なんだか気力がわかなくて何もしたくない、ずっと寝ていたいと思ってしまうこと、きっと誰にでもあるのではないでしょうか。この状態が病気なのではないかと不安になることもあるかもしれません。
しかし、人が生きていればいろんなことがありますから、何もしたくなくなってしまうことがあるのは何もおかしなことではありません。そうなってしまう原因にはどんなことがあるのか、どんなふうに対処すればいいのか、病気の可能性の見分け方などについてお話します。
無気力になってしまったとき、過剰に不安にならずにいるための参考にしていただければと思います。
目次
- おわりに
まず、何もしたくなくなってしまう原因にはどんなものがあるのか、見ていきましょう。
・疲れ
もっともよくある原因は、心身の疲労です。仕事や勉強、日々の家事育児、介護、長時間の移動などで身体的に疲れたときはもちろん、不安や緊張を覚える場面や、考えなくてはいけないことがあって頭を使ったときなど、心理的な疲れがたまったときも、何もしたくなくなってしまうことはよくあります。
・環境の変化や目標達成
入学や引っ越しなど環境の変化があったとき、大きな試験や仕事が終わって一段落したときのような人生の大きなイベントの後は、無気力が訪れることも珍しくありません。
結婚や昇進、進学や就職など一般的には喜ばしいことであっても、その後に何もしたくなくなることがあります。非日常の間は高揚感や忙しさからあまり自覚していなかった疲れが、状況が落ち着いて日常が始まった頃に出てくると考えられます。
大きな目標を達成してホッとすると同時に、目標が失われてどうすればいいのか分からなくなり、無気力になってしまうこともあります。これは「燃え尽き症候群」とも呼ばれています。
・季節や気候
季節や気象条件などが心身に影響を与えることもあります。秋から冬にかけての季節や、気圧の変動が激しいときなどは自律神経が乱れやすくなるため、その影響でなんとなく気分が沈んで無気力になることがあるのです。
・うつ、適応障害、統合失調症などの症状
うつ病や抑うつ状態の典型的な症状のひとつとして、何もしたくなくなることもあります。また、適応障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症など、メンタルの不調や病気でも、無気力が見られることがあります。
何もしたくない、全部めんどくさい・・・自分がそんな状態になった場合、もしかしてこれは病気なんじゃないかと心配になることもあるかもしれません。心配いらないケースも多いですが、病気のおそれがあるのはどんな場合か見ていきましょう。
・休養を取って回復するなら大丈夫
休みなく頑張っていれば、身体が休養を求めるのは当然のことです。何もしたくなくなるのは、身体からの「休んで」というサインでもあります。ここでゆっくり休んで、また元通りの状態になれるのであれば、まったく問題ありません。
・休んでも無気力が続くときは要注意
ただ、休んでも無気力が改善しない場合は、少し注意が必要です。
休んでいるのに2週間以上何もしたくない状態が続く場合は、うつ病や適応障害など何らかの病気の症状である可能性があります。
・思うように休めない場合も気を付けて
普段の生活の中でストレスを感じるような要因がある場合は、疲れて何もしたくなくなるのも当然です。それが無気力の原因であれば、人として自然な反応と言えますので、病気ではないと考えられます。
しかし、病気ではないからといって無理をしすぎるのは少々危険です。何もしたくないくらい疲れているのに、そのままの生活を続けてしまうと、いざ休もうと思ってもうまく休めなくなってしまうこともあり得ます。
眠りたいのになぜか眠れないなど、今までとは違う症状が出てきた場合は、病気のおそれがあります。
何もしたくなくなってしまうこと自体は人として自然なことですが、病気の心配が出てくる前に何らかの対処ができるといいですね。具体的な対処法をいくつかご紹介します。
・まずゆっくり休む
一番大切な対処法は、ゆっくり休むことです。やることが多く、なかなかゆっくり休めないようなときでも、誰かにサポートを頼んだり、優先順位の高いことだけやってその他は後回しにしたりして、できるだけ心身を休めるようにすることが大切です。
