大切なスピーチで、あがり症が出てうまくいかなかった。あがり症で、人の目を見て話すのが苦手。そのようなことで悩んでいませんか?あがり症を抱える人の中には、人前で何かをすることがとても恐ろしいことのように感じてしまい、誰にも相談できずに一人で悩んでいる場合も多く見られます。
では、あがり症が起きる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。また、あがり症を克服するにはどうしていくのがいいのでしょうか。
目次
- あがり症とは
- まとめ
人が強い不安や恐怖を感じると、ノルアドレナリンという物質が血液中に放出されます。それによって、交感神経が活性化され、心拍数が上がり、血圧が上昇し、結果として心臓がバクバクしたり、汗をかいたり、体が震えたり、赤面するという反応が出ます。この反応は、動物にもともと備わっている防衛本能なので、「あがり」は誰にでも起こる反応だといえるのですが、一般にあがり症とは、この反応が強く出てしまう人のことをいいます。また、症状の重いものに限定されますが、医学的には「あがり症」とは言わず、「パフォーマンス限局型社交不安障害」に分類されます。
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日本では、小さい頃から「集団行動」を意識することが多くあります。他の人と異なることをすると仲間外れにされるため、「周りと一緒がいい」ということを常に意識して生活する傾向があります。そうすると、違ったことができないというプレッシャーから、日本人は緊張を感じる場面が諸外国より多くなると言われています。
また、日本には「恥の文化」があり、ちょっとした失敗も避けようとする傾向があるため、さらにプレッシャーがかかってしまう環境であると考えられています。
では、あがり症になるのは、具体的にどういったことが原因なのでしょうか。
◆準備不足・練習不足で自信がない
例えば、人前で話すことが決まっている場合、ある程度練習や準備をすることはできますよね。練習や準備をしっかりすることで、「当日も大丈夫」という自信がつきやすくなりますが、練習や準備が不足していると、自信のなさや不安につながり、あがり症が出やすくなります。
◆場慣れしていない
二つ目の原因としては、場慣れしていないということが挙げられます。人間誰しも、初めてやることや慣れていないことには、緊張します。それが人前ですることではなくても、初めてやるというときは、「うまくできるだろうか」と多少なりとも緊張しますよね。
特に、大勢の人の前でスピーチをすることは、なかなか経験するものではありません。うまくできた経験が少ないと、今回うまくできるという確証がないため、あがり症が起きやすくなります。
◆評価や周りの目が気になる
人前で何かをして失敗したとき、気になるのが周りの人の目や評価ですよね。
など、失敗したことよりも、周りの目や評価が気になり、ずっとその失敗を引きずってしまうこともあるでしょう。周りの目や評価を気にしすぎると、プレッシャーにつながり、それがあがり症の原因となってしまいます。
では、あがり症になりやすいのはどんな人でしょうか。
◆完璧主義
完璧主義な人というのは、「ちょっとした失敗やミスもしたくない」「全部完璧にしないといけない」という考えが強い人のことです。しかし、人前ということがなくても、常になんでも完璧にできる人はいません。多少うまくいかないことや、出来ないことがあるのは当たり前なのですが、「失敗が許せない」という強いプレッシャーを自分にかけてしまうことで、不安や緊張を招いて、あがり症になりやすくなります。
◆心配性
心配性の人は、まだ起きていないことでも、「もしかしたらうまくいかないかもしれない」と心配してしまいます。心配することは決して悪いことではありませんが、その心配が強すぎると、不安や恐怖心を招いてしまい、あがり症につながってしまいます。
◆ネガティブ
物事をネガティブに捉えやすいと、「どうせ自分にはうまくできない」と否定的になったり、大して周りがなんとも思っていなくても、「自分はできない奴と思われているのではないか」と気になったりしてしまいます。また、過去に一度失敗をしてしまっている場合、ポジティブに捉えれば、「あの失敗を活かして次はうまくできるようにしよう」「まだ二回目だから多少失敗しても仕方がない」と考えることができますが、ネガティブだと「次もきっとうまくいかない」「また恥ずかしい思いをするんだ」と悪い方向に考えてしまい、あがり症へとつながりやすくなります。
◆人の評価が気になる
誰しも、人の評価は気になるものです。「よく思われたい」「いい評価をされたい」と思うのは当然のことですが、あまり気にしすぎると、「ミスや間違いをしたら評価が悪くなるのではないか」と不安になり、あがり症の原因になってしまいます。
