>
  1. 大人のアスペルガー症候群とは?症状、特徴、仕事での注意点を解説

大人のアスペルガー症候群とは?症状、特徴、仕事での注意点を解説

更新日 2024.11.21
自身の性格・能力
うららか相談室

子どものころにアスペルガー症候群と診断されていた、家族などに「もしかしたらアスペルガーなのでは?」と言われた、けれどアスペルガー症候群は子どもに特有の性質だと思っていた、という人もいるのではないでしょうか。では、そもそもアスペルガー症候群とは一体どういったものなのでしょうか。また、大人のアスペルガー症候群とはどのように考えるのがいいでしょうか。

>アスペルガー症候群の悩みを相談できるカウンセラーはこちら

アスペルガー症候群のカウンセリング

目次

- 大人のアスペルガー症候群とは

- アスペルガー症候群の症状

- アスペルガー症候群の特徴

- アスペルガー症候群の人が抱える仕事の悩み

- アスペルガー症候群の人の仕事での注意点

- アスペルガー症候群の治療

- まとめ


大人のアスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群とは、発達障害の一種で、知的能力に遅れは見られないものの、「暗黙の了解」や「他人の気持ちを察する」といった社会的コミュニケーションが苦手であったり、限定的な関心やこだわりが見られたりすることで、対人関係や日常生活に支障をきたしてしまう障害です。アスペルガー症候群を含む発達障害は、先天的な(=生まれつきの)脳の発達に特性があるもので、親の子育てなどが原因ではありません。

アスペルガー症候群は大人になると、ある程度は環境に適応して、目立った行動が見られなくなることもあり、昔は子どもに特有のものだと考えられていた風潮もありました。しかし、近年は大人になってもやはりどこか対人関係にすれ違いを感じたり、子どものころは気にならなかったものの結婚してからコミュニケーションの困難さが露呈するということがあり、「大人のアスペルガー症候群」という言葉が使われることもあります。


また、アスペルガー症候群は過去の名称であり、現在は自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害:ASD)という発達障害(神経発達障害)に分類されます。自閉スペクトラム症という診断基準ができるまでは、知的能力に遅れが見られないアスペルガー症候群と、知的障害が見られるカナー症候群(こちらがよく自閉症といわれていた)は、分けて診断されていました。しかし、知能指数の値に関わらず、アスペルガー症候群やカナー症候群には様々な個性があり、ときにその分類が有用でないことから、「連続体」をあらわす「スペクトラム」を用いた「自閉スペクトラム症」という診断名にまとめられました。

また、だからといって、以前にアスペルガー症候群と診断されたことが無効になるわけではありません。過去に診断を受けた方、アスペルガーかもしれないと言われた方にとって、アスペルガー症候群が一体どういったものであるかを理解するのはとても重要なことです。

臨床心理士に悩みを相談してみませんか?

臨床心理士とは・・・


悩みを抱える人との対話をベースに、精神分析や心理療法を使って問題の解決をサポートする「こころの専門家」です。


臨床心理士の資格は厳しい学習条件が求められ、心理業界では長年にわたり根強い信頼性を持っています。


うららか相談室には、多くの臨床心理士が在籍しています。

メッセージ・ビデオ・電話・対面、あなたが一番話しやすい方法で、悩みを相談してみませんか。

アスペルガー症候群の症状

アスペルガー症候群の症状は、大きく分けると「対人コミュニケーションが苦手」「こだわりが強い」ということが挙げられます。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。


◇対人コミュニケーションが苦手

アスペルガー症候群の人は、相手の立場に立って物事を考えたり、他人の気持ちを想像したりするのが苦手です。そのため、「場の空気を読んで行動することができない」「言葉を文字通りに受け取って、相手の本音に気が付きにくい」など、対人コミュニケーションの問題を感じることが多くなります。


◇こだわりが強い

アスペルガー症候群の人はこだわりが強い傾向があるため、興味を持ったことに没頭してしまい、他に気が回らなくなることが多いです。逆に、自分が興味のないことには、なかなか取りかかれなかったり、極端に嫌がったりする傾向もあります。

