自分の性格をひねくれていると感じていたり、人から「ひねくれ者」と言われたりしたことがある方もいることと思います。でも、ひねくれた性格とはどんな状態を指すのでしょうか。そうなってしまう原因とはどんなことでしょうか。
この記事ではひねくれた性格についてお話していきます。ひねくれた性格を自認していて直したいと思っている人のご参考になれば幸いです。
目次
- おわりに
さっそく、ひねくれた性格ってどんなものなのか見ていきましょう。
・物事を素直に受け取らない
物事や人の言葉などあらゆるものをそのまま素直には受け取らない傾向が強いことが、ひねくれ者の特徴と言えます。「あまのじゃく」や「へそ曲がり」とも似た状態を指します。
人の言葉の裏を読んで、相手の言っていることと逆、あるいはまったく別方向の意味に捉えることが多く、褒められても「嘘だ」「社交辞令で言っているだけだ」「私を陥れようとしているのかも」など、ゆがんだ受け止め方をしがちです。
・多数意見と逆方向に考える
感じ方や意見、趣味嗜好などが、所属する集団や社会の一般的なものと逆になることが多いのも、ひねくれものと言われる人にはよくみられる傾向です。意図的に逆張りしようとしているわけではなく、自然とそうなってしまうことも珍しくありません。
いろいろな意見があるのは良いことですが、ひねくれものと呼ばれる人は自分以外の意見を否定的に捉えたり、逆に「誰も自分の考えを分かってくれない」と不満や絶望を抱いたりして、さらに孤独を深めることもあります。
・自分の気持ちを素直に表現しない
ひねくれている人は、物事の受け止め方だけでなく、自分からの発信も素直な形ではないことが多いです。自分の気持ちを素直に表現できず、本当の気持ちとは逆の言葉や態度で表したりしがちです。そもそも自分で自分の気持ちがよく分かっていないことも少なくありません。
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調子が悪いときや嫌なことがあったときなどに、一時的に言動や心がひねくれた状態になることは誰にでもあり得ますが、それが「性格」と化するのにはどのようなことが原因となるのでしょうか。
・養育環境の問題
子どもの頃から厳しい家庭環境で育つことは、ひねくれた思考や行動の癖が作られる大きな要因となります。
具体的には、
☑きょうだいや友人と比較されて卑下される
☑気持ちを理解してもらえないことが多い
☑虐待、両親の不和、貧困など安心や愛情を感じられない環境
このような、自己肯定感や安心感をうまく育めない養育環境は、ひねくれた性格の一因になると考えられます。
・傷つきや喪失など辛い体験
家庭や養育の環境だけでなく、それ以外の場所や人間関係で傷ついたり辛い思いをしたりした経験が、ひねくれた認知につながることもあります。
学校や職場などでのいじめ、部活動や習い事での過剰に厳しい指導、友人やパートナーなど信頼していた人との不和や裏切られた経験、性被害など、とても辛い思いをした経験は、どんなことでもその後の感じ方や考え方に影響を及ぼします。そして、それがひねくれた性格につながることは充分あり得ます。
ひねくれた性格の人が身近にいる人の中には、なぜ、そのような捉え方をするのか不思議に思うこともあるかと思います。ひねくれた性格の人には、どのような心理的特徴があるのでしょうか。
・これ以上の傷つきを恐れている
ひねくれた性格が形成される背景には、多くの場合、傷つき体験があると思われます。過去の傷がじゅうぶん癒えていないところにさらなる傷つきが加われば、とても大きなダメージを受けることになってしまいます。
そのため、ひねくれた性格に見られがちな人は、これ以上の傷つきを非常に恐れていることが多いです。
・自分を守るための手段
そのような恐怖は自己防衛を強めます。期待して裏切られるくらいならはじめから期待しない方がいい、つらい離別を避けるために人と親密にならないようにするなど、これ以上傷つかないようにして自分を守るための手段が、周囲からは意図的に人を遠ざける、ひねくれた性格に見えることがあります。
・助けを求めたくてもうまくできない
困ったことやしんどいことがあっても、断られて絶望するのが怖くて、うまく人を頼ることができません。また、自己肯定感が低いため、自分なんかが人の手を煩わせてはいけないと考えて、相手から手伝いを申し出られても「大丈夫です」と断ってしまいがちです。
こういったところから、人間嫌いと誤解されたり、ひねくれていると捉えられたりすることもあります。
