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  1. キャリアアンカーとは?8つの分類の意味と自己分析の活用例

キャリアアンカーとは?8つの分類の意味と自己分析の活用例

更新日 2024.11.21
職場・仕事
うららか相談室

キャリアアンカーとは、自身のキャリアの形成に対する、自分が譲れない価値観や欲求のことを指します。キャリアアンカーは8つのタイプに分類され、その傾向を把握することで、自分がどのような働き方をしてきたいか、どのようにキャリア形成していくのが適しているかといったことが分かりやすくなります。キャリアアンカー理論における8つの分類の詳細と活用例について解説していきます。

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目次

- キャリアアンカーとは

- キャリアアンカー理論の8つの分類

- キャリアアンカーの自己分析への活用例

- まとめ

キャリアアンカーとは


キャリアアンカーとは、自身のキャリア形成の軸として自分が譲れない価値観や欲求を、船の錨(いかり)=アンカー(Anchor)に例えた概念のことをいいます。心理学者のエドガー・H.シャイン博士が提唱した、キャリアに関する理論的な概念です。


キャリアアンカーは、自分の人生の中で「どのように」働いていきたいかという、キャリア形成の主軸となるものであり、「どの職業がいいか」「何になりたいか」を表面的に選ぶこととは異なります。キャリアアンカー理論では、一般的な自己分析で考えられがちなWhat(何を)ではなくキャリアをHow(どのように)という視点から考えるのが、大きな特徴です。


また、キャリアアンカーは5~10年で作られていくものであり、それからは基本的に自分の中では大きく変わりにくく、結婚や出産などのようなライフイベントに対しても影響を受けにくいと考えられます。逆に、キャリアが形成されていない学生や新卒の人に当てはめるのはあまり適切ではありません。

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キャリアアンカー理論の8つの分類


キャリアアンカー理論では、動機・価値観・コンピタンス(能力)の3つの要素をもとにした観点から、次のように8つのタイプに分類を行います。


1.全般管理コンピタンス:(General Managerial Competence)

経営者や責任者として組織を率いることに価値を見いだして、管理職やマネージャーを目指していくタイプといえます。

1人でコツコツと仕事をすることよりも、人を束ねてスケールの大きな仕事をすることに興味があります。専門的な仕事を続けるのではなく、若いときは多くの職種を経験し、部署移動も積極的に受け入れて経験値を上げようとします。出世意欲が高く、キャリアアップのための努力や資格取得のための勉強は惜しまない傾向があります。


2.専門・職能的コンピタンス:(Technical / Functional Competence)

専門的なスキルや知識が必要な分野で活躍することに価値を見いだして、技術職や研究職でエキスパートとして専門性をさらに高めることを目指していくタイプといえます。

様々な分野での仕事を経験するのではなく1つの分野で挑戦し続けることに喜びを感じます。昇格して管理職を目指すことには関心がなく、別分野への異動によって満足度が低下する傾向があります。


3.安全・安定:(Security / Stability)

経済的な安定が見込める組織で働くことに価値を見いだして、公務員や大手企業で堅実にキャリアを積むことを目指していくタイプといえます。

将来のことを考えてローリスク・ローリターンを好むことから、リスクマネジメントで力を発揮しやすいですが、異動や転職といったチャレンジには大きなストレスを感じる傾向があります。


4.起業家的創造性:(Entrepreneurial Creativity)

新しいものを創造することに価値を見いだし、起業家として自分で会社やサービスを立ち上げたり、あるいは芸術などの作品を生み出したりすることを目指していくタイプといえます。

リスクを恐れずに困難な状況へ挑戦することを好み、新規事業や新商品開発だけでなく、既存事業の再建にも興味があり、企業に所属していても最終的には独立することを考えている傾向があります。


5.自律と独立:(Autonomy / Independence)

自分のスタイルやペースで仕事を進められることに価値を見いだし、在宅勤務やフレックスタイム制度などを導入しているような社員一人ひとりの裁量が大きい会社で、自分が納得できる働き方をするタイプといえます。

規則やルールに縛られるのが苦手なため、集団行動をしたり上司から指示されたりすることにストレスを感じる傾向があります。


6.奉仕・社会貢献:(Service/Dedication to a cause)

誰かの役に立つことに価値を見いだし、医療や介護、教育に携わる仕事や、世の中のためになる商品やサービスの開発、企業の監査など、仕事を通して社会を良くしていくことを目指していくタイプといえます。

自分の能力を発揮したりスキルアップしたりして、昇給や昇格をすることよりも社会貢献ができているかどうかに興味を持っている傾向があります。


7.純粋な挑戦:(Pure Challenge)

とても困難な問題を解決することや強いライバルに勝つことに価値を見いだし、ハードワークであっても幅広い業界で挑戦を続けるタイプといえます。

毎日決まった業務をするルーティンワークのように刺激の少ない環境が苦手で、仕事に慣れると部署移動や転職を望む傾向があります。


8.生活様式:(Lifestyle)

プライベートと仕事を両立することに価値を見いだし、育児休暇やフレックスタイム制度などのライフワークバランスを大切にする働き方を望むタイプといえます。

楽がしたいというわけではなく、むしろ仕事には熱心ですが、残業や強制力を持った会社の飲み会などは好まない傾向があります。

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キャリアアンカーの自己分析への活用例

キャリアアンカーは、キャリアプランを考えられない、思い描いているキャリアプランに自信がないという人にとっては、自分のキャリアプランを具体的に考えるためのきっかけになります。また、転職や異動を考えていない人であっても、今の仕事に対する働き方を考える上で、きっと参考になるでしょう。


他には、次のような活用例が挙げられます。

  • 仕事に漠然とした不安や不満を抱えており、その原因を明らかにして対処したい
  • 心身のストレスを減らすために、自分に合った働き方を知って環境を整えたい
  • 人事や経営者が、従業員の異動や人員配置、業務内容について考える際の参考にしたい

おおむねはキャリアアンカー理論によって自分の傾向から適職と思われるものを知ることで、のちに仕事に対して不満を抱えることを回避しやすくなると考えられますが、必ずしも自分が当てはまるタイプ通りの仕事をしなければならないというわけではありません。

キャリアアンカーは質問形式の項目に回答する形で、8つのタイプの中でどの傾向が強いのかを見極めることができますが、同じタイプであっても個人によって解釈が異なったり、質問への回答そのものがキャリアプランを考える上で重要な意味を持っていたりすることがあります。


うららか相談室では、次のようなプログラムを行なっております。

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こちらはキャリアアンカー診断がセットになっており、検査の結果を踏まえてキャリアコンサルタントとのオンライン面談を行うことで、よりよいキャリア支援を受けることができるというプログラムです。診断の結果だけで判断するのではなく、一人ひとりの意思を大切にすることによって、さらに自己分析を深めるお手伝いをすることができます。

まとめ

キャリアアンカーとは、「人生においてどのようなことを軸にしてキャリアを形成していきたいか」という価値観や欲求のことを指し、8つのタイプに分けられます。自分がどのタイプに当てはまるか知ることで、今後のキャリアプランを立てる参考になります。自分のキャリアに悩んでいる、転職を考えているという方は、キャリアアンカーを活用してみると、新しい視点からよりよいキャリアの選択を考えやすくなるかもしれません。

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<参考文献>

住田 陽子, 坂口 桃子, 森岡 郁晴, 鈴木 幸子, 看護師のキャリア・アンカー形成における傾向, 日本看護研究学会雑誌, 2010, 33 巻, 2 号, p. 77-83

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このコラムを書いた人
オンラインカウンセリングうららか相談室運営スタッフ
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