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  1. 登校拒否の原因は?子どもへの親の対応、不登校との違いについて

登校拒否の原因は?子どもへの親の対応、不登校との違いについて

「不登校」という言葉は一般的なものになりましたが、「登校拒否」との違いが気になる方もいるかもしれません。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、不登校・登校拒否とはどんなものか、また、その原因や望ましい対応なども合わせてお話していきます。

我が子が不登校になりそう、あるいはすでに不登校と言える状況にあるなど、ご心配な方も、今のところその傾向はないけれど知っておきたいという方も、ご参考にしていただければ幸いです。

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目次

- 登校拒否とは

- 不登校と登校拒否の違い

- 登校拒否の原因

- 子どもの登校拒否への親の対応

- 登校拒否・不登校の相談先

- おわりに

登校拒否とは


そもそも登校拒否・不登校とはどんな状態を指すのか、その定義から見ていきましょう。


・登校拒否/不登校の定義

文部科学省によると、「不登校児童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義されています。

学校へ行かない理由と欠席日数による定義なので、たとえば心理的な要因で欠席を重ねても年間30日未満であれば、不登校にはカウントされません。また、30日以上欠席しても、病気や経済的な理由によるものであれば、やはり不登校にはなりません。


・不登校児童生徒数は増加中

令和4年度の文部科学省の調査(「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)によると、小中学校で約 29 万9千人(全児童生徒の 3.2%)もの不登校児童生徒がいるという結果となりました。中学生に限れば全体の6.0%の生徒が不登校とも報告され、これらはその時点で過去最多であり、令和5年度もさらに増加しています。

このように、日本における不登校の児童生徒は11年連続で増加し、過去最多という状況です。

不登校と登校拒否の違い

次に、「不登校」と「登校拒否」の違いについてお話します。


・かつては「登校拒否」が一般的呼称だった

現在の不登校の定義に該当する状態、つまり病気や貧困という理由以外で年間30日以上欠席する状態について、「学校嫌い」と呼んだり、「登校拒否」と呼ぶのが一般的な時期がありました。呼び方からも分かるように、欠席が多い児童生徒は学校を嫌がっていて、登校を拒否しているのだと捉えられていました。

しかし、登校を主体的に拒否している児童生徒ばかりとは言えず、学校には行きたいのに行くことができない児童生徒も少なくないことが分かってきたこともあり、1990年代頃からは「不登校」という呼び方が主流となりました。


・「登校拒否」と「不登校」とはほぼ同じ

このように、同じ状態を指す言葉が時代とともに変わってきたという流れがあるだけで、「登校拒否」と「不登校」という言葉に大きな違いはありません。どちらも同じように使われているのが現状です。

より厳密に言えば、「登校拒否」には意思を持って学校に行かないことを主体的に拒否しているという意味合いを含むことがあり、「不登校」には本人の意思にかかわらず学校に行っていない状態を広く指すという違いがあるとも言えます。

ただ、そのような使い分けは一般的ではなく、ほぼ同じ意味として使われることが多いので、この記事でも「登校拒否」と「不登校」は同義に扱っていきます。

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登校拒否の原因

不登校の原因として、その定義には「病気や経済的な理由以外」との文言がありますが、ではどういったことが原因になるのでしょうか。ここからは、登校拒否の原因について見ていきましょう。


・学業の問題、不安や抑うつなどきっかけは様々

登校拒否や不登校に定義される「病気や経済的な理由以外」なおかつ「心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景」とは、具体的には何なのでしょうか。

文部科学省が委託した調査によると、「教師」「不登校児童生徒」「保護者」それぞれに不登校の「きっかけ要因」を問い、下記のような回答が得られています。


【教師】

☑学業の不振 41.2%

☑宿題ができていない等 40.5%

☑制服、給食、行事等への不適応 23.2%

☑不安・抑うつの訴え 19.0%

☑体調不良の訴え18.5% 


【不登校児童生徒】

☑不安・抑うつの訴え 76.5%

☑居眠り、朝起きられない、夜眠れない 70.3%

☑体調不良の訴え 68.9%

☑宿題ができていない等 50.0%

☑学業の不振 47.0%


【保護者】

☑不安・抑うつの訴え 78.4%

☑体調不良の訴え 76.5%

☑居眠り、朝起きられない、夜眠れない 74.7%

☑教職員への反抗・反発 44.7%

☑感覚の過敏さ 38.9%


「いじめ被害」「いじめ以外の人間関係のトラブル」「親子の関わり方」など、他にも様々なきっかけとなる要因が挙げられていますが、多いものから順に5番目までを見てみると上記のようになっています。

教師から見た要因と、不登校児童生徒および保護者から見た要因とに大きな違いがありますが、質問の内容や回答項目の違い、それぞれの立場から確認できる部分の違いなどがその背景にあると思われます。


・不登校の原因は複合的であることも多い

学校を休み始めたときの要因と、その後不登校の状態になってからの学校に行かない理由が、必ずしも同じとは限りません。たとえば、最初は体調不良がきっかけで欠席し、休んでいる間に授業が進んで学業への不安が出てきたり、宿題ができていないことで行けなくなったとか、友人関係や親子関係の問題が元にあって不安や抑うつの訴えが出てくるということもあります。

また、一人の児童生徒の不登校の原因がひとつだけとは限らず、いろんな原因が複合的に絡み合って不登校の状態になることも珍しくありません。

したがって、不登校の原因や理由を特定することは難しく、時として原因を探ることよりも、不登校の児童生徒にどのような対処や支援が望ましいのかを考えていくことが大切です。

