「人と関わりたくない」「誰とも話したくない」といった感情になってしまう瞬間は、誰にでもあるものです。
では、どのようなときに「人と関わりたくない」と感じ、どう対処すればいいのでしょうか。
今回は、人と関わりたくないと感じる原因や、病気との関連、対処法などについて解説します。人と関わりたくない人に向いている仕事も紹介しますので、参考にしてみてください。
目次
- おわりに
「人と関わりたくない」と思う原因や心理には、どのようなものがあるのでしょうか。
・精神的/体力的に疲弊している
「人と関わりたくない」と感じるときは、「あなたには今休息が必要ですよ」という、心や体からのサインであることが少なくありません。忙しいときや休めないときは、自分でも気がつかないうちに疲れをためてしまい、「誰とも関わりたくない」「ひとりでいたい」という感情が生まれやすくなります。
・大きなストレスを抱えている
プライベートや仕事などで大きなストレスを抱えていると、心に余裕がなくなり、マイナス思考になってしまうことがあります。何事にもネガティブな考え方になり、他人の行動にも過敏に反応して、ささいなことでイライラしてしまう可能性があります。そのような状態では、人を気遣ったり誰かと話したりする気力がなくなってしまうことがあります。
・他人からの評価が気になる
他人からの評価を常に気にしていると、人間関係に疲れやすいです。他人のちょっとした言動で落ち込んだり、他人の一言を重く受け止めてしまったりして、過度に疲れてしまい、「もう誰とも関わりたくない」という心理になってしまうことがあります。
・過去の人間関係のトラブル
人間関係のトラブルでは、相手を悪く言ったり、嘘をついたりと、人の嫌な部分を目にしてしまうことがあるかもしれません。過去に人間関係のトラブルを経験し、「人間関係は面倒くさい」「人と関わるとろくなことがない」などと感じていると、人との関わりを避けたくなることがあります。
・他人と比較してしまう
自分と他人を比較してしまうことも、人と関わることに対して消極的になる一因となります。「あの人は自分より能力が高い」「自分より周囲の人から信頼されている」などと考えて落ち込み、自分に自信が持てなくなって、人との関わりを避けてしまうことがあります。
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次に、「人と関わりたくない」と感じやすい人の特徴をご紹介します。
・気を遣いすぎてしまう人
周囲に気を遣って自分を抑え、他人に合わせてしまう人は、心の負担が大きくなり、人との関わりそのものを負担に感じるようになってしまうことがあります。人と接するときに、相手が何を求めているか、自分がどのように対応したら適切かを考えて行動するため、周囲からは優しい人と思われることも多いですが、本人は深い疲労感に襲われたり、気を遣い過ぎてストレスを抱えやすくなります。
・感受性が強い
感受性が強い人は、相手の表情、言葉、仕草などのささいな変化に敏感に反応してしまうため、人間関係に疲れてしまうことがあります。「あの人が不機嫌なのは私のせいかもしれない」「あの人は自分のことをよく思っていないかもしれない」などと不安を感じ、疲れやストレスをためてしまいがちなため、「誰とも関わりたくない」という気持ちになりやすいです。
・コミュニケーションが苦手
コミュニケーションが苦手な人は、言いたいことをうまくまとめることができず、誤解を招いたり、意図が正しく伝わらなかったりすることがあります。また、人間関係がうまくいかなかった経験から、人と関わることを諦め、「ひとりでいたほうが楽」と思ってしまうことがあります。
・自己肯定感が低い
自己肯定感が低い人は、人と関わりたくないと感じやすい傾向があります。自分に自信がないあまり、「こんな自分は人に受け入れてもらえないのではないか」「自分と関わることで迷惑になるかもしれない」などと思い込みやすく、人との関わりを避けてしまうことがあります。
「人と関わりたくない」という気持ちは、多くの人が感じた経験があるかと思いますが、長期間続いたり、過剰に「人が怖い」「人が嫌い」などと感じていたりする場合は、以下のような病気の可能性も考えられます。自分にあてはまる症状がある場合は、早めに医療機関などに相談しましょう。
・うつ病
うつ病は、感情や気分に関わる脳機能のバランスが崩れることから、何をしても楽しめず、一日中気分が落ち込んでいる、イライラするといった症状のほか、眠れない、食欲がないなど、精神・身体・行動面において様々な症状が現れます。また、人と関わることがストレスに感じやすくなり、引きこもりがちになってしまうこともあります。
うつ病は悪化すると日常生活を送ることが困難なほどの症状になってしまうこともありますので、上記のような精神的・身体的症状が2週間以上続いている場合は、早めに医療機関で受診しましょう。
・社交不安障害
社交不安障害は、人前で何かをすることに強い不安を感じ、緊張、発汗、赤面、動悸、手足や声の震えなど、さまざまな身体症状を伴うことがあります。自分に他人の目が向いている状況や、人と関わる場面で症状が起こることがほとんどなので、症状が起こることを防ぐため、人と会ったり関わったりすることを避けるようになります。
・回避性パーソナリティ障害
回避性パーソナリティ障害は、自分が拒絶されたり、批判されたり、恥をかいたりすることを極度に恐れ、そのような経験をする可能性のある状況を回避してしまうのが特徴です。人との接触を求めながらも、拒絶や批判の恐れから、人と深く関わることを避け、孤立してしまう傾向があります。