「休んでいては人に迷惑がかかる」と考えて無理をしてしまうと、より疲れが蓄積してしまい、回復に時間がかかることになりがちです。早めに休むのが結果的に自分にも周囲にも一番良い方法だと考えて、思い切ってゆっくり休みましょう。
・ストレス要因を遠ざける
疲れや無気力の原因として思い当たることがあるならば、できるだけそこから距離を取るのも良い方法です。
・人に話を聞いてもらう
信頼できる人に相談してお話を聞いてもらうのも良い方法です。気持ちを吐き出すだけでも心が軽くなることもありますし、聞いてもらっているうちに思わぬ改善策が見つかるかもしれません。
・生活リズムを整える
何もしたくなくなっているときは、食事や入浴、ちょっとした外出など、日頃は当たり前にできていることさえも億劫になってきたり、睡眠リズムが乱れたりすることがあります。無理は禁物ですが、できる範囲で生活習慣を整えるのも大切なことです。
朝はいつもの時間に起きて、簡単なものでいいので食事をとり、体調と相談しながら散歩などで軽く身体を動かし、早めに就寝するなどして生活リズムを整えると、自律神経も整いやすくなります。
身体の方から調子を整えていくことで、心も連動して気力が戻ってくることも期待できます。
・好きなことをする
精神的に疲れたときは、趣味などを以前のように楽しめなくなってしまうことも少なくありません。これも無理してやる必要はありませんが、できそうなことから少しずつ、好きなことをしてリラックスする時間を持つようにすると良いでしょう。
・専門家に相談する
以下のようなときは、心療内科の受診やカウンセラーなどの専門家に相談することをおすすめします。
カウンセリングを通じて、自分自身とじっくり向き合ってみませんか?
うららか相談室では、臨床心理士などの専門家があなたの悩みや辛い気持ちをしっかりと聞き、気持ちの整理や解決をサポートさせていただきます。
精神的に疲れたとき、カウンセリングを受けるのも対処法のひとつです。ずっと寝ていたいような状態に対してカウンセリングでどんなことができるのか、簡単にご紹介します。
・じっくり話せる
カウンセリングは、一般的に医師の診察に比べて時間が長いので、じっくりお話をすることができます。
周囲の人間関係に気を遣ってしまう、無気力な状態でいることを知られたくないなど、周囲の人には相談しづらい人もいるかもしれませんが、第三者であり専門家であるカウンセラーになら、遠慮せずどんなことを話しても大丈夫です。話すだけで気持ちが楽になることもありますよ。
・疲れの要因に気づきやすくなる
カウンセリングの中でいろいろ話しているうちに、日頃の生活では流しがちないろんな状況や自分の感情などに、改めて気づくことができます。「あの出来事は、思っていたよりも大きなダメージがあったんだな」「そういえば、これが引っかかっていたんだ」というように、自分でも気づかなかったことが無気力の要因になっていると分かったりすることもあります。
このように、カウンセリングでこれまでの経緯を振り返っていくと、漠然とした無気力感が徐々に具体的な問題に整理されていき、何をすればいいのか分からなかった状態から一歩踏み出しやすくなることが期待できます。
・改善や悪化の予防に向けて一緒に対策を考えられる
自分の身に何が起きているのかを整理したら、それを元にどう対処していけばいいのかを考えることができます。カウンセラーと一緒に話し合いながら考えられるので、無理なく適切な方向性で改善や悪化予防をしていくことが可能です。
また、カウンセリングだけでは充分な効果が見込めない場合は、カウンセラーから心療内科などの受診を勧めることもあります。病院に行った方がいいのか迷っているけれど、病院受診となるとハードルが高く感じる方は、まずカウンセリングを受けてみるのも一手段です。
何もしたくない状態になるのは、悪いことでもおかしなことでもありません。休息が必要になるくらい頑張ってきた証拠でもあると捉えて、ご自分を労わってあげられるといいですね。本当に休んでしまっていい状況なのか判断に迷う時や、休むことに抵抗があるとき、誰かに話を聞いてもらいたいときは、カウンセリングも選択肢の一つに入れておいていただければと思います。