付き合いが長くなったり、一緒にいる時間が長くなると、だんだんとセックスレスになるカップルや夫婦は多いです。お互いが忙しかったり、子育てでなかなかタイミングが合わない、など理由は様々ですが、セックスレスの悩みは浮気を疑ったり離婚を考えたりすることにも発展するため、とても辛い悩みだと思います。今回は、セックスレスになる原因や、考え方、解決方法について解説します。
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日本家族計画協会の調査(※1)によると、婚姻関係にあるカップルのうち、1か月以上セックスが行われていないカップルは2014年で44.6%にも登り、この割合は毎年上昇しているそうです。セックスに対して積極的になれない理由として、男性は「仕事で疲れている」が最も多く、女性は「面倒くさい」が最も多いという結果になっています。共働き家庭も増えているなか、セックスレスの問題は多くの人が悩んでいる問題だと考えられます。
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セックスレスを辛く感じる理由にはどんなものがあるのでしょうか。
女(男)として見られていない不安
旦那(妻)が自分に対して、女(男)としての魅力を感じなくなってしまったのではないか、と不安になる人は多いです。特に、結婚した頃と比較して回数が少なくなった、セックスレスな上にスキンシップも少ない、となると、余計に不安になりますよね。
愛情がなくなったのではないかという不安
セックスはしないけどスキンシップがあったり、セックスレスだけど普段の仲は悪くないといった場合、どうしてセックスはないのか、と相手の気持ちが分からず不安になってしまうこともあるでしょう。
女性は特に、セックスは愛情表現の1つとして捉えている人が多いので、セックスレスということは愛情がなくなったのではないか、と不安になりやすいです。
セックスをしたいと思われない辛さに加えて、セックスをしたいという自分の気持ちに寄り添ってもらえないことも、辛さや悲しさを増す原因になります。また、性欲自体はなくなっていないとすると、どこかで浮気でもしているのではないか、と疑心暗鬼になってしまう人も多いです。
セックスレスが悪いという風潮による不安
セックスの回数が少ないということ自体はあまり気になっていないけど、セックスレスは問題だ、という風潮によって不安を煽られる人もいます。セックスの回数や頻度は、お互いが満足しているのであれば多くても少なくても問題ありませんよね。しかし回数が少ないと、友達から「それで大丈夫なの?」と心配されたり、「浮気をしているんじゃないの?」などと言われると、不安を感じたりセックスレスについて気になったりします。
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では、セックスレスになる原因にはどんなものがあるのでしょうか。
恋人から家族への関係性の変化
付き合いが長くなってくると、最初のころはラブラブな恋人であっても、だんだんと落ち着いてきますよね。結婚すればなおさら、恋人というより家族になりますし、結婚していなくても何年も一緒にいると家族のような存在になってきます。家族のようになると、ゆっくり落ち着いて過ごせたり、なんでも話せたりと良い面もありますが、その反面、ドキドキ感や緊張感が減ってきて、性欲は落ち着いてしまいます。
特に、女性は出産すると子育てに追われやすくなるため、男性から見ると女性というより「お母さん」という意識が強くなります。そうすると、性欲がわきにくくなり、セックスレスの原因になる可能性があります。
コミュニケーションの減少
付き合いたての頃はなんでも一緒にしていても、だんだんとそれぞれの時間を大事にしたり、コミュニケーションが減っていくこともあります。最初はお風呂も一緒に入ったり、寝る時もいつも一緒だったカップルでも、付き合いが長くなると別々になったり、子供が産まれると寝る時間もバラバラになることがあるでしょう。また、長い時間一緒に暮らしていると、話さなくても相手の気持ちがなんとなくわかるようになったりして、コミュニケーションの量が減ってしまいがちです。コミュニケーションが不足すると、セックスをするきっかけも減少してしまうため、セックスレスにつながりやすくなります。
過去に拒絶されて傷ついている
