「周りに嫌いな人が多いため、生きづらい」「なかなか人のことを好きになったり仲良くなったりせず、イライラしてしまうことが多い」と、このようなことでお悩みではないですか。人間誰しも好き嫌いはありますが、嫌いな人が多いと、毎日の生活に生きづらさを感じたり、ストレスがたまりやすくなったりしますよね。
では、嫌いな人が多いのはどうしてでしょうか。人間嫌いを治してストレスを減らす方法はあるのでしょうか。
目次
- まとめ
まず初めに覚えておきたいのが、「嫌いな人がいない」という人はいないことです。人の価値観や考え方というのは様々で、全員が同じ価値観を持っていたり、全員と気が合ったりすることはありません。仕事が好きな人もいれば嫌いな人もいる、運動が好きな人がいれば嫌いな人もいる、ポジティブな人もいればネガティブな人もいる、といったように必ず様々な価値観や考え方があります。それほど様々な価値観があるのですから、100人いたら100人とも好き、ということはありません。価値観が合わない、考え方が違う、といったことから、相手の言動に対して嫌な思いをしたり、不快な気持ちになったりして、「人を嫌いになる」ということが起こります。
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では、人を嫌いになるのはどうしてでしょうか。人を嫌いになる心理について、6つのパターンに分けて詳しく見ていきましょう。
◇生理的に嫌い
「生理的に」という言葉は、何か理由は説明できないけれど、とにかく嫌いというときに用いられることが多いです。
こちらは、嫌いになる具体的な理由が無いかのように見えますが、実は、「隠している自分自身の嫌な一面」を持っている人を嫌いになるということが心理学の世界で古くから提唱されています。一般的に同属嫌悪(同族嫌悪)と言われているものが、これに近い考え方です。
私たち人間は良いところも悪いところも持ち合わせていますが、悪いところは社会生活で必要ないと思いますよね。そこで、比喩的な表現ですが、私たちは「仮面」のようなものをつけて、自分の悪いところを見られないようにして生きていると考えられます。この建前のような「仮面」をペルソナといいます。対して、仮面によって隠した「悪いところ」をシャドウといいます。このシャドウは自分で認識しづらいですが、他人のペルソナに自分のシャドウを見ると嫌悪感を抱くというのが、「生理的に嫌い」のメカニズムといえるでしょう。ざっくりとした紹介ですが、ユング心理学のシャドウとペルソナの理論を取り上げました。
◇自分に危害を加えてくる、または加えそう
自分に危害を加えてきている、または今後加えてきそうと察知した人に対しては、人間の防衛本能がはたらき、相手に対して嫌悪感を抱くようになります。仕事で迷惑をかけられている、自分の生活にとって不利益な存在になるかもしれない、そんな人を嫌いになるパターンが多く見られます。
◇期待に応えてくれない
人は相手に対して「きっとこうしてくれるだろう」という小さな期待をどこかで持っています。
・悩みを相談すれば、アドバイスをくれたり、背中を押したりしてくれるだろう
・プレゼントを渡せば、喜んでくれるだろう
など、特に意識しなくても相手に期待を持っているものです。
しかし、その期待に応えてくれない、期待を裏切ってくる、そういったことが多い相手のことをだんだん嫌いになっていきます。
付き合った頃は優しかったのに、結婚して何年も経つと、「ありがとう」も言ってくれない、家事も育児も手伝ってくれない、そういった態度にだんだん嫌気がさしてくるのは、自分が無意識にしてしまっている期待に、相手が応えてくれないからです。
◇軽蔑している
常識に反する行いをしていたり、マナーがなっていなかったりといった相手に対して、社会通念上、軽蔑するところから、人を嫌いになるパターンもあります。
例えば、挨拶ができない、みすぼらしい恰好をしている、敬語が使えない、などは自分に直接的な危害が無くても軽蔑の対象となり、集団心理がはたらいた一員として人を嫌いになります。
◇嫉妬している
嫉妬心から人を嫌いになることもあります。自分が持っていないものを持っている、自分に与えられていたものが別の人に与えられるようになった、そんなとき、嫉妬を覚えて相手を嫌いになることがあります。
嫉妬心は、前向きに捉えることができれば、その気持ちをバネに努力したり、自分の能力を高めたりするためのエネルギーになりますが、ネガティブに捉えると、相手の評価を下げたい、蹴落としたい、という気持ちになってしまうでしょう。
◇相手が自分を嫌っている気がする
相手が先に自分のことを嫌っていたり、軽蔑していたりする気がするという場合も、相手のことを嫌いに思いやすくなります。誰だって人には好かれたいものですが、軽蔑されている、嫌われている気がするのであれば、自分から相手のことを嫌いになろうとする心理がはたらきます。
