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  1. 自己中心的な性格を直すには?自己中心性バイアスの例から学ぶ対処法

自己中心的な性格を直すには?自己中心性バイアスの例から学ぶ対処法

更新日 2023.09.26
自身の性格・能力
うららか相談室

「自己中心的な人」と指摘されると、「自分のことしか考えていない」「他人を思いやることができない」と言われているようで、悲しい気持ちになりますよね。自分のどういったところが自己中心的だと思われたのか、どうすれば自己中心的だと思われなくなるのか…といったことが分からずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

自己中心的といわれる人の特徴と、そのような性格などを見直すことについて解説していきます。

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目次

- 自己中心的な性格とは?

- 自己中心性バイアスとは

- 強すぎる自己愛の原因

- 自己中心的な性格を直す方法

- まとめ

自己中心的な性格とは?


一般的に自己中心的とは、無自覚に自分が物事の中心であるとして世の中を見ているため、他人のことを考慮しない行動をする傾向を指します。

口語では自己中(じこちゅう)と言われ、「わがまま」「自分勝手」「協調性がない」「他人への思いやりがない」といったネガティブなイメージを持つ人が多いかもしれません。そこには自己中心的な人の行動が「自分自身の利益のため」という意味合いが含まれています。

一方で、心理学者のピアジェが提唱した自己中心性は、発達過程で見られる幼児の考え方の特徴のことでした。自己中心性とは、物事を自分の立場または一つの視点からしか思考・認識することができない性質を指し、特にネガティブな意味合いは含んでいません。

日本人は小さい頃から集団行動をさせられることが多く、協調性を大切にするように教わります。そのためもあってか、他人の視点から考えることが重視され、自己中心的な行動をとると周りからの評価が悪くなりやすい傾向があると考えられます。

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自己中心性バイアスとは


自己中心性バイアスとは、自分だけが知っている情報に左右されて、他人の心の状態を捉えてしまう傾向を指します。幼少期には自分が知っていることについて、相手は知らないという立場から話をしたりすることがうまくできません。

例えば、幼少期には次のようなことがよく起こります。

  • 相手が見ていないところで友達のものを壊してしまったけれど、自分はわざとではなかったので怒ることはないと思ってしまう
  • お母さんの名前を知らないはずの人に対して、「○○(お母さんの名前)はどこにいる?」と聞いてしまう

人は発達とともに、相手の視点に立って他人の心の状態を捉えることができるようになります。これを心理学では脱中心化といいます。

しかし、いくら大人になったとしても、誰にでも少なからず自己中心性バイアスは生じるものであり、その傾向が強い人は相手に自己中心的なイメージを与えてしまうかもしれません。

例えば、大人になっても次のようなことがよく起こります。

  • 夫婦の家事分担について、お互いの全ての行動を把握できていないのに、自分ばかりが頑張っていると思ってしまう
  • 高い服を着ているときに、周りから注目されていると感じてしまう

後者は心理学でスポットライト効果といい、自己中心性バイアスによる影響が指摘されています。

自己中心性はバランスの問題といってもいいかもしれません。自分の経験や知識を全く通さなければ、相手のことがほとんど分からないため不安になりやすく、自分の経験や知識だけで判断すると、相手について推測したことが実際とかけ離れたものになりやすいと考えられます。

強すぎる自己愛の原因

一般的に自己中心的と言われる人には、「自分の利益になるようにしたいと思っている」「自分だけを大切にしてもらいたいと思っている」といったネガティブな意味合いが含まれていますが、このようなニュアンスは自己中心性バイアスというよりも「過剰な自己愛」として説明されることが多いです。

例えば、過剰な自己愛には次のようなことが挙げられます。

  • 自分は特別であると考えて、能力や業績を過大評価する
  • 自分のことを認めてもらうために、他人を犠牲にする

このような強すぎる自己愛による様々な問題が続いている場合に、自己愛パーソナリティ障害の診断が下されることがあります。パーソナリティ障害の原因ははっきりと分かっていませんが、様々な要因が関わっていると考えられています。