また、自分の中のルールにこだわりやすく、決まったパターンを好むため、そのルールと違ったことをするのを嫌ったり、予期せぬことが起こるとパニックになったりする傾向があります


アスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群のその他の特徴について見ていきましょう。


◇感覚過敏・感覚鈍麻がみられることがある

アスペルガー症候群では、感覚がとても敏感、あるいは鈍感な場合がみられます。肌の感覚が敏感で衣服の素材を不快に思ったり、音に敏感でガヤガヤしているところにストレスを感じたり、光に過敏で写真のフラッシュを嫌がったりする人もいます。

逆に、聴覚が鈍感で周囲からの呼びかけに気が付かなかったり、痛みに鈍感で病気やけがの受診が遅れたりする人もいます。


◇ある分野で突出した能力がみられることがある

アスペルガー症候群の人は、自分の興味がある分野に対して、驚異的な集中力を発揮することがあります。そのため、例えばデザインや音楽のセンスがとてもよかったり、数学や暗記に秀でているなどの突出した能力が見られることがあります。診断名ではありませんが、自閉スペクトラム症を抱えながら、このように目を見張る能力を持っている人の傾向をサヴァン症候群ということがあります。


◇二次障害を抱えやすい

アスペルガー症候群の人は、こだわりが強かったりコミュニケーションが苦手なことから、周囲から孤立したり、いじめられたり、失敗体験によるストレスを抱えたりして、うつ病などの二次障害を抱えやすくなります。

精神障害に該当しなくても、「周りと同じようにできない」ことから、不安や劣等感を抱える人も少なくありません。

アスペルガー症候群でお悩みの方へ

アスペルガー症候群との上手な付き合い方について、カウンセラーと一緒に考えてみませんか?


  • 大人のASD傾向があり、仕事で苦労している
  • 夫がアスペルガー症候群かもしれない

このようなことでお悩みではないですか。

うららか相談室では、臨床心理士などの専門家に匿名で悩みを相談することができます。

アスペルガー症候群の人が抱える仕事の悩み

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の人が抱えやすい仕事の悩みについて見ていきましょう。


◇暗黙のルールを把握するのが苦手

アスペルガー症候群の人は、暗黙のルールの把握が苦手な傾向がありますが、多くの仕事には暗黙のルールが存在します。職場では、わざわざ言うまでもないと誰も禁止しなかったタブーを平然と犯してしまうこともあります。


◇コミュニケーションや人間関係の構築が苦手

アスペルガー症候群の人は、コミュニケーションが苦手な傾向がありますが、多くの仕事は一人で完結するわけではなく、周囲の人とのコミュニケーションが必要です。社内だけではなく、社外の人とのコミュニケーションが必要になることもあり、失礼な態度をとって取引先から怒られてしまうこともあります。


◇臨機応変に対応するのが苦手

アスペルガー症候群の人は、臨機応変に対応するのは苦手な傾向がありますが、仕事にはトラブルがつきものです。いつもと違うことが起こったときに、パニックになったり頭が真っ白になったりして、社内の評価に影響を与えることがあります。


◇音や光が気になって集中できない場合がある

アスペルガー症候群の人の中には、感覚過敏の症状が見られることがあります。感覚過敏で、職場の電話の呼び出し音や会話の声、明るい照明などが気になり、仕事に集中できないという人もいます。


アスペルガー症候群の人の仕事での注意点

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)と診断された人は仕事でどのようなことに注意すればいいでしょうか。基本的には上司に自分の苦手なことを伝えて、協力してもらったり、仕事のしかたを相談するといいですが、ここでは主に考えられる注意点について見ていきましょう。


◇やるべきことをリスト化する

アスペルガー症候群の人は、周りや全体を見て自分が何をすればいいのか臨機応変に判断するのは苦手です。ただ、ルールに沿って行動することは得意なので、まずはやるべきことをリスト化し、それに沿って動くことで「やるべきことができていない」ことを防ぎます。

