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  1. 「めんどくさい」と思う心理と対処法を臨床心理士が解説します

「めんどくさい」と思う心理と対処法を臨床心理士が解説します

「お風呂に入るのがめんどくさい」

「外に出るのがめんどくさい」

「考えるのがめんどくさい」

「生きるのがめんどくさい」

私たちの生活には「めんどくさい」と思うことがあふれています。

「今までめんどくさいと思ったことは一度もない」という人よりも、「自分はめんどくさがりだ」という人の方が多いのではないでしょうか。


このコラムでは、なぜ「めんどくさい」と思うのか、その心理状態と原因について解説します。

また、「めんどくさい」を克服するための対処法についても解説し、カウンセリングでできることをご紹介します。

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目次

- 「めんどくさい」と思う時とは

- 「めんどくさい」と思う心理・原因

- すべてがめんどくさいのは病気?

- 「めんどくさい」を克服するための対処法

- カウンセリングでできること

- おわりに

「めんどくさい」と思う時とは


人が「めんどくさい」と思うのは、以下のような時が多いでしょう。


・行動したくない時

自分が行動したくない時に、やらなければいけないことがあると、「めんどくさい」と思うことが多いのではないでしょうか。動きたくない、何もしたくない時に、体を起こして行動に移すのは、「めんどくさい」と感じやすいものです。


・楽しくないことに取り組む時

楽しいことであればすぐに取り組めますが、自分にとって楽しくないことをしようとする時は、「めんどくさい」と感じやすいでしょう。たとえば、自分の趣味にはすぐに取りかかれても、勉強や仕事となると「めんどくさい」と感じる人も多いのではないでしょうか。


・苦手なことに取り組む時

得意なことに取り組む時はすぐに取りかかれる人でも、苦手なことに取り組む時には、「めんどくさい」と感じやすくなります。たとえば、料理が得意な人は夕飯の支度をすぐに始めることができるかもしれませんが、料理が苦手な人は、「夕飯の支度しなきゃなぁ…料理苦手なんだよな…あぁ、めんどくさい!」といったように、「めんどくさい」という感情を持ちやすくなります。


・やり方がわからない時

物事のやり方が分からない時には、「めんどくさい」と感じやすくなります。たとえば、仕事で新しい業務を始める時にやり方がわからないと、「めんどくさい」と思う場合があるかもしれません。

他にも、勉強を始めようとした時に、自分に合った勉強への取り組み方がわからないと「めんどくさい」と感じやすいでしょう。


・時間や手間がかかる時

今から始めることが時間や手間がかかると分かっていると、「めんどくさい」と思うことが多いでしょう。たとえば、引っ越しするために自宅にあるものを箱詰めする作業を想像してみると、時間や手間がかかるので「めんどくさい」と感じるのではないでしょうか。


・他人と関わる時

ここまでに例を挙げた場面は、自分の行動に関する「めんどくさい」でしたが、他者と関わる時に「めんどくさい」と思うこともあるのではないでしょうか。たとえば、友達とランチに行く約束をする場面で、友達と日程を調整して、ランチのお店を探して決めて…といった連絡を取り合う過程に「めんどくさい」と思うことがあるかもしれません。他にも、知り合い同士のチャットグループでメッセージを送る時に、「こう言ったら相手が嫌な思いをするかもしれない」、「グループの中で嫌われないように気をつかってメッセージを送らなきゃ」と考えてしまうなど、人間関係がめんどくさいと思う場合があるでしょう。

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「めんどくさい」と思う心理・原因

そもそも「めんどくさい」とは「手間がかかって気が進まない様子」を意味します。

物事に対して、「気が進まないな」、「億劫だな」という気持ちになり、行動できない状態です。

では、前章で例に挙げたような場面で、人はどうして「めんどくさい」と思うのでしょうか。

その心理・原因を解説します。


・やりたくないことを他者から強制されているから

気が進まないことややりたくないことを、他者から強制されると、人は行動することを億劫に感じ、「めんどくさい」と思いやすくなります。

また、他者から強制はされていなくても、やりたくないことを他者のためにせざるを得ない場面に「めんどくさい」と感じやすくなります。

たとえば、幼い子どもが飲み物をこぼしてしまった場合、「こぼした飲み物の掃除をして」と強制されたわけではありませんが、自分では片付けられない子どものために大人が掃除する必要があります。このような場面では、やりたくないことを他者のためにせざるを得なくなり、「めんどくさい」と感じやすくなります。


・やるべきことの量が多いから

やるべきことの量が多いのも「めんどくさい」と思う原因の一つです。やるべきことの量が多いと、はじめから時間や手間がかかると分かってしまうため、「めんどくさい」と思いやすくなります。


