特徴と似ているものもあります。代表的なものが以下になります。

ASD(自閉症スペクトラム)ADHD(注意欠陥・多動性障害)などの発達障害では感覚過敏などの偏りや、複数の刺激や情報の処理が困難なことが見られます。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)では、特定のトラウマに関する刺激に対して敏感になります。

強迫性障害では、一見些細に思えることに対して、不安を伴い敏感に反応する症状が見られます。

双極性障害(躁うつ病)では、気分が高ぶる躁状態とうつ状態を繰り返します。

このような類似性から、自分ではHSPやHSS型HSPによる問題だと思っていたものが、他の精神障害の症状であり、そちらの診断結果に基づく治療・対処によって、軽減・改善される場合があります。

上記の性質が日常生活に支障をきたしている、周囲を困惑させているという場合には、自分でも気づかない症状や重症化のリスクもありますので、専門家へ受診・相談されることをおすすめします。


<参考>

21 Signs You’re a Highly Sensitive Person|https://highlysensitiverefuge.com/highly-sensitive-person-signs/

8 Signs You’re Highly Sensitive and High Sensation Seeking|https://highlysensitiverefuge.com/high-sensation-seeking-highly-sensitive-person-signs/#:~:text=High%20sensation%20seeking%20(HSS)%20means,in%20order%20to%20get%20them.&text=Tracy%20Cooper%20states%20in%20Thrill,of%20HSPs%20are%20also%20HSS.

The HSP Relationship Dilemma|https://www.psychologytoday.com/us/blog/sense-and-sensitivity/201802/the-hsp-relationship-dilemma

Highly sensitive spouses: What you need to know|https://www.focusonthefamily.ca/content/highly-sensitive-spouses-what-you-need-to-know

HSPのカウンセリング
このコラムを書いた人
社会福祉士
社会福祉協議会、小学校で社会福祉士・児童指導員として勤務し、様々な生活相談(大人の発達障害、HSP、養子縁組、児童虐待、生活困窮、障がい者や高齢者の介護者など)に携わる。現在はオランダで活動中
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