・承認欲求と自己否定の間を揺れ動くことも
誰かに自分を認めてほしい思いは自然なものですが、ひねくれ者になっている人の場合、その適切な表現方法を育ちの過程で身につけられていないことも多く、相手や周囲を戸惑わせるような言動で表してしまうことがあります。そこで上手くいかないと、「やっぱり私はダメなんだ」と、一気に自己否定に傾きます。
このように、人知れず、心の中で承認や関心を求める気持ちと自己否定の間を両極端に揺れ動いていることもあります。
ひねくれた性格は、その程度や言動への表れ方、本人の苦しさなどによっては、病名が付くこともあり得ます。
・パーソナリティ障害
パーソナリティ障害(パーソナリティ症)は10種類あり、大きく分けるとA群・B群・C群の3分類があります。認知が独特で、感情や行動のコントロールが難しく、人間関係に困難が生じやすいのは、パーソナリティ障害全般に共通して見られる特徴であり、ひねくれた性格に見える部分が、実はパーソナリティ障害の症状であるケースも存在すると考えられます。
たとえばA群に含まれる「猜疑性パーソナリティ障害」の人は、他者が自分を搾取したり深く傷つけたりするのではないかという疑いを強く抱き、常に警戒しています。他人を信用せず、人と打ち解けようとしません。
B群の反社会性パーソナリティ障害の、バレなければ何をしてもいいと考え、ルールを守る人たちを下に見るような思考パターンや、ボーダーライン(境界性)パーソナリティ障害の、他人からの承認を求め、それが得られないと激しい自己否定に陥る傾向、さらには、C群の回避性パーソナリティ障害に見られる、人からの批判や恥をかくことを恐れて人との接触をしようとしないところ等、パーソナリティ障害の様々な症状がひねくれた性格とも重なる部分があるため、診断基準を満たせば病名が付くこともあります。
・PTSDやうつ病、認知症など
その他にも、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつ病、認知症など、病気の症状とひねくれた性格からくる言動が似通っていることもあるため、その場合も医師の診察や検査によって診断基準を満たせば、それらの病気だと分かることもあります。
ひねくれた性格を自分でも持て余し、直したいと思いながらも、どうしたらいいのか分からないという方もいるかもしれません。ひねくれた性格を直す方法にはどんなものがあるのでしょうか。
・敢えて別の捉え方をしてみる
ひねくれた性格の人の場合、何かを見聞きしたとき、人と接しているときなどに、自然に頭に浮かぶ考えや感情がひねくれたものである可能性が高いです。自分でも、この考えはひねくれていると思われるならば、それが自分の考え方の癖だと理解して、敢えて別の捉え方を探してみると良いでしょう。
たとえば、人に褒められたとき、「誰にでも同じことを言っているのだろう」「何か裏があるのではないか」と考えてしまうならば、そこから「みんなにそれぞれ褒めるべき点があるのだから、誰でも褒めていてもおかしくない」「褒められたことをそのまま受け取っても誰も困らないのだから、有難く受け取っても大丈夫」というように、これまでとは別の考え方を見出す練習を続けると、徐々に考え方の癖を和らげていくことが期待できます。
・どんな背景があるか考えてみる
ひねくれた性格が作られるまでには、どんなことが要因になっているのか、それを紐解いていくことは、ひねくれた性格を直していくのに役立ちます。
ひねくれるに至った背景が過去の人間関係や出来事にあるならば、今はもうそれとは違う環境にいる、当時はそう捉えないと身を守れなかったけど、今はその時と同じ捉え方をしなくても大丈夫、ということを理解して意識付けするのも一手段です。
・カウンセリングを受ける
これらの治し方が自分だけでは難しいと感じる場合は、カウンセラーなど専門家と一緒に取り組んでいくのも良い方法です。
自治体の相談機関や民間のカウンセリング施設、学校・職場に所属するカウンセラー、オンラインカウンセリングなど様々なところでカウンセラーと出会うことができます。
また、身体的な不調が続いていたり精神的なしんどさが大きいときは、カウンセラーも在籍する心療内科も選択肢のひとつです。
ひねくれた性格には生い立ちが影響していることも多く、一朝一夕には変えられないものですが、もっと暮らしや人生を楽しめるような考え方にしていきたいという思いがあれば、きっと徐々に変えていけるはずです。
時には専門家の手を借りるなど、ご自分に合った方法で、ひねくれた見方を少しずつ脱していけるといいですね。