・苦手なこと・やり方がわからないことだから

自分にとって苦手なことや方法がわからないことは、スムーズに進めにくいものです。苦手さを補う工夫や、やり方を調べたり人に聞いたりする手間が必要になることが多いため、「めんどくさい」と思いやすくなります。


・やるべきことの重要性をわかっているから

やるべきことの重要性がわかっていると、責任や負担を重く感じるため、「めんどくさい」と思いやすくなります。

また、完璧主義の人もやるべきことの重要性がわかっている時に「めんどくさい」と思いやすい傾向にあります。完璧主義の人は「重要なことだからこそ、完璧にやりたい」と考えやすいですが、物事を完璧にやろうとすると、それだけ時間も労力もかかります。そうなると〔完璧にやりたい→でも完璧にやるのは大変→完璧にできないくらいだったらやりたくない→めんどくさい〕とつながるというわけです。


・自分にとって重要ではないから

反対に、やるべきことが自分にとって重要ではないと、メリットが感じられず、モチベーションが低くなるため、「めんどくさい」と思いやすくなります。

たとえば、自分にとって最優先の業務に取り組んでいる時に「この書類を整理しておいて」などといった雑用を頼まれると、「今それどころじゃないのに…めんどくさい」と感じることがあるでしょう。


・不安だから

特に人間関係で「めんどくさい」と感じる時は、不安を感じていることが原因である場合が多いでしょう。先ほど例に挙げた、知り合い同士のチャットグループで、メッセージを送り合う時に「こう言ったら相手が嫌な思いをするかもしれない」、「グループの中で嫌われないように気をつかってメッセージを送らなきゃ」というのは、不安を感じているからこそ出てくる考えです。また、新しい環境に参加する時に「めんどくさい」と感じることがあるかもしれません。これは、「新しい場に馴染めないかもしれない」という不安を感じ、それを回避しようとする心理がはたらくためです。


・身体や心が疲れているから

身体的に疲れが溜まっている時は、どんな行動をするにしても億劫になりやすいものです。

また、心が疲れている時は、何かを考えたり、選んだり、判断することが難しくなり、「考えるのもめんどくさい」と感じやすくなります。たとえば、仕事で疲れている帰り道に、「夕飯は何を作ろう」と考えるだけで「めんどくさい」と感じるのは、心身が疲れているからかもしれません。

すべてがめんどくさいのは病気?

これまでに紹介したような内容だけでなく、「すべてがめんどくさい」、「生きるのがめんどくさい」と思うようになっていたら、それは病気のサインかもしれません。


DSM-5(*1)によると、うつ病には以下の症状が含まれています。

-----

・すべての活動における興味または喜びの著しい減退

・疲労感、気力の減退

・思考力や集中力の減退、決断困難

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これらの症状は、日常生活の中において、以下のように「めんどくさい」という言葉で表されることも多いでしょう。

・「興味がわかなくて、楽しくなくて、めんどくさい」

・「疲れていて、気力がわかなくて、めんどくさい」

・「物事を考えたり集中したりできなくて、めんどくさい」

・「物事の決断をするのが難しくて、めんどくさい」

上記のように感じることが多くなり、2週間以上続くようであれば、医師、臨床心理士、公認心理師などの専門家に相談するとよいでしょう。

特に「すべてがめんどくさい」、「生きるのがめんどくさい」と思うことにより、生活に支障をきたすようであれば、一度、精神科や心療内科などの受診を検討することをお勧めします。

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うららか相談室では、臨床心理士などの専門家を選び、ビデオ電話メッセージ対面形式のカウンセリングを受けることができます。

申込みはwebで24時間受付/深夜・早朝のカウンセリングや当日予約にも対応しています。

「めんどくさい」を克服するための対処法


「めんどくさい」を克服するために自分でできる対処法をご紹介します。

これからご紹介する対処法を試してみても「めんどくさい」を克服できない場合や、そもそも対処法を試すこと自体を「めんどくさい」と思う場合には、先ほど解説した病気のサインである可能性もありますので、専門家に相談することをお勧めします。


・まず動く

人間の脳は、行動し始めるとやる気が出る仕組みになっています(*2参考)。

「めんどくさいから行動できない」と思う人も多いでしょう。しかし、実際の脳の仕組みとしては、「行動するとやる気が出て、めんどくさいと思うことが減る」という流れになっています。この脳の仕組みを利用して、「めんどくさい」と思う行動の最初の一歩だけでもやり始めると、やる気スイッチが入り、「めんどくさい」を克服しやすくなります。

