パニック障害という病気のことを聞いたことはありますか?有名なタレントさんがパニック障害の告白をすることも増え、まったく知らないという人は少ないと思います。実際にパニック障害を抱えていると、日常生活を送るので精一杯という方もいらっしゃるでしょう。ここでは、パニック障害とお仕事について解説をしていきます。
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パニック障害とは、「予期しないパニック発作が繰り返し起こり、発作への不安によって行動を変えたり心配が募ったりする状態が1ヵ月以上続いている病気」です。具体的には、強いストレスによって動悸や呼吸困難、めまいなどが起こり、「このままでは死んでしまうのではないか」というパニック状態に陥ることが度々起こります。
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パニック障害には具体的にどのような症状がみられるのでしょうか?実際には、以下のような特徴的な流れがあります。
①パニック発作
動悸や息切れなど、突然息苦しくなるような発作が起こります。直接、命に係わる発作ではないのですが、発作時は「死んでしまう」という恐怖が迫ってきます。
②予期不安
発作時の恐怖感から、次の発作が起こることに対して大きな不安を抱えるようになります。不安があるために、より神経質な状態に陥ってしまい、発作も繰り返しやすくなります。
③広場恐怖
パニック発作が繰り返し起こると、「発作が起きて帰れなくなってしまったらどうしよう」という思いになり、電車やバスなど公共交通機関を避けるようになります。外出先で発作が起きてしまうことを怖がることを広場恐怖というふうに表現します。
発作が起きることが障害なのではなく、発作への不安や恐怖によって、外出できない状況が続いたり生活範囲が狭まったりすることがパニック障害です。
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パニック障害で苦しんでいらっしゃる方は、予期不安や広場恐怖から職場に行くことや仕事を続けることにも不安を抱きやすくなります。パニック障害を持ちながら、社会人生活を送る工夫をお伝えします。
①自宅の近くで働く
パニック障害の特徴として、公共交通機関の利用に恐怖感を覚える傾向があります。物理的に不安から遠ざかり、勤務地を選んでもよいでしょう。自宅から徒歩や自転車で行ける範囲の職場を検討してみてはいかがでしょうか。
②苦手な業務を避けられる状態を選ぶ
パニック発作の大きな要因はストレスの多い環境にあります。対人業務が苦手だけれども、接客をしなければならなかったり、計算が得意でなくても経理を任されたり・・・。そのような環境を避けられるとよいでしょう。なるべくストレスの少ない業種に就くことが発作を軽減させることにつながります。
③障害者雇用での就労を考える
ストレスの多い環境を避けるために、配慮をしてもらえるのが障害者雇用です。企業には法定雇用率に応じて、障害者を採用する義務があります。さらに障害者に対して、業務上の配慮を行うことが義務付けられています。パニック障害に対してもフォローや配慮をもらいながら働くことができるので、働きやすい環境を整えることができます。
④障害福祉サービスを利用して訓練を行う
働きたい気持ちはあっても、体調やスキルに自信がないときは障害福祉サービスを利用して訓練を積んでみるのもひとつの方法です。パニック障害やうつ病を対象とした就労移行支援というサービスがあります。体調管理やパソコンスキルなど、就労に必要な訓練を行い、就職活動のサポートを行うサービスです。利用期間は原則として2年間で、その間に就職への道筋をつけることとなります。
パニック障害が仕事に与える影響として、第一に挙げられるのが「通勤のしづらさ」です。広場恐怖は電車やバス、エレベータなどの空間で起こりやすいものです。パニック障害があることで、それまでなんともなかった移動が大きな弊害となります。そのため、働き続ける能力があっても通勤が難しくなり、退職せざるを得ないケースもあります。会議への出席や電話応対なども緊張感を抱きやすく、発症前はできていたことにも自分自身で制限をかけてしまうようになります。結果として、不安な状態を避けるために、できる業務が限られてきてしまいます。
パニック障害は、発作が起こる理由がわからないこと、それに対する不安によって症状が強くなっていく病気です。症状を理解することで、不安を和らげることができます。具体的には以下のような対処法をご提案します。
①命の危険はないということを理解する
パニック障害の治療に有効なのは、障害に対して正しい知識を持つことです。「原因不明の発作に突然襲われる」ということが不安の源であるため、ご自身の症状について理解を深めておくことが対処の前提となります。
②不安な状況下でも発作が起きないことを少しずつ確認する
パニック障害には認知行動療法がよく用いられます。認知行動療法では、不安をすべて避けるのではなく「ちょっと不安だけど、発作は起きずに済んだ」という状況を確認し、対応できる状況を増やしていく方法をとります。パニック障害では、発作への不安や恐怖感がどんどん大きくなることで症状が強くなっていくため、逆に不安な状況下でも平気だった経験があれば、それを自信とできればよいと思います。
パニック障害を抱えながらも、働いていくためにはどんな工夫が必要でしょうか?以下のような方法を試してみるとよいと思います。
①リラックス法を身に着ける
パニック発作は強いストレスに晒されたときや、緊張しているときなどに起こります。呼吸が浅くなったときには、ヨガなどで取り入れる胸式呼吸を意識して深く息を吸い、しっかり吐くことを続けてみましょう。肺に空気をたっぷりと入れて、ゆっくりと呼吸をすることで動悸も落ち着いてくるかと思います。また、体がこわばり、力が入りやすい方は意識的に手や足の力を抜いて体の感覚をコントロールする「筋弛緩法」を試してみましょう。
②通勤ストレスを減らす
通勤による不安やストレスはパニック障害を持ちながら働く方にとって大きな課題です。通勤スタイルを見直し、不安を和らげることが大切です。具体的には、混雑を避けて余裕を持って通勤できるとよいでしょう。少し早めに家を出て、各駅停車の電車に乗ったり混雑する路線を避けたりしてストレスを軽減できるようにしましょう。感染症が流行する中では、リモートワークの活用も進んでいるため、職場に確認してリモートワークの日を作ってもよいかと思います。
③上司や同僚の理解を得る
パニック発作が起きたとき、職場の方が救急車を呼んだり騒ぎ立てたりするとご自身の不安もどんどん大きくなります。発作への対処法やおさまるまでの経過など、身近な人に伝えておけるとよいかと思います。産業医や人事に調整役として入ってもらってもよいでしょう。
パニック障害を抱えているご本人はとても辛い思いをされており、働くことに思いを巡らせることも難しい方もいます。自分ひとりで抱え込まず、周囲と協力して症状の改善を目指していけるとよいですね。
参考サイト
パニック障害とは?症状と付き合いながら仕事をするには 障害者と仕事マガジン
https://shigoto4you.com/panicdisorder_symptom_dating_job/#i-3
パニック障害の方が仕事で抱える困りごと・長く仕事を続けるための工夫とは? リタリコワークス
https://works.litalico.jp/column/mental_disorder/010/