子どもの登校拒否への親の対応


では、不登校の児童生徒には親としてどのような対応が望ましいのでしょうか。


・現状を否定しない

子どもに「学校に行けない/行かない」と言われたり、実際に学校に行かない日々が続いたりすると、非常に心配になってしまう親御さんも多いことと思います。将来どうなってしまうのだろう、とかなり先のことにまで強い不安が及んでしまうこともあることでしょう。

しかし、学校を休みたいと思ってすぐに休める子は多くなく、当面我慢して登校を続け、どうしても頑張れなくなって初めてその思いを口にする子もいます。つまり、欠席が増えた時点で限界に近いくらいの状態であることも充分想定されるのです。

したがって、学校に行くことを強要したり、休んでいる現状を否定的に捉えた言葉を投げかけたりはせず、今は学校に行きたくても行けない、それだけの経緯や事情があるのだろう、と受け止めると良いでしょう。


・理由を根掘り葉掘り聞かない

そうは言っても、親御さんとしてはなぜ不登校になったのか、原因や理由を明確にしたい、学校に行かない現状を納得できるだけの根拠が欲しいと考えてしまうのも、ごく自然なお気持ちだと思います。

しかし、前章でもお伝えしたように、不登校の原因はひとつとは限らず、自分自身でもなぜ学校に行けないのか分からないという児童生徒も珍しくありません。理由を問われると、困惑したり、ちゃんと答えなくてはというプレッシャーを感じたり、子どものしんどさを強めてしまうおそれがあるので、理由や原因について根掘り葉掘り聞かず見守るようにしましょう。


・安心して過ごせるような雰囲気をこころがける

学校に行かない事情や背景は様々でも、学校に安心して楽しく通えない何らかの要因があるのは共通のことと思われます。家での居心地はできるだけ良いものにしておくことで、安心して休むことができ、心身の回復につながります。

酷い落ち込みや体調不良などがないなら、起床・就寝時間や食事などは学校に行っている場合と同様の生活習慣を維持できると良いですが、それ以外は自由にゆったりと安心して過ごせる雰囲気が家庭内にあることが望ましいです。


・親御さん自身も普段通りにする

心配でずっとお子さんの傍で様子を見ていたいと思う親御さんもいるかもしれませんが、子どもの方から一緒にいてほしいと言われた場合を除いては、親御さんも普段通りの生活を続けると良いでしょう。

仕事や買い物、友人と会う、趣味のために出かけるなど、いつもの生活に加えてご自分の楽しみのための時間も持てるといいですね。

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登校拒否・不登校の相談先

登校拒否や不登校に関して、どう対応すればいいのか悩んでしまったり、親御さん自身も不調が出てきたりした場合は、家庭内だけで抱えず第三者に相談しましょう。では、どんな相談先があるのでしょうか。


・学校やスクールカウンセラー

もっとも身近な相談先としては、やはり学校が挙げられます。学校に要因があると思われる場合もそうではないときも、家庭以外の子どもの様子を知る人として教員に相談してみても良いでしょう。

ただ、教員に相談できない事情があることも珍しくはないため、そのようなときは学校に在籍するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに相談するのもおすすめです。


・自治体の相談機関

多くの自治体には、子どもに関する相談ができる機関が設置されており、そこで不登校についても相談ができます。


☑児童相談所・児童相談センター

☑教育相談所・教育センター

☑ひきこもり地域支援センター


名称は自治体によって多少異なりますが、おおむね上記のような機関で相談が可能です。

児童相談所や教育センターは18歳未満または高校生相当までの子どもやその保護者の相談に対応しています。年齢や状況などに応じて適した機関を利用するのも一手段です。


・民間の相談機関や親の会

民間の相談機関もたくさんあります。

フリースクールや不登校の児童生徒も対象とする塾や教室では、学習支援だけでなく不登校についての相談にも対応するところもあります。

私設のカウンセリングルームや大学の付属相談室など、親子でカウンセリングを受けられる場所もあります。

また、同じ状況の人のお話が聞きたい、聞いてもらいたいという保護者のために、不登校のお子さんを持つ親の会もあります。


・医療機関

不登校のお子さんに、強い不安や抑うつなどの症状や、眠れない、朝起きられない、食べられないなど、生活習慣の顕著な乱れがある場合は、医療機関の受診も検討すると良いでしょう。

おわりに

増加傾向が続く登校拒否/不登校ですが、その捉え方や環境は時代とともに変わってきています。

近年は学校以外での学習支援が拡充してきたり、相談できる場所が増えたりと、不登校の子ども自身や保護者へのサポートも多様になってきました。相談しても良い結果にはならなかったという人もいるかと思いますが、ひとつの相談先が合わなくても、別の場所ではニーズに合った支援が受けられたということも多々あります。

不登校の原因探しよりも、子どもも保護者もできるだけ不安を軽減し、心身共に健康に楽しく過ごせるよう、状況や必要に応じた相談先を探ってみてくださいね。

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【参考資料】

・文部科学省委託事業 不登校の要因分析に関する調査研究報告書

https://www.mext.go.jp/content/20240322-mxt_jidou02-000028870_02.pdf

・令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

https://www.mext.go.jp/content/20241031-mxt_jidou02-100002753_2_2.pdf

不登校のカウンセリング
このコラムを書いた人
臨床心理士・公認心理師
心療内科や児童相談センター、学校、被害者支援施設など、多くの現場で相談や心理検査を経験されてきたカウンセラーさんです。親子関係・夫婦関係・子育て・発達障害・ハラスメントやDV被害など様々な相談を得意とされています。
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