寂しいという気持ちに押しつぶされそうになる、寂しさを感じて辛い、ということを多くの人は経験しているのではないでしょうか。友達と喧嘩をしたときや、恋人と別れたとき、何も予定がなくて一人でいるときなど、寂しさがふと襲ってくることがありますよね。
では、寂しい気持ちになるのはどうしてなのでしょうか。また、寂しい気持ちに対処するにはどうすればいいのでしょうか。
目次
- まとめ
人が寂しいと感じるのは、なぜでしょうか。様々な研究が行われていますが、寂しさは「弱肉強食の中で生き延びるために必要になった感情」ではないかといわれています。
弱肉強食の世界では、か弱い個体はあっという間に死んでしまいます。か弱い動物は個体ではなく群れで行動することで生存率を上げているので、群れからはぐれてしまうと、再び群れに帰らなければと思えるように、心拍数を上げたり、不安感を強めたりして、心や身体に合図を送っているということです。
つまり、寂しい気持ちは人間の本能によるものなので、群れで行動したい、誰かと一緒にいたいと思うのはとても自然なことなのです。
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では、寂しがり屋な人にはどんな特徴があるのでしょうか。
◇自己肯定感が低い
自己肯定感とは、自分の価値や存在を無条件に肯定できる感覚のことをいいます。自己肯定感が低いということは、自分で自分のことを認めてあげられない分、周りからの評価によって自分の価値を決める傾向があるということです。自己肯定感が高い人は、いつも「自分自身」が味方となるため寂しい気持ちになりにくいですが、自己肯定感が低い人は、周りからいい評価を感じられないときに「仲間がいない」と思うため、寂しい気持ちを抱えやすくなります。
◇恋人に依存しやすい
寂しがり屋な人は、恋人に依存しやすいという特徴があります。寂しがり屋な人は、一人で過ごすことが苦手です。一人の時間を楽しむより、誰かと一緒にいたいと思うので、恋人がいれば、恋人に依存しやすくなります。恋人といつも一緒にいたい、一緒にいられないときは頻繁に連絡を取りたい、といったように相手に依存しやすい特徴があります。
◇「見捨てられ不安」が強い
「見捨てられ不安」とは、身近な人に少しでも冷たい素振りなどを感じただけで、自分は見捨てられてしまうかもしれないと、不安になることです。寂しがり屋といわれる人の中には、この「見捨てられ不安」が強い場合があります。見捨てられ不安のほとんどの原因は、幼少期に養育者から受けていた虐待やネグレクトです。
◇他人と比べてしまう
寂しがり屋な人は、自分と他人をよく比べてしまいます。本来は自分には自分なりの良さがあり、他人と比べられるものではないのですが、友達が多いかどうか、週末に予定が入っているかどうか、こうした表面的なことが気になり、「友達が他の人に比べて少なくて寂しい」「週末に何も予定がないなんて誰からも必要とされていない」といった感情を抱いてしまいがちです。SNSで「いいね」やコメントの数を気にしたり、反応がないと寂しいと思ったりします。
寂しいという気持ちは、好きな人から求められていなかったり、友達や仕事仲間から必要とされていないと感じたときなど、「自分の存在が必要とされていない」「自分の存在が否定された」と思うときに生まれやすくなります。そのため、寂しい気持ちになりやすい人は、自分が必要とされていると実感できるようなことを求めるようになります。「休みの日には予定を入れたい」「いつも恋人がいる状態にしたい」と思うのは、自分の存在が必要とされているということを確認したいからです。
しかし、こういった表面的な対処法は、一時的に寂しさが埋まっても、根本的な解決にはならず、またすぐに寂しい気持ちになることが多いでしょう。なぜなら、自分自身が「自分の存在価値はない」と思っているからです。自分で自分の存在価値がないと思うから、他人にそれを求めてしまうのですが、自分で自分のことを認めてあげられない以上は、一人になったりすると自分を認めてもらえる方法を失うため、寂しい気持ちを抱えやすくなります。
寂しい気持ちは、実は健康にも被害を及ぼします。最近の研究によると、孤独な状態が長く続くと、高血圧やコレステロール値の上昇、体重増加、免疫力の低下、などの不調が起こることが明かされています。また、アルツハイマー型認知症の症状が進行しやすくなったり、判断力や注意力が鈍ったりすることも解明されてきました。