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根本的に人間が嫌いという人もいます。このような人間嫌いはどうして起こるのでしょうか。
◇過去にいじめや虐待を受けたトラウマがある
過去にいじめや親からの虐待を受けたトラウマがあると、人間嫌いに陥りやすくなります。中には、「仲が良いと思っていたのに、実は裏で悪口を言われていた」「親がいつも夫婦喧嘩ばかりしていた」といった経験でも、人間嫌いの原因となることがあります。
対人にトラウマを抱えていると、簡単には他人を信用してはならないと思い、人と深く関わることを拒んでしまいます。
「人のことを信用したい」「もっと仲良くなりたい」と思っているにも関わらず、過去の苦い経験が思い起こされて(=フラッシュバック)、なかなか心を開くことができない人もいます。
◇自分に自信がない
自分に自信がない人も、「深く関わったら嫌われるのではないか」という不安から、人間嫌いに陥りやすくなります。また、自分に自信がない人は、他人に嫉妬しやすく、相手を嫌いになることが多いようです。
では、人間嫌いを治すためにはどうしたらいいでしょうか。
◇なぜ人が嫌いか整理してみる
まず、なぜ人を嫌いになることが多いのか、整理してみましょう。前述の「人を嫌いになる6つの理由・心理」から、どのパターンで人を嫌いになることが多いか考えてみると効率的です。
嫉妬心から人を嫌いになることが多ければ、自分に自信がない可能性が高いと考えられます。軽蔑していることが多いのであれば、マナーに対する考え方が自分の中で厳しすぎるのではないかと考えられます。といったように、人を嫌いになる原因を自覚することによって、自分が極端な考え方にとらわれていたり、根拠のないこだわりを持っていたりするのではないかと、気づくことができます。
◇相手から学べることがないか考えてみる
嫉妬心から相手のことを嫌いになっている場合などには、相手から何か学べることはないか考えてみるのもいいでしょう。本当は自分の中で目をそらしていたけど、甘えられる親がいてうらやましいな、ルックスが良くてみんなから好かれていていいな、など自分の中にある抑圧された感情に気づくきっかけになるかもしれません。
逆に、反面教師として「自分はこうならないように気を付けよう」と意識したり、「こういうことをすると人は嫌な思いをするんだな」と学んだりすることもできます。「嫌い」という言葉で片付ける前に、相手について考えてみることで何か得られるものがあるかもしれません。
◇あえて話しかけるようにする
ストレスをためてまで、わざわざ嫌いな人と仲良くする必要はありませんが、ずっと相手を避けていても、また似たようなタイプの人に会って嫌な思いをする可能性はあります。嫌いな人にあえて話しかけて慣れておくと、また同じようなタイプの人に会ったときに、仲良くはなれなくても苦手意識を減らすことができるでしょう。
嫌いな人に話しかけて関係性が深まれば、その人のいい部分が見えてきて仲良くできるかもしれません。まずは、軽い挨拶や世間話から始めて、人を嫌いになりすぎる癖を治していけるといいですね。
◇誰かに相談する
人を嫌いになるとき、冷静で客観的な判断ができていない場合が少なくありません。誰かに相談することによって、自分とは別の視点からの考え方を得ることができるといいでしょう。
ただ、嫌いな人が多いという悩みは、人に言いにくいものです。知っている人に相談しづらいのであれば、カウンセリングで自身の性格について相談してみましょう。自分の考え方に対する理解が進んで、人間嫌いを治すことができるかもしれません。
また、対人に大きな困難を抱えている場合、もしかするとなんらかの精神障害を抱えており、適切な治療法をとることによって、対人に抱える問題が解消される場合があります。人間嫌いによって、かなり不自由に感じるのであれば、症状が対人関係に影響する、シゾイドパーソナリティ障害や発達障害、不安障害などに該当する可能性はあります。人間嫌いが日常生活に与えている影響について、カウンセラーが話をうかがうことで、専門機関を受診するべきかどうかについても考えることができます。
■上記の障害について、詳しくは以下をご参照ください。
・発達障害
・不安障害
人は誰しも、好きな人もいれば嫌いな人もいます。ただ、嫌いな人があまりにも多いと、日常に生きづらさを感じることが多いでしょう。
全ての人を好きになる必要はありませんが、なぜその人が嫌いなのか整理したり、あえて話しかけてみたり、誰かに相談してみることで、考え方の癖に気づいたり、自分に合った克服方法が見つかるかもしれません。