月曜日に上司と一緒に一週間分のリストを作ったり、出社したらまずその日にやることを箇条書きにして優先順位をつけることで、作業漏れが減るだけでなく、仕事の全体像が分かりやすくなります。


◇状況を周りと共有する

空気を読んだり、仕事の進行具合を把握したりするのが苦手であれば、状況を周りの人としっかり言葉で共有する機会をつくってみましょう。「私は今○○をしています」「今日は手が空くかもしれませんが、何か困っていることはありませんか」など、言葉にして共有することで、自分の状況を伝えやすくなるだけでなく、周りの状況も把握しやすくなります。また、これによってアスペルガー症候群の人によく見られる「一つの業務への過剰な没頭」を防ぐことができます。


◇分からないことは細かく確認する

分からないことや気になったことは、細かいところまで確認し、メモを取るようにすることで、仕事がスムーズに進みやすくなります。過去のやり取りから察したり、想像力をはたらかせたりすることは、アスペルガー症候群の人にとっては苦手なことです。間違った判断をしないように、「念のため」と細かく確認するように心がけるとミスを防ぐことができます。


◇思ったことを発言する前に10秒考える

アスペルガー症候群の人は、空気を読んだり相手の気持ちを考えたりするのが苦手で、自分が思ったことを素直に口に出してしまう傾向があります。思ったことを言うことは悪いことではありませんが、社会の中で円滑なコミュニケーションを取るためには、時には発言を控えることが大切なこともあります。会議などで発言する前に10秒ほど、その発言が本当に適切かどうか考えてみるようにしましょう。


◇予想外のことが起きたら周りに頼る

予想外のことが起きたら、パニックになる前に周りに助けを求めるようにしましょう。なるべく相手には冷静に状況を説明して、自分の気持ちも落ち着かせるようにしましょう。

>アスペルガー症候群の悩みをカウンセラーに相談する

アスペルガー症候群の治療

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)は生まれつきの脳の特性が関係しているため、それ自体が治るものではありません。しかし、アスペルガー症候群の人が、対人技能を学んだり、環境を整えたり、工夫をしたりすることで、人間関係の失敗などを防ぐようにすることは可能です。

また、不安や抑うつなどの症状が表出している場合は、それを抑える薬が処方されることもあります。

カウンセリングで自分が苦手なことや悩みに対する考え方を整理すると、自身のアスペルガー症候群の性質について理解を深められ、少しずつストレスへの対策ができるようになることが期待できます。二次障害の予防としても、カウンセリングはとても有効な対策です。

まとめ

アスペルガー症候群は、知的能力の遅れが見られないため周囲から理解されず、一人で悩みを抱え込みやすくなります。アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)やグレーゾーン(診断基準は満たなかったものの傾向が認められた人)で「仕事で失敗が多い」「人間関係がうまくいかない」と悩んでいる方は、気軽にカウンセリングを活用してみてください。カウンセラーに相談することで、自分が仕事で気をつけたほうがいいことや、人間関係についての考え方を少しずつ習得していくことができます。

>アスペルガー症候群の悩みを相談できるカウンセラーはこちら

アスペルガー症候群のカウンセリング
このコラムを書いた人
オンラインカウンセリングうららか相談室運営スタッフ
うららか相談室スタッフ
うららか相談室の運営担当です。カウンセリングに関する疑問・知識や活用方法について、初めての方にもわかりやすくご案内します。
カウンセリングを受けてみたい方へ

うららか相談室では、臨床心理士・社会福祉士などの専門家を選び、メッセージビデオ電話対面形式のカウンセリングを受けることができます。


オンラインカウンセリングならカウンセリングルームに出向く必要がなく、自宅などのリラックスできる場所で、好きな時間に受けられるため、外出が難しい方や、心療内科でのカウンセリングに抵抗がある方にも気軽に受けていただけます。


また、匿名で相談ができるため、家族や友人に知られることなく、安心して相談していただくことが可能です。

うららか相談室のYouTubeチャンネルでは、カウンセリングとは動画を公開しています。こちらも参考にしてみてください。
本日相談できるカウンセラー
×