上記のほか、発達障害の特性によって人との関わりを避けていたり、HSP(ハイリーセンシティブパーソン)などの気質によって人付き合いに疲れやすい人もいます。自分では判断が難しい場合も多いので、気になることがある場合は、医療機関やカウンセラーに相談してみましょう。
全く人と関わらずに働くことは難しいですが、人との関わりが少ない仕事には以下のようなものがあります。なるべく人と関わらないような仕事を探している方は、参考にしてみてください。
・システムエンジニア
情報技術を使用して、システムの設計・開発・保守・運用などをおこなうことが主な仕事です。プログラミング言語などの専門知識・スキルを要する仕事ですが、コツコツと業務に集中していきたい人には適性がある仕事です。打ち合わせなどが必要な場合もありますが、パソコンを使った一人での作業が中心となることが多いです。
・Webライター
Webサイトに掲載するコラムや記事を執筆するのが主な業務です。自分が興味・関心の強い分野に特化していくことも可能です。一人で書く時間が長いため、人と関わる場面は比較的少ない仕事です。
・Webデザイナー
Webサイトの企画・デザイン・制作を行う仕事です。Webサイトのレイアウトや装飾、機能的な構成を提案し、クライアントが求めるWebサイトを作成します。パソコンやデザインソフトなどの機材が揃っていれば自宅での作業も可能です。ヒアリングや打ち合わせは必要ですが、作業自体は一人で進めることも多く、人との関わりは少ないといえます。
・動画編集
投稿サイトに載せる動画や、ゲーム・テレビなどで使用する動画などを作成する仕事です。機材があれば、自宅でも作業することができ、自分のペースで取り組むことが可能です。
・データ入力
決められたデータを、所定のフォーマットなどに入力していく作業です。一人で淡々と進めることができ、人と関わる機会も少ない仕事のひとつです。
・工場での軽作業やライン作業
工場での作業は、自分の持ち場が決まっていたり、黙々と作業を行うことが多いため、確認や質問などで会話をすることはあっても、人との関わりは最低限となることが多いです。
・ドライバー
ドライバーは、決められた場所まで荷物などを運ぶ仕事となり、トラックや社用車を運転したり、バイクなどに乗って仕事をします。人と関わりたくない場合、接客が必要なタクシーやバスのドライバーよりも、トラックなどの運送業がおすすめです。
・警備員・清掃員
施設の巡回・監視などを行う警備員や、オフィスやホテルなどを掃除する清掃員も、比較的人と関わらずにできる仕事です。会社以外の場所で働くことになるため、社内の人と協力して業務に取り組む機会は少ないです。
「人と関わりたくない」という気持ちを変えたい場合は、どうすればよいのでしょうか。人との関わりが面倒くさい、疲れたと感じてしまうときの対処法について、いくつかご紹介します。
・ゆっくり休養する
人との関わりが嫌になったとき、まずはゆっくり休養しましょう。先述の通り、「人と関わりたくない」という気持ちは、心身ともに休息が必要なサインであることが多いです。何も考えずのんびり過ごすと、心身が回復し、前向きな気持ちになれるかもしれません。
・合わない人とは距離を置く
合わないと感じる人がいる場合、できるだけ関わらないようにするのも一つの方法です。人と関わること自体を負担に感じやすい人にとって、苦手な相手との関わりは、ストレスを抱える原因になります。相手と接触する時間を減らす、自分からは話しかけないなど、苦手な人とは適度な距離を保つようにすると、自分のストレスを最小限に抑えられるかもしれません。
・SNSから離れる
人と関わりたくないという気持ちになっているときは、SNSから離れてみると良いかもしれません。友人や知人の楽しそうな投稿を見ることで、自分の状況と比較して自己肯定感が下がってしまったり、自分の投稿への反応を気にして落ち着かず、精神的に疲れてしまったりする可能性があります。通知機能をオフにしたり、ミュート機能を利用するなどして、SNSを目にする時間を減らす工夫をしてみましょう。
・他人ではなく、自分を優先する
「人からどう思われるか」よりも、「自分がどうしたいか」を優先して考えると、必要以上に人からの評価を気にする必要がなくなり、人間関係に関する悩みやストレスが軽減されるかもしれません。好きなところへ出かけたり、趣味に没頭するなど、自分の気持ちに素直になって自分だけの時間をつくってみると、心身をリフレッシュさせることができ、気持ちに余裕が生まれやすくなります。
・カウンセリングを受ける
人と関わりたくないときは、カウンセリングを受けてみるのもおすすめです。カウンセリングでは、カウンセラーに自分の状況や気持ちを話すことで、自分としっかり向き合うことができ、人と関わりたくないと感じる自分の原因や心理に気づくことができるかもしれません。また、自分に合った対処法をカウンセラーと話し合いながら探すこともできます。
カウンセリングは、医療機関やカウンセリングルームで受けることができるほか、オンラインのビデオ通話や電話、メール、チャットなどを使ったサービスもありますので、自分の状況や希望に合ったものを利用してみましょう。
「人と関わりたくない」という感情には、疲れやストレス、気を遣いすぎてしまう性格など、さまざまな原因が考えられます。まずは、ゆっくり休養し、リラックスできる時間を作ってみてください。また、今回ご紹介した対処法を試していただき、改善がみられない場合は、一人で抱え込まずに、医療機関やカウンセラーに相談することも検討していただければと思います。