たとえば、勉強や仕事が「めんどくさい」と思っている場合は、デスクの前に座ることから始めてみるとよいでしょう。そして、教科書を開く、パソコンを立ち上げるといった次の行動に移します。この段階では、まだ勉強や仕事を始めてはいませんが、行動し始めることにより脳内でやる気の出る仕組みが働き始めるため、「めんどくさい」が「さぁ、やるか!」という気持ちに変わっていきます。


・小さな目標を立てる

小さな目標を立てることもお勧めです。小さいことでも1つクリアできると、「できた!」という実績によって、「これは乗り越えられることだ」と頭が認識できるので、また1つ、さらに1つ…とクリアしていくことができます。

目標の例としては、

▸「今から30分だけやろう」と短い時間を目標として設定する。

▸やるべきことが10個あるとしたら、3個までで区切って、「今日は3個やればOK」とする。

など、時間ややることの数を小さくした目標設定がお勧めです。

小さな目標を達成できた時に自分へのご褒美を用意しておくのも「めんどくさい」を克服することに効果的です。

「この目標を達成したら、スイーツを食べよう/好きな漫画を読もう/録画しておいたドラマを観よう/推しの動画を観よう」など、ちょっとしたご褒美があることで、やる気につながります。


・身近な人や自分自身に「これをやります」と声に出して宣言する

同居している家族などの身近な人に、たとえば「今日は20:00からこの課題に取り組みます!」と宣言することで、「宣言したからにはやらなきゃ!」といった気持ちが生まれやすくなります。また、家族から「20:00から課題やるって言ってたよね?」と声をかけてもらうことでも、めんどくささを乗り越えやすくなります。

一人暮らしなどで身近な人に宣言できない場合は、「今からこの課題をやるぞ!」と声に出して自分自身に対して宣言するだけでも効果があります。“声に出して言う”ということがポイントです。人は自分の発言した内容と異なる行動をしていると自分自身に違和感を覚えると言われています。そのため、自分自身に対して宣言した内容と異なり「めんどくさいから」とだらだらしていると違和感を覚えるため、行動しようという気持ちになりやすいのです。

他にも、朝起き上がることを「めんどくさい」と思う時に、「さぁ、起きるぞ!」と声に出して言うこともお勧めです。「起きる」と声に出して宣言することで、いつまでも布団の中にいると違和感を覚え、宣言した内容に現実を合わせようとするため、起きるという行動につながりやすくなります。


・休む

「めんどくさい」と思う原因の一つとして、心身の疲れを挙げました。

心身の疲れからくる「めんどくさい」を克服するには、しっかり寝て休むことが大切です。

疲れている時に「めんどくさい」を克服しようとして、無理に頑張ろうとする必要はありません。一旦休んで疲れをとることで、物事に前向きに取り組むエネルギーが回復しますので、自然とやる気が出て「めんどくさい」を克服しやすくなります。

カウンセリングでできること

前章で「めんどくさい」を克服するための対処法を解説しましたが、他にも様々な対処法があります。

カウンセリングでは、その人に合った「めんどくさい」を克服するための対処法や治し方を一緒に探すことができます。

また、人間関係において「めんどくさい」と思うことについては、状況によって対処法も異なります。カウンセリングでは、自分自身や相手の性格、その時の状況に応じた対処法を一緒に考えることができます。

さらに、「めんどくさい」の度合いについて、病院を受診した方がよいレベルなのかどうかをご相談いただくことも可能です。

おわりに

ここまで「めんどくさい」と思う心理や原因、対処法などについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

「めんどくさい」と思うことは、誰しも日常生活の中で経験したことがあるでしょう。

この「めんどくさい」を克服したい時や、「めんどくさい」と思うことで生活がうまくいかず、つらさを感じるような時には、カウンセリングであなたに合った対処法を一緒に考えていくことができます。

そんな時には、一度、カウンセリングで相談してみてはいかがでしょうか。

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参考文献

*1:日本精神神経学会 日本語版用語監修、高橋三郎・大野裕監訳 (2014) 「DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル」 (医学書院)

*2:髙木繁治 (2010) 「脳のしくみ」 (主婦の友社)

やる気が出ない悩みのカウンセリング
このコラムを書いた人
臨床心理士・公認心理師
精神科・心療内科病院で10年の勤務経験があり、適応障害・うつ病・不安障害等の精神疾患や、職場・家族・友人等の人間関係、仕事関係の相談などに対応しているカウンセラーさんです。中学・高校のスクールカウンセラーとして5年の経験もお持ちで、不登校の相談にも多く対応されています。
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