睡眠の質が下がっている状態が続き、日中眠くなる、集中力が低下する、疲れが取れないといった体調不良の症状が起こることを不眠症といいます。不眠症にはいくつかのタイプがあり、入眠障害(なかなか眠りにつけない)、途中覚醒(途中で何度も目が覚めてしまう)、早朝覚醒(朝早くに目が覚め、その後眠れない)、熟眠障害(眠れているけれど疲れが取れない)などがあります。
不眠症に悩む方に、カウンセリングで用いられる手法として、CBT-I(cognitive behavioral therapy for insomnia)があります。
CBT-I(cognitive behavioral therapy for insomnia)は、不眠症の症状に対して行われる認知行動療法のことで、
不眠の要因となっている生活習慣を明らかにし、それを適切なものに修正していくことにより、睡眠改善につながる生活習慣を習得することを目的としています。
不眠のメカニズムを知り、睡眠に関する正しい知識と理解を深めることをはじめ、睡眠スケジュール法(刺激制御法と睡眠制限法)、リラクセーション(筋弛緩法)が多く実施されます。
睡眠スケジュール法は、睡眠日誌をもとに、ベッドに横になる時間を、実際の睡眠時間に近づけるように調整していく方法です。不眠に悩まされている方は、眠れずに寝床に横になっている時間が長くなりがちなため、この方法を実践していくことで、規則的な就寝・起床のリズムを再構築していくことができます。
リラクセーションは、身体の力をうまく抜く方法を習得する技法です。睡眠は身体がリラックス状態になっていることが重要なため、寝る前にリラクセーションを実施し、リラックスした状態で眠りにつけるようにしていきます。
認知行動療法の効果として、睡眠障害のうち、慢性不眠症、概日リズム睡眠・覚醒障害,睡眠時無呼吸症候群に対しての有効性が多く報告されています。また、不眠症の認知行動療法は、治療の手順や計画が確立されており、米国睡眠学会等では、慢性不眠障害に対する第一の選択肢として推奨しています。最近では、身体疾患や精神疾患に伴う不眠症に対しても効果があることが明らかにされています。