臨床心理士とは・・・
悩みを抱える人との対話をベースに、精神分析や心理療法を使って問題の解決をサポートする「こころの専門家」です。
臨床心理士の資格は厳しい学習条件が求められ、心理業界では長年にわたり根強い信頼性を持っています。
うららか相談室には、多くの臨床心理士が在籍しています。
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では、あがり症を克服するにはどうしたらいいのでしょうか。
◆事前準備をしっかりする
まず、人前で何かすることが決まっている場合、事前準備をしっかりするようにしましょう。練習するのも面倒ではありますが、しっかり練習しておくことで当日の緊張を和らげることができ、あがり症の症状を緩和することにつながります。その際、できれば一人で練習するのではなく、人前で練習するようにしましょう。家族や友人に協力してもらい、最初から人前で練習しておけば、より本番に近い環境で練習できていることになります。一人で音読したり、頭の中で読み上げたりしても、実際の環境は全く違います。
練習の段階から、人前で披露するようにして、そのほかに事前の準備ができるものがあれば、しっかり準備するようにしましょう。
◆緊張するのは当然のことだと理解する
人前で何かをする、慣れないことをするときには、緊張して当たり前です。どんなにスピーチがうまい人でも、最初からいきなり緊張せずにこなしていたわけではありません。何度も経験することでだんだん慣れてきたということもありますし、側から見たらそつなくこなしているように見えても、本人はとても緊張しているのかもしれません。
「緊張してはいけない」と自分にプレッシャーをかけるよりも、「緊張するのは当たり前」と思うことで、不安やプレッシャーを和らげることができます。緊張することと、うまくできることはまた別のことです。「緊張はするけどうまくいくだろう」という心構えにすることで、あがり症の症状も緩和されやすくなります。
◆深呼吸してリラックスする
心を落ち着かせるためには、呼吸を落ち着かせることも大切です。呼吸が乱れると心拍数も上がって心臓がドキドキしやすいですが、ゆっくり深呼吸をすることで、気持ちもリラックスできますし、緊張を和らげることができます。
緊張しているときこそ、ゆっくり吸ってゆっくり吐くことを意識してみましょう。
◆話す内容に集中する
あがり症の症状が出ているときや、あがり症が気になっているときというのは、緊張に意識が向いてしまっている状態です。「どうしたらうまくできるか」「失敗したくない」という気持ちに意識が向いているため、話す内容に集中できておらず、ますます間違いを招きやすくなってしまいます。
話す内容に集中することで、あがり症の心配に向いていた意識を和らげることができますし、間違いをしない可能性も上がるでしょう。
◆人とのコミュニケーションに慣れる
そもそも人と話すことが苦手な人は、人とのコミュニケーションに慣れることから始めましょう。普段から人とコミュニケーションをとることに慣れていれば、相手が一人から二人になっても変わりませんし、人数が増えても普段の延長線上と思えば、緊張は和らぐでしょう。
初対面の人と話せる機会があれば積極的に話しかけてみたりして、普段から人とコミュニケーションをとることに慣れていくようにしましょう。
あがり症を治したい、克服したいという方は、事前準備をしっかりしたり、深呼吸をしたり、普段から人とコミュニケーションをとるように意識してみましょう。
また、過度に緊張する場合は、対人恐怖症や社会不安障害などの他のケースを疑ったほうがいい場合があります。以下の障害は、放っておくとうつ病などの引き金になる恐れもありますので、早めに心療内科を受診したりカウンセリングを受けることをおすすめします。
◆対人恐怖症
人と接するときに、自分が他人を不快にさせていないかという不安や、他人から評価されることへの恐怖を感じます。
また、自分がそうした不安を感じているのを、他人から気づかれることも恐れます。
対人恐怖症は通称であり、医学上は社交不安障害・社会不安障害(SAD)に含まれると考えられていますが、区別されて使用されることもあります。
◆社交不安障害・社会不安障害(SAD)
他人に注目される場面で、恥ずかしい思いをすることへの不安や、周囲に不信感を持たれるのではないかという恐怖を感じます。
自分でも過剰だと思っているにもかかわらず、恐怖心はどんどんエスカレートし、日常生活に支障をきたします。
◆パニック障害
突然、脈絡もなく、強い恐怖や不安感とともに、立っていられないような発作が起きます。
発作の頻度には個人差があり、いつ発作が起こるかわからず不安な状態が続きます。