家族とは長い時間一緒にいる場合がほとんどですので、関係性や環境のストレスがたまりやすく、イライラすることがあるでしょう。特に、家族といると自分らしく振る舞えないと感じている場合や、家族への不満を自分の中だけで抑え込んでいる場合、親が過度に批判的・支配的または過保護な場合などには、家族といるとイライラしやすくなるのではないかと考えられます。
家族といるとイライラするというだけでは病気と判断することができませんが、次のような症状・障害による影響の可能性もあります。下記の診断は精神科や心療内科などで医師により行われます。
パーソナリティ障害は、固有の思考や対人関係のパターンなどの影響により、本人や周りの人が苦しみを抱えて、日常生活に支障をきたしている場合に診断されることがあります。
自身の振舞いやイメージが変化しやすいほか、家族を含む他人との安定した関係を築くことに苦労しやすく、他人への不信感や攻撃的な態度がよく見られます。おもにカウンセリングを含む精神療法や、服薬の併用による治療が行われます。
適応障害は、特定の環境においてストレスによる気分の落ち込みやイライラ、不安、意欲低下、身体症状などの反応が非常に強くあらわれて、日常生活に支障をきたしている場合に診断されることがあります。ほかの症状として、暴言や暴力などの行動が見られる場合もあります。
ストレスの原因となる環境には、職場や学校のほか、家庭もその一つに挙げられます。適応障害は、ストレスの原因となる環境から離れると症状が改善されることが大きな特徴であり、可能な場合には環境調整を行うことが優先されます。
しかし、特にストレスの原因が家庭にある場合には、簡単に環境から離れられないことが多く、おもにカウンセリングを含む認知行動療法という精神療法や、服薬の併用により治療が行われます。認知行動療法(カウンセリング)では、人によって異なる「ものごとの受け止め方」のパターンを把握したり見直したりすることによって、環境にうまく適応していくことを目指します。
反抗挑発症は、就学前~中学生までに多く見られ、怒りっぽくイライラして、意地悪く大人に反抗したり口論したりするなどの行動が6カ月以上続き、日常生活に支障をきたしている場合に診断されることがあります。ただし、他者の権利を侵害する素行症(素行障害、行為障害)や衝動性や不注意を特徴とするADHD(発達障害)などによる症状と見分けがつきにくく注意が必要です。
家族に対するイライラのみが目立つ場合もあれば、学校の先生らに敵意をあらわす場合もあります。
親がカウンセラーなどの専門家から、「好ましい行動にはご褒美を与える」などの内容を含む一貫した行動管理法の指導を受けたり、本人が集団療法を受けたりすることで症状が軽減されやすくなりますが、ほとんどの場合は時間が経つにつれて自然と改善します。
上記のほかに、以下の不調や障害の影響によりイライラしやすくなり、特に家族といる場面でそれが顕著にあらわれているという可能性も考えられます。
うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、依存症、更年期障害、PMS(月経前症候群)、自律神経失調症、その他の身体症状によるものなど
カウンセリングでは、家族にイライラする原因や改善策をカウンセラーと一緒に考えていくことができます。例えば、家族に対する気持ちや自分自身の状態についてカウンセラーに話しながら整理したり、カウンセラーが家族との付き合い方を変えるサポートをしたりすることがあります。自分の中にあるモヤモヤとしたものをカウンセラーに話すことで、気持ちがすっきりとしてストレスを軽減することにも役立ちます。