セックスを拒絶される、というのは、男性であっても女性であっても傷つくものです。拒絶されて傷つくと、「また拒絶されるかもしれない」という気持ちから誘いにくくなりますし、拒絶されたという事実から相手に不信感が出たりもします。一度断られてから誘っていない、というケースもあれば、何度か断られるうちに誘いにくくなったり誘うのを諦めてしまうというケースもあります。
信頼関係の崩れ
セックスレスになる原因として、信頼関係の崩れも挙げられます。相手が約束を守ってくれなかったり、浮気や不倫をされて信頼関係が崩れていると、相手と触れ合いたいという気持ちがなかなか起きず、セックスをしたいと思えなくなります。付き合いたてであれば、多少信頼関係が築けていなくても乗り越えられますが、長年の付き合いの結果信頼関係が崩れていると、セックスレスが深刻化しやすいです。
セックスレスで悩んで辛い時は、どのように解消していくのがいいのでしょうか。
落ち着いて話し合いをする
まずは、パートナーとしっかり話し合いましょう。セックスレスが辛い、ということ自体、もしかしたら相手が気付いていない可能性もありますし、きちんと不安な気持ちや辛い気持ちを伝えることで、相手も考え方を変えてくれるかもしれません。注意したいのは、話し合いの場で相手を責めるような口調や、感情的な態度を出してしまうと、セックスを押し付けられているようで嫌な気持ちになり、ますますセックスレスが深刻化する可能性があるということです。あくまで不安な気持ちや辛い気持ちを伝え、相手にどうしてほしいのか、落ち着いて話し合うのがおすすめです。感情的にならずにうまく伝えたい場合、カウンセリングなどを利用して事前に自分の伝えたいことを整理しておくのもおすすめです。カウンセラーは、感情的にならないためのアドバイスもしてくれます。
信頼関係の構築から始める
信頼関係が崩れてしまっている人は、まずは信頼関係を構築するところから始めてみましょう。信頼関係がないままセックスの問題だけ解決しても、心が置いていかれたような気持ちになり、かえって辛い気持ちになる可能性もあります。
どうして相手を信用できないのか、どうやったら信用できるようになるのかきちんと整理し、まずは信頼関係を構築するところから始めてみましょう。
コミュニケーションを増やす
言葉でのコミュニケーションも大切です。今日あったことをお互いに話したり、相手が何を感じているか、普段どんなことを考えているのか意識的に聞くことで、相手のことをもっと知ることができますし、何を望んでいるのかも理解できるようになるかもしれません。もしかしたら会社ですごく嫌なことがあり、セックスする気になれないのかもしれませんし、ストレスが大きくてなかなかそういう気分になれないだけかもしれません。コミュニケーション不足が原因でいつも家の中がギスギスしていて落ち着かない、ということもあるかもしれませんね。コミュニケーションを増やし、まずは相手の気持ちを知ることで、セックスレスの根本的な原因も、徐々に見えてくる可能性があります。
スキンシップの習慣化
スキンシップを増やすことも、セックスレスの解消には効果的です。いきなりセックスをしよう、と思うとハードルが高く感じられますが、まずは手を繋いだり、マッサージをしたりして、相手に触れる機会を増やしてみましょう。スキンシップが難しい場合は、まずは二人で過ごす時間を増やすのもおすすめです。余裕があれば二人で出かけたり、お子さんが寝た後二人でテレビを見たりするだけでもいいでしょう。徐々にスキンシップを増やし、触れ合うことが増えれば、セックスレスも解消されやすくなります。
セックスレスが辛い、と思っていても、実は辛いのはセックスがないことや少ないことではなく、触れ合えないことの寂しさや、気持ちに寄り添ってもらえないことが辛さの原因になっているケースも多いです。また、セックスレス自体は辛くなく、セックスレスが悪いという風潮による不安や焦りが辛さを招いているだけかもしれません。何が問題なのか、一度ゆっくり深掘りし、整理してみましょう。
夫婦同士が理解し合い、愛情があることに確信が持てていて、お互いに幸せであれば、セックスレスでも問題はないでしょう。
カウンセリングでは、セックスレスという問題から、夫婦の関係性や家事・仕事などの環境など、様々な方向を見つめ、あなたが解決するべき本当の課題を見つけるお手伝いをします。一人で悩んでいたらぜひ一度、カウンセラーに相談して見てください。
(参考文献)
一般社団法人 日本家族計画協会 第7回「男女の生活と意識に関する調査」https://www.jfpa.or.jp/paper/main/000047.html(参照:2020-05-18)