自己愛性パーソナリティ障害では、生まれつきの要因や経験による影響も当然考えられますが、養育環境が大きく関係しているのではないかという可能性が疑われる場合が多いです。虐待やネグレクトを含め、親が過度に批判的で厳しかった場合、あるいは過度に子どもを甘やかすような場合に、本来であれば幼少期に育つ自己感覚をうまく習得できず、強すぎる自己愛につながりやすいとする理論があります。

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自己中心的な性格を直す方法

では、自己中心的な性格を直すにはどうすればいいのでしょうか。


  • 相手に興味を持つ

人は自分の知っている情報だけに左右されやすくなるため、相手に起こった出来事や背景を知らないがゆえの言動によって、他人から自己中心的だと思われることも少なくありません。

まずは、関わっている相手に興味を持って、様々な情報を知るようにしてみましょう。他人の好みや人となりをコミュニケーションの中で知っていくことで、相手の視点に立って物事を考えやすくなります。


  • 相手のことを決めつけない

相手の視点に立って物事を考えるとは、一体どういうことでしょうか?

同じことが起こったとしても、人によって感じ方は様々です。「自分だったら○○と思うから」といったように、自分の感じ方だけで相手の心の状態を判断してしまうと、他人から自己中心的だと思われてしまうことがあります。いくら相手のことを知っても、他人の感じ方まで完全に理解することは難しく、自分で推測したことが実際とかけ離れたものである場合が少なくないでしょう。相手の視点に立つということは、他人の心の状態を決めつけずに不確定なものとして推測し、様々な可能性を考えることなのかもしれません。


  • 相手のことを否定しない

他人と意見や価値観が食い違うことは避けられません。そういったときに、自分の考えを押し付けたり相手の人格を否定したりすると、他人から自己中心的だと思われることが少なくありません。意見が食い違っても、相手の意見を尊重した上で自分の意見を伝えることが大切です。例えば、「あなたの意見は○○が素晴らしいと思います。その上で自分は○○(自分の意見)と思いましたがどうでしょうか?」といったように、相手を否定せずに自分の意見を伝えることはできます。このようなコミュニケーションをアサーションといい、トレーニングのように身につけていくことで、相手を否定してしまうことを自然と減らすことができるでしょう。


  • カウンセリングや精神療法を受ける

自己中心性バイアスは、自分の内面とうまく向き合えていないことにも影響されることが分かっています。これまでに直面した困難が少ない、あるいは見ないふりをしてきたという人は、葛藤したり悩んだりすることも少なかったかもしれませんが、自己中心性という観点からは他人の心を傷つけたりしやすい可能性があると考えられます。

カウンセリングでは、多くの場合は問題を解決するまでに「自分のことを理解する」という過程があります。悩みに向き合いながらカウンセラーと対話を重ねることで、自分の知らなかった傾向や考え方に気づきやすくなります。

また、医療機関の適切な診断を前提として、自己愛性パーソナリティ障害は一般的に精神療法がよく用いられます。受診して診断名がつかなかったものの強すぎる自己愛的傾向に悩んでいる方であっても、精神療法を行うカウンセラーに相談してみるのは一つの手です。

まとめ

一般的に自己中心的という言葉には、わがままや自分勝手といったネガティブなイメージがありますが、自分が知っている情報に左右されやすいということです。相手のことだけでなく自分のことも知る、相手の意見を尊重するコミュニケーションを意識するといったことで、自己中心的な人と思われることを減らせるかもしれません。

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<参考文献>

瀧澤 純, 山下 利之, 他者の心の推測における自己中心性バイアスに及ぼす特権情報の考慮の効果, 認知科学, 2013, 20 巻, 3 号, p. 343-352

遠藤 由美, 自己中心性バイアスの社会心理学的研究--透明性錯覚における自己制御の役割, 総合研究所所報, 2004, 12 号, p. 29-43

遠藤 由美, 共有状況下での相対比較判断におけるバイアスと自己中心性の役割, 実験社会心理学研究, 2007-2008, 47 巻, 2 号, p. 134-145

廣澤 愛子, 大西 将史, 岸 俊行, 自己中心性尺度の作成 : 「他者への共感不全」と 「自己内省の困難さ」に焦点を当てて, 福井大学教育・人文社会系部門紀要, 2017 , 2 号, p. 207-223,

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このコラムを書いた人
オンラインカウンセリングうららか相談室運営スタッフ
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