さらに、慢性的に寂しさを感じている人は、眠りの質が悪く、睡眠時間が長くなることも分かっています。
独身者は既婚者と比べて平均寿命が10年以上短いという報告もあるので、寂しさが引き起こす健康被害は、大きなものと言えるでしょう。
寂しい気持ちというのは、本質的には自分が自分の存在価値を認めてあげることで解消されていきますが、具体的にはどのような対処をすればいいのでしょうか。
◇自分の良い面を見るようにする
寂しい気持ちは、自己評価が下がっているときや、自分には存在価値がないと感じているときに生まれやすくなります。自分の悪いところや失敗したことを考えている瞬間は、どうしても自分の存在価値が低く感じられます。
自分の良い面を探したり、過去に成功したことを思い返したりすることによって、自己評価を上げることができ、寂しい気持ちを解消することができます。
◇周りから感謝されることをする
周りの人に感謝をされると、自分の存在を認められた気持ちになり、寂しさが解消されていきます。家族や友達に何かできることがあれば手伝ってみたり、ボランティアに参加したりするのもいいでしょう。
感謝されることは、周りからの表面的な評価ではありません。なぜなら、そこにはお金などの報酬が含まれないからです。感謝されるようなことを自分はできると実感することで、自己評価も上がって、寂しさを解消することができます。
◇趣味や仕事に没頭する
趣味や仕事に没頭しているときには、一時的に寂しさを忘れられることがあるのではないでしょうか。特に、仕事は、結果として誰かに感謝され、他人の役に立っているという実感を持つことができるため、根本的に寂しさを和らげる効果があります。
趣味も、ただの暇つぶしではなく、自分の内側から存在価値を高め、実感する行いであり、根本的な寂しい気持ちを解決することに繋がります。
◇生活リズムを整える
生活リズムが乱れると、自律神経に影響が出て、無意識的にものごとの捉え方がネガティブになったり、いつもは気にならないようなことが気になったりします。睡眠のサイクルが乱れていたり、食生活が偏っていたりする場合には、生活リズムを整えることも試してみましょう。
◇コミュニティに参加してみる
一人で過ごす時間が長い、友達とあまり遊ばない、周りに知り合いが少ない、という人は、何かコミュニティに参加してみるのもいいでしょう。同じ地域のコミュニティでもいいですし、共通の趣味を持った人同士が集まるサークルでもいいでしょう。自分に合ったコミュニティが見つからない場合は、オンラインでのコミュニティに参加するもの1つの手です。何かコミュニティに属していれば、その集団の中で自分の存在を認識でき、共通の話題がある人と仲良くなることで、物理的な孤立も減らすことができます。
◇運動をする
家にこもっているときは、社会的な役割を実感できないため、寂しさを感じやすくなります。そんなときは、外に出て適度な運動をするのがおすすめです。体を動かすことで、睡眠の質もよくなり、生活リズムが整いやすくなります。運動が趣味になれば、自分の価値を高めることができますし、共通の趣味によるコミュニティができるかもしれません。
◇他人と自分を比較するのをやめる
他人のすごいところを見ると、「自分はなんてダメな人間なのだ」と気持ちが落ち込みやすくなります。しかし、どんなにすごいと思える人でも、100%完璧な人はいません。他人と比較して比べていると、自分自身の悪い部分に目がいくことが多くなります。
逆に、他人のことを下に見て、あの人よりはマシ、あの人に比べたら自分は幸せ、と比較していると、その瞬間は安心できるかもしれませんが、自分の中で自分の価値が変わるわけではないため、また寂しい気持ちになりやすいでしょう。
他人と自分を比較して落ち込んだり安心したりするのはやめて、自分自身を見つめなおすことをおすすめします。
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寂しい気持ちになるのは、人間に備わっている本能で、それ自体は悪いことではありません。友達や家族と喧嘩したとき、恋人と別れたときなどに、寂しさを感じるのは当然のことです。しかし、寂しい気持ちがいつまでも解消できなかったり、常に心につきまとっている場合、精神的に辛いですし、体の健康にもよくありません。
寂しさを根本的に解決するためには、自分の存在価値を自分で認めてあげることが大切です。そのためには、自分の成功体験を思い返したり、良いところに目を向けたり、他人と比較しないことなどが大切です。