相手のふとした態度や言葉から、「もしかして嫌われているのかな?」と感じる機会が多いと、人間関係が辛くなりがちです。実際に嫌われているわけではないのにそう感じてしまう場合はますます、相手や周囲との違和にもつながるため、過度に嫌われていると感じやすい傾向は改善しておくと自他ともに楽です。
今回の記事では、他人に嫌われている気がする人の心理傾向や対処法などをお話していきます。
目次
- おわりに
人に嫌われている気がしてしまうのは、どんなときが多いのでしょうか。
・相手からの視線や表情が乏しいとき
あまり目が合わない、笑顔が少ないなど、他の人への言動とくらべて自分に対してだけ視線や表情が乏しいように感じると、嫌われているように思えるケースは少なくないようです。
・相手からの声かけや反応が少ないとき
他の人には食事や遊び、SNSのグループやフォロー等への誘いをしているのに自分だけ誘われない、こちらから誘っても断られる、あまり話しかけられないなど、相手からの接し方や反応がよそよそしかったり、距離を感じるものだったりするときも、嫌われているのかな?と感じやすいタイミングと言えます。
・否定的な言葉や低評価を受けたとき
ネガティブな言葉を投げかけられたり、仕事や成績、振る舞いなどに対して想定よりも低い評価を付けられたりしたときも、その相手から嫌われていると感じることは珍しくありません。
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人から嫌われている気がするのは、どのような心理や理由が背景となっているのでしょうか。
・自信がない
元々自分に自信がない人は、あらゆることをネガティブに捉える傾向があります。人間関係においてもその傾向が出てくると、他人の何気ない一言や仕草を否定的にとらえて「あの人は私のことが嫌いなのだろう」と感じる傾向があります。
健やかな自己肯定感を持っている人ならそんなふうには感じない状況でも、自信がないため何かにつけて自分に非があるかのように受け止め、原因を自分に引き付けて考えてしまいがちです。
・思い込みが強い
思い込みの強さも、みんなに嫌われているという感覚に大きく影響します。人の言動や表情などは実に様々な要因によって作られるため、自分とは無関係である場合も多いのですが、思い込みが強いと周囲の人の言動を自分のせいだと決めつけてしまうことがあります。
また、思い込みの強い人は、他者も自分と同じように考え振舞うはずだと捉えがちであるため、たとえば、たまたますれ違った知人が、体調が悪い、考え事をしていたなど別の要因で笑顔がなかっただけでも、「自分なら嫌いな人には笑顔を向けないから、きっとあの人の笑顔がなかったのは嫌われているからだ」というように、嫌われているという方向に考えを向ける機会が多くなってしまいます。
・人間関係にまつわるつらい経験がある
過去にいじめ被害や周囲と馴染めずつらい思いをしたなど、人間関係にまつわる否定的な経験がある場合、それがその後の別の人間関係にも影響を及ぼすことがあります。
過去のケースと似たタイプの人や状況、言葉や対応が見受けられると、あの時のようにまた嫌われたのかもしれないと感じてしまうのは、人として自然な心の動きと言えます。
よほど自信がある人以外は、嫌われているのかな?と感じることもあるでしょう。それ自体がすぐさま問題となるわけではありませんが、病気が原因で周りから嫌われている気がすることも、時にはあり得ます。それはどんな時なのか見ていきましょう。
・うつ病
抑うつ状態やうつ病になると、自己評価が著しく低下することがあります。すべて自分が悪いと感じてしまうのもうつ病の症状のひとつで、こんなダメな自分は職場や学校でみんなに嫌われているに違いないと考えてしまう場合があります。
・社会不安障害
人の視線に敏感で、人からどう思われているのかとても気にしてしまう傾向が強く、そのせいで社会生活に支障が出ているときは、社会不安障害と診断されることがあります。
何もしてないのにどの人間関係でも嫌われていると感じやすく、その状況を回避してしまうことが多いならば、社会不安障害と言える状態かもしれません。人目を気にしたり嫌われている気がしたりすることで苦痛が強い場合は、受診を検討すると良いでしょう。
・発達障害
ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)など発達障害やその傾向を持っていると、その特性ゆえに周囲とうまくやれない感覚を抱いたり、注意や叱責を受ける機会が多くなりがちです。
そのような経緯から自信を失い、人から嫌われていると感じやすくなることもあります。
周囲の人たちから嫌われているという思い込みを軽減するには、様々な対処法があります。
・本当に嫌われているか考えてみる
まずは、本当に嫌われているのか、それともただの思い込みなのか、よく考えてみましょう。
何か嫌われるに値するようなことをしてしまったか自らを振り返ってみると、思い当たることがあるでしょうか?
また、自分にだけ接し方が違うから嫌われていると感じる場合、人は関係性を踏まえて言動を変えることがあるのは自然なことなので、他の人と違う態度を取られるのは必ずしも嫌われているからではなく、関係性に則した違いなのかもしれません。
さらに、態度が冷たいように感じたのは、体調不良など相手方の要因だった可能性もあります。
思い当たる理由がある場合は、謝罪する、今後は同じことをしないようにするなど、具体的な対策を考えるとよいですが、特に思い当たる理由がないのに嫌われているように感じるならば、それは思い込みなのかもしれません。
・思い込みを修正する
本当に嫌われているのか、はたまた思い込みなのか、考えても分からないときは信頼できる友人や家族に相談してみるのも大切な対処法のひとつですが、相談したとき「気にしすぎ」と言われた経験がある方も多いのではないでしょうか。
その場合はやはり思い込みである可能性も高いので、その思い込みを修正すると楽になれます。それには、なぜ嫌われていると思い至ったかを考えてみると良いでしょう。
相手の言動や表情から嫌われていると感じたなら、相手との関係性や相手側の要因でそのような言動になった可能性を考えてみる、今まで嫌われることが多かったから今回もそうだろうと感じているなら、今までの人たちと今回の人たちは別人であることを改めて意識する等、自分の思い込みの元となる考え方の癖を知り、それを敢えて否定していくと思い込みを修正できます。
・すべきことを考えて実践する
嫌われていると思うと話しかけづらかったりして、仕事や組織内での役割などを上手く進められなくなってしまうと、二次的な問題にも発展しかねません。
嫌われていてもいなくても、仕事や学業などすべきことをするのが最善であるのには変わりないことに目を向けて、今何を優先したらいいのかを考えると、おのずと嫌われているのではないかという心配から視点を移動することができます。
このように、今すべきことを考えて、それに従って行動を起こすのも、有効な対処法のひとつです。
・嫌われても何とかなると切り替える
誰からも一度も嫌われないで一生を過ごせる人はほぼいないと思われます。誰が誰を嫌っても、不当な形で表現しない限り、それはその人の内心の自由です。誰かに嫌われても、それが理由で自分の価値が変わることはありません。
嫌われたせいで具体的な困り事が発生するならば、その事象への対処をすればいいですし、現実的に困らないならば「嫌われたってどうにかなる」と切り替えるのも一手段です。
・自信につながるようなことをする
自信がないことが嫌われている気がする大きな要因だと感じられる場合は、自信を持つことも大切な対処となります。
自信がないのはなぜなのかじっくり考えてみて、何か少しでも自信につながるような取り組みを始めてみたり、自分が今できていることの中で当たり前のように思えることでも敢えて評価してみたりと、「特別すごいわけではないけれど、まあこれくらいでいいか」と自分を少しでも好きになれるような実践をしてみてはいかがでしょうか。
・誰かに相談する
そうは言っても、自分ひとりではなかなか難しいときは、友人や家族、同僚など第三者の力を借りましょう。嫌われている気がしているのは自分だけで、周囲からはそんなふうには見えていないことも多いですから、そのような客観的な意見を聞くだけでも楽になるかもしれません。
また、話を聞いてもらったり、他者の視点から助言をもらったりすることで、安心感や対策のアイディアも得られることでしょう。
・カウンセリングでできること
相談できそうな人が周囲にいないときは、カウンセリングを受けるのもおすすめです。カウンセラーが専門的な目線でお話を聞き、嫌われているという思い込みや不安への対策を提案します。
お悩みや不安の程度、ご希望などに応じて、思い込みを修正する認知行動療法や様々なリラックス法など、自分に合う方法をカウンセラーとともに探り、実践していくことができます。
嫌われているかもしれないという不安に囚われ、それが過剰に強まると、相手が本当に自分を嫌っているのかどうか確認しないまま、自分の心の中にばかり意識が行き、悩みが客観的現実から遠ざかっていくことがあります。そうなってしまうと非常にしんどいですから、嫌われているのが思い込みならば、ご紹介した方法も参考にしていただき、それを